パン作りに悪戦苦闘する教室の扉をそぉっと開くと
可愛らしい眼でこちらの様子を窺いだす

仲間外れされているとかの感情より好奇心が勝っているようで
親指を口に含みながらきょろきょろしてる
手足 ....
掴み損ねた言葉の
微かな尻尾を追いかけて
自分の中の暗闇を
遠い目をして彷徨い歩く

赤いサンダルを履いた
今にも消え入りそうな
小さな誰かに手を振って

片道切符を握り締め
 ....
砂浜を撫でる乾いた風が
肺から循環する
感傷の毒を洗い流し
ただ瞬間だけを咲かせる

吐く息はいつも
黄痰に鎖を繋がれ
夢の欠片も存在しない

一本の座標軸に
流され惑わされながら ....
人の耳にはピチピチなんて
明るい音ではねる鰯の水揚げ


にぎわう港から鰯そのものへ視線をうつせば
全身でわななく声が 流線形のまま突き刺さる


何万もの銀の鱗が震えている

 ....
 生乾きの芥子の花が
 白い煙をもくもく出して
 修行僧のように黙り込んだまま
 燃えているときに
 わたしはただ
 真新しい注射器のことを思った
 腕に針が刺さるとき
 いつもわたしは ....
草のよこに
好きな
歌を並べる。

ロロロリル
ラル ──
今度誘われたら
断ろう、と思っていたらしい。
(あんまりじゃないか)
遠く崩れる雲を
見つめているよう ....
雨の夜って好きだなぁ
ソルティドッグ片手に呟く夜中の二時
ベランダの手すりには雨粒がいっぱいで
むきだしの足のウラに冷えたコンクリィトが気持ちいい

夜って水の底みたい
キレイに澄んだ水の ....
雨が降り続く夜を
遮ってしまおうと
戸袋から雨戸を引き出しかけて
ふと 手を止める

視界の端で
何かが咲いていた

雨戸とガラス戸の隙間
わずか2cmの
薄っぺらな空間の足元 ....
 第七の封印
  ――Седьмая печать ――


碧玉や赤めのうを思わせる背後の
かがやく虹の現れた天空に座した、在って在る者
或いは吾が父である、偉大なる神は
ぶっちゃ ....
 
 
夢想家
それは夢の中にいるもうひとりの妻
夢を見ているもうひとりの私

夢の中に咲く花を
一度も見たことがない
現実の世界で
あなたは此処にいないから

その花の名前を
 ....
開発された住宅地
どこもかしこもアスファルト

取り残され島のような土の一区画に
せめてもと植えた花の苗は
ことごとく泥棒されました

なんて素晴らしい住人たち

けれども今年は
 ....
初夏の昼下がり

真紅の花びらが
ぼってりと
頭(コウベ)をたれた

熱病のような愛の果て
駅東端の改札を抜け昔ながらの踏切を渡ると
南口商店街の低い軒先を飛び交うツバメ達に出逢った

桜は散ったばかりだと思ってたのに
あっという間に日傘手放せない季節となってしまったんだよね

 ....
休日はらんぷの灯の下に 
古書店街で買った 
古びた本の、頁を開く 

少し引っ張れば 
すぐに千切れてしまいそうな 
薄茶けた頁に並ぶ無数の黒字は 
遠い過去から語りかける 
音の無 ....
しなびたような風にはたはたと
力なく揺れている黄色い旗

近くの小学校からだろう
校内アナウンスが外に漏れ聞こえる
時折キンとした音が混じりながら

光化学スモッグ注意報が発令されました ....
寄せる波に向かって
心の潮「A/アー/(ラ)」の音を放つ


わたしと海はパラレル


返す波からは原始の抑揚
「G/ゲ-/(ソ)」の音がかえってくる

海は ....
夏の縁側に腰かけて
入道雲が真っ青な空に湧き上がるのを
見ている

背後の部屋は暗くて
ひんやりとしていて

もらい物の生菓子を食べようと
手を伸ばした瞬間

チリリ

(一陣 ....
真っ赤な芥子が花盛り
白もピンクも花盛り
誰かが作ったお花畑で
矢車菊が揺れている

風上に立つとそっぽむいて
つんつん
風下に回れば頷いて
つんつん

コーンフラワー・カシミール ....
 青空

もういいかい
まあだだよ

雲さん かくれんぼ

鬼さん こちら
とう かぞえるよ

お日さま ひとりぼっち
あか鬼さん

夕がた 来たら
たき火もするよ

 ....
つかまえることの出来ない
角の取れた風が丸く波打つ

花ごと落ちてしまったつつじが
こつ、こつと小石にぶつかり
涼しい上流から泳いできた

花街にいる女性の唇のような
程よく熟した艶の ....
芝生の布団に寝転がって
五月晴れの空を見上げていたら
公園一帯を包み込む大きな影
くじら雲が町を横切った



頬をくすぐる風が心地よくて
いつの間にかうとうとしてら
くじら雲が近付 ....
ここから遠い世界の果てまでゆけば
太陽に触れることができる
子供の頃、そう信じていた

でも、何故か僕は
朝陽が昇る東ではなく
夕陽の沈む西ばかり見ていた

この世の果てに想いを馳せて ....
見分けのつかない昨日と今日の間に
安物の叫びをはさんで
思いっきり口に押し込むのが
朝の儀式

律義なレタスと陽気なマスタードの間に
上品に叫びをはさんで
耳まで残さずに食べるのが
 ....
生きることは
漂流することだ

海路は
はっきりと見えるものではなくて
だから時々迷ってしまったり
沈んでしまいそうになる

大波にさらわれたら
口からぷくぷくと細かな泡を吐き出し
 ....
私の小鳥が死んだ
何度か獣医さんに診てもらったりしたけど
これが胸騒ぎなのだろうか
部屋の錠を開けるのももどかしく逆光に沈む鳥かごへ駆け寄れば
初夏の陽射しのなかで彼は小さな亡骸と化していた
 ....
湖面にさざ波が立って
透明な魚がうまれた
それは夏の風
開け放した窓に
大群となって飛び込んでくる

君は薄い身体を持つ
果物をひときれ口に入れる
今朝もあまり食べないんだね
病んで ....
岬の白い道を歩いてゆく
突端をめざして一歩一歩
五月の空は
高らかに晴れわたっている

風が吹く
記憶が吹く
波が聴こえる
記憶が聴こえる

岬は細く長く
なかなか突端にはたどり ....
夜明け
窓から冷たい空気を
迎え入れたとき
君に恋していたことに気づく

吐く息が白く
一瞬雲になり消えていく
君のいない空の向こうに

なぜ
夏でなくて
この冬の季節に

 ....
あさとよる
うみとそら


砂浜は境界線
ふたつでひとつ
よせてかえして
あいまいに笑ってる


目はふたっつ
耳はふたっつ


瞬きのためいき
ふたつでひとつ
すってはいて
風が遠くを ....
あなたの言葉が
重過ぎたので
きのう貰った羊羹を
切るみたいに
二等分する
それでも
まだ 重過ぎたので
また 二等分した
羊羹だったら
小さくなるのに
あなたの心は
軽くは ....
未有花さんのおすすめリスト(6094)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
夢あそび- 恋月 ぴ ...自由詩23*09-5-19
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なつのこどもはやかれてしまった- 亜樹自由詩209-5-17
ピクニック- 吉岡孝次自由詩309-5-17
雨の夜の底で- 朽木 裕自由詩6*09-5-16
2cmの宇宙- nonya自由詩15*09-5-16
第七の封印- atsuchan69自由詩10*09-5-15
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夢つばめ- 恋月 ぴ ...自由詩25*09-5-12
「_古書ノ声_」_- 服部 剛自由詩809-5-11
陽炎の記憶- あ。自由詩10*09-5-11
渚のドレミ_アゲハの音_木星のカケラ- 夏嶋 真 ...携帯写真+ ...19*09-5-11
Rへえへくくらへら- kauz ...自由詩17*09-5-10
草冠とレインクラウン/藍色のケンタウロス- 海里自由詩109-5-10
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ながれ、ばな- あ。自由詩4*09-5-7
くじら雲- 1486 106自由詩3*09-5-6
地平線の向こうを追いかけるキリンよりも- 皆月 零 ...自由詩209-5-5
叫び- nonya自由詩11*09-5-5
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止まり木のひと- 恋月 ぴ ...自由詩22*09-5-4
- ふるる自由詩6*09-5-3
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夜明け- 乱太郎自由詩10*09-5-2
ふたつ- 夏嶋 真 ...携帯写真+ ...19*09-5-2
切り分ける- フクスケ自由詩309-5-1

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