凍解〜午前三時
ヒヤシンス


 午前三時 僕はあなたと海を聴いている。
 二人は言葉もなくただ海を聴いている。
 ただ失くした時間をお互い必死に埋めようとしている。
 過去がゆっくりと波間に解けてゆく。

 群青色の空に僕はゆっくりと煙を吹きかける。
 あなたは海の遥か彼方 行かなくちゃと ただ。
 こみ上げてくるものは 悲しみの色彩。
 都会の空はそれでも広かった。

 お互いの闇に消え入りそうなデッサン。
 別々の生きがいを一つにしようとすれば
 どこかで感じたようなキャンバスが赤く染まる。

 必ず来ると信じている朝日はどうだ。
 時間を超越し 季節の移ろいを恥じらう気持ちはどうだ。
 発すると消えてしまいそうな午前三時。

 


自由詩 凍解〜午前三時 Copyright ヒヤシンス 2015-05-31 03:00:55
notebook Home 戻る