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外野を抜けた白球を追って走る
走者が一掃して
試合が終了しても
ひたすら追いかける
悲しみも寂しさも
ただの退屈だった
人の形を失っていく
それでも最後の一ミリまで走る
(午前7: ....
ひまわりに虫がとまっている
指で触れると
驚いた様に飛んで行ってしまった
どうしてひまわりには羽がないのだろう
羽があれば私の肩にとまったり
驚いた様に飛んだりできるのに
ただ土の ....
 
 
とてもとても遠いところから
君の訃報が届いた
時刻表を確認することもなく
僕は一番最初にやってきた列車に乗る

いったいどれだけ乗り継げば
君の場所に行けるんだろう
君の生き ....
ありふれたあなたの指先が
遅れてきた春先に触れている
今日も
曖昧な言葉で
あやふやな言葉で
愛は語られ続け
朽ち果てるのを待っている
同じものを見ていたはずなのに
あの時、あっ、 ....
海の部品が落ちていた
大事な部品を落として
海は今頃
どこで凪いでいるのだろう
行方を捜すにしても
持っている地図は改訂前のものだし
海に関係する友達も
親戚ももういない
海を作っ ....
犬も歩けば棒に当たるというけれど
今朝から当たるべき棒が見つからないし
君が大切にしていた犬は
もうとっくにこの世にはいない
手を握り
お互いに年を取ったね、と笑う
話したいことは ....
 
 
お線香の匂いがしたよ、
田中君の家の前
誰が死んだのだろう
誰が死んでいるのだろう
誰が生きているのだろう
田中君に聞いても
答えてはくれない
田中君も僕も
もう子供じゃな ....
 
 
バスに乗って目を瞑ると
私の中を通過していく
一台のバスがある
開いた窓から
誰かが手を振っている

懐かしい気がして
手を振りかえすと
バスは小さな魚になり
泳いで行っ ....
 
 
水のない駅でした
蝉の音がしました
産まれた日もあやふやなままに

服の端が揺れて
私たちは何か話をしました
並んでいました

指を伸ばせば届きそうなほど
影になるとすべ ....
 

象が並んで
観覧車の順番待ちをしていた

みんな休日だった

近くに
錆びたエスカレーターが落ちていた

午後になると
誰も海の話の続きなど
気にしていない様子だった
 ....
 
 
雨が降ってきた
それに加えて午後からは
槍まで降ってきた

雨が降ろうが
槍が降ろうが
必ず行くよ
と言っていた友人は
終に来ることはなかった

窓を開けると
代わり ....
 
砂漠の真ん中で
洗濯機が回っている
インド綿のシャツを着た官吏が
時々中を覗きにやって来る
 
飛行機が上空を通過する
やり場のないコウモリ傘や
目新しい嘘を乗せて
 
真夏日 ....
 
ページを捲っていくと
その先に
廃線の決まった駅がある
名前の知られていない従弟が
ベンチに座って
細い背中を掻いている
とりとめのない
日常のようなものは延々と続き
梅雨の晴れ ....
コンビニの灯りに集まるクラゲを
殺し屋はすべて撃ち落とした
その間にも人は計画を作り続けた
幸せになることはとても簡単だった
書いたばかりの遺書を握りしめて子供が走る
町はずれまで行 ....
海の近くに本が落ちている
頁をめくると
漁師町の屋根はどこまでも続き
伝えたいことは
すべて終わっている
誰に叱られることもなく
海鳥が飛び方を記憶している
 
 
アパートに似た生き物が
背中を掻いている
古い窓を開ければ子供の声が聞こえ
秋の風も入るようになった

父が死に
母が死に
君は僕と同じ籍にいたくないと言った
もう昔みたい ....
 
自転車の花が咲いたよ
靴ひもの言葉で
僕は君に告げた
今日も生活の中で
信号は赤から青へと変わる
軟らかなコンクリートの
優しさに包まれながら
もう少し眠っていたいけれど
僕の身 ....
 
 
5と6と7は同じ価値
かもしれないし
かもじゃないかもしれないし
シーソーに乗れば
5は浮き
7は沈む
高層の建物では
7は上
5は下
この6でなし
と言えば
5と7 ....
 
 
最近6なことが無いよ、
と7が言うので
6が無ければ7も無いんだよ
と言うと
7は5になって
軒下で雨宿りをする
押し出された5は
黙って雨に打たれている
水にも溶けないか ....
 
 
五月の窓がある
五月の肩幅になった
私が映っている
外には五月が広がっていて
部屋の中は
五月が凪いでいる
四月の私はもういない
確かに昨日までは
ここにいたはずなのに
 ....
 
 
昼休み、お弁当を開けると
中には凪いだ海があった
これはどうしたことだろう、
と電話をしても妻は出ない
それどころか、
海の中から聞き慣れた着信音がする
海が見たい、と言ってい ....
 
曖昧な更衣室で
僕らはすべてのものを
等号で結びあわせた
軟らかい材質でできた身体は
嘘をつくことが
何よりも得意だったから

花粉の積もった改札を抜けると
溢れだす人という人
 ....
 
 
栞の代わりに挟んでいたミルクをこぼして 
僕らはどこまで読んだかわからなくなった 
立春が来たことに気づかないまま
掃除を始めた人たちみたいに
ひどく狼狽えた気持ちになった 
 ....
 
 
二人でガラスのコップに入って
誰かが水を入れるのを待っている
窮屈なのが
とても楽しかった
将来何になりたいか
お互いに言い合いっこをした
君は看護師になりたいと言った
僕は ....
独りさすらう俺の体を 
降りだした雨が切り刻む 
切り刻まれた俺の体は軽く分裂する 
でも心は切り裂かれないから 
浮いたまま 
雨に打たれても 
俺の心は乾いちまってる 
おまえがいな ....
 
 
埋立地から旧市街地へと
続く大通りの歩道
差し込む光に
かつて名前はあった
気の弱い人たちが 
背中だけの会話 
背中だけの時間 
の中でうずくまり、
息継ぎし、
そし ....
 
 
僕は東京にいて、それから
ドラッグストアで 
風邪薬を万引きした 
一度に二錠しか飲めないのに 
間違えて三錠飲んだ 
健康に何かあってはいけないと思い
布団に入り 
ハーモ ....
 
 
石の言語
語られることのない
肉体の履歴

行間でさなぎは
静かに波となった

命のないものは
絶え間なく産まれ
命のあるものは
ただ数を数えた

都市を離れて
 ....
 
 
ひし形の歪んだ街に産まれて
時々、綿菓子の匂いを嗅いで育った

弱視だった母は
右手の生命線をなぞっている間に
左耳から発車する列車に
乗り遅れてしまった

毎日、どこかで ....
 
 
今日、豆腐は
朝から不在だった
テレビの画面でも
新聞や本などの印刷物でも
その姿を見かけなかったし
豆腐、という言葉すら
出てくることはなかった

妻との他愛もない会話に ....
朝焼彩茜色さんのたもつさんおすすめリスト(43)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
つぶやかない(四)- たもつ自由詩1321-5-23
ひまわり- たもつ自由詩420-12-1
せかい- たもつ自由詩7*19-12-8
春先- たもつ自由詩619-10-24
鼓動- たもつ自由詩1019-10-14
初雪- たもつ自由詩1017-1-30
幼馴染- たもつ自由詩517-1-29
見舞い- たもつ自由詩2015-7-15
記憶- たもつ自由詩1115-6-28
休日- たもつ自由詩415-6-15
約束- たもつ自由詩2115-6-10
真夏日- たもつ自由詩1415-6-8
梅雨- たもつ自由詩1315-6-5
simple_plan3- たもつ自由詩914-3-30
simple_plan2- たもつ自由詩1214-3-24
電話- たもつ自由詩2313-9-9
生活- たもつ自由詩913-9-8
5と6と7と- たもつ自由詩913-4-26
7,6,5- たもつ自由詩813-4-25
肩幅- たもつ自由詩413-4-6
海弁- たもつ自由詩1713-3-26
初夜- たもつ自由詩613-3-19
代理睡眠- たもつ自由詩913-2-27
将来の夢- たもつ自由詩1113-2-24
独りさすらう- たもつ自由詩813-1-31
いのち- たもつ自由詩713-1-24
東京時効- たもつ自由詩613-1-11
足跡- たもつ自由詩613-1-9
誕生日- たもつ自由詩2312-12-28
豆腐の不在- たもつ自由詩912-6-9

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