夏休みにしか帰らない
実家の銭湯には
青い富士山の変わりに
緑のペンキが色あせ
ボロボロに古びた
一匹の龍の壁画が
どん と
風呂場一面を支配している



田舎のせいか
夏場 ....
地平線を隠してしまうときの
きみのつま先が好きだよ

肩甲骨を両手でまさぐりながら
そう 僕は小鳥も気がつかぬほどに
ちいさくつぶやいた

地平線が見えないなんて
くだらない永遠なんか ....
むき出しの腕を風が滑っていく感触は、 

洗いたてのシャツに袖を通した時によく似ている。

ペダルを踏み、耳の後ろで逆巻く風を感じながら、

夏がくるのだ、と君は思う。


街の影が ....
やさしい ということばを
ほんとうに つかえているひとは
どのくらいいるのだろう

ふるえてる かたを そっと
だきよせる ことの むずかしさ
かすかな おとを たてることさえ
こわれて ....
父の日に夢を見た

   §

大地震があった
私は、すぐには故郷に帰れなかった
車も電車も無い

やうやく故郷に帰ると、或る男がかう言った
あんたの家は無いよ
全部盗られちまった ....
クリスマスを想う真夏の公園のジャングルジムに降るしゃぼん球


赤道の下が静かになってゆく 同じ時間の違う景色で


青くなっていくのだ カレンダーをめくる指が冷たいと感じる7月の朝
 ....
港の水に映るのは
それは月ではないのです
港の水に映るのは
それはおしりなのでして

おしりは逃げ出したのでして
僕はそれを追ったのでして
漁船に忍び込んだのでして
追い詰められたおし ....
おもしろおかしく生きているけど
この頃ゴールと叫ぶ喜びはない

サッカーとは相性が悪いのか
2時間近く応援しながら見ていても
あ〜惜しいという悲鳴ばかりで
ふっとよそ見した瞬間に点が入 ....
空の水がみな注ぐ
水無月ならばこそ
ガクアジサイのぼんぼりに
青色 むらさき
灯りを点けて
こころの内を絵に描いてみる


哀しみ惑う雨模様は
霧雨に溶いた絵の具で
ぼんやり滲んで ....
血圧の
どのくらいが正常範囲かも知らないけれど
私の体温の
37度2分が微熱なことはわかる

もしかして
雨が降ってきた

ご飯を作る係り
掃除の係り
洗濯の係り
任務は遂行せよ ....
重くなる背に
無鉄砲の銃声がこだましていた
いつまでもいつまでも

彼の銃声はこだましていた


『無鉄砲の銃声』


僕と彼は幼馴染だった
自己紹介カードの趣味の欄に
『無鉄 ....
カステラの
下のほうについてる紙を

取るの忘れて、そのまま食いちぎって

それでも
牛乳と一緒に
流し込んでしまえば

おなじこと。


あの子だけを愛するつもりが
ほかの ....
今夜も蛍光灯の光が恋しくて
都会の片隅で
人工の光を浴びに現れる

駆け下りてくる人影
坂道にカタカタ鳴って
わたし、知っているよ
手にしたビニール袋には
小さな石鹸と歯ブラシが一本
 ....
ひつじ
もこもこ でっかい
け を
かってもらっても
あんま きにして ないぞ

ぼくのことも
あんま かかわりあいに なりたくない ふうだ

こんなにも
いっしょに あそびたい  ....
わたしがよく行くカレー屋の
インド人の店員さんは、とってもいい人
インドのことをいっぱい教えてくれる
コーラをサービスしてくれる
街で会ったら挨拶してくれる

「わたし、カレーが ....
「アメリカの人体模型は何色をしているのだろう」
そういったら
友達は「肌色でしょ」と興味なさそうにすばやく答えた

彼女の言った「肌色」とは恐らく
小学生の頃クレヨンの中に「はだいろ」という ....
耳が聞こえないのに
風鈴を近所のホームセンターで
買ってきて

「ねぇ、これどんな音がするの?」

だなんて
やめてくれよ、母さん。

「ねぇ、これどんな音がするの?」

そんな ....
少女の小さな口がそれを求めると

恥ずかしげもなく身を開いた

それは若草を容赦なく踏むような音だ

それは若者の肩のような噛み応えだ

林檎には別の名を与えた方が良い
冷凍室に閉じ込めて
そっと 耳を寄せたりはしない

腹を裂き眼球を抉り
死なない形を創り上げて
寂しさを 裏側に貼り付ける

夜中の静けさが
硝子玉した眼に暗い光を燈すと
怯えた幼児 ....
父は歩き続けた
角を曲がったところで左腕を失い
コンビニの前で右腕を失い
市営住宅の駐車場で両足を失った
やがてすべてを失い
最後は昨年まで歯科医院があった空地で
一輪の花になった
 ....
サイフォンに
珈琲が 溜まりゆく 緩やかさで
共に 空が 琥珀に 染まって 暮れてゆく

今日 いちにち
草の 香りを たくさん 浴びて
遊び疲れた 彼が
その 残りが のなかで
いね ....
カタカナの色名

太陽は波に抱かれた宝石を研磨する

ほてった鱗は月光で冷ます

満月の夜には

珊瑚の産卵が始まる
閉じ込められたように
草は伸びる炎天下
空は薄く笑い
透明な宇宙を透かしてた
線引きの雲
飛行機雲
地震雲
鳥居またいで此処の世は何処だ?
ラジオノイズにアナログの願い
島だ ....
初夏の陽射しは 便りを運ぶ

宛名も消印も
差出人も
見当たらないけれど
懐かしさという
こころもとない手触りに
わたしは ゆっくり目を閉じて
紫陽花のさざなみに
いだかれる
 ....
毎度のことながら、
女にふられたので、
ラブホへ行って死のうと思った。
どうしてラブホかといえば、
情死かと思われるかもしれないからだ。
死んだ後のことなどどうでもよいかと思えば、
にんげ ....
今朝、校舎の前で
無口な少女を見た
目が合うと
少しだけ笑って
そのまま自転車の
静かなスピードで
追い越してった、八時十五分。

無口な少女の
名前を知らない、
先生が出席をとっ ....
100と0
それでも足せば100だけど
アタシ一人の 100はシンドイ



ヤメちゃおう
もうヤメちゃったと言ってみる
こんなときだけ 意志が強い
なぜ



肩掛けのカバ ....
世界のありったけの明かりに負けず
その人の背中越しに三日月が見えた

一瞬で長い腕がそれを遮る


活路を見出さなくてはね


しっとりした声で
それはそろりと湖底を撫でるよう ....
チチカカ湖
チチカカ湖
チチカカ湖の畔
チチカカ湖を小舟で行く
小舟に波がぶつかると
小舟は揺れる
揺れる小舟に
チチカカ湖は歌う
チチカカ、チチカカ、チチカカと
一人の男が ....
ずみの花が咲いた
夜にかくれて ひとつ、またひとつと 
ふくらんでは夢のようにひらく優しい花よ

ずみの花が光る
風を香らせ たわわに揺れる
蜜蜂達が 遊ぶ梢に
私も腕を拡げて 飛びたい ....
佐野権太さんのおすすめリスト(5563)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
湯殿の龍- 蒸発王自由詩8*06-6-19
地平線- ユメアト自由詩606-6-19
ヌード- 八布自由詩706-6-19
泣きそうと思うとすでに溢れてる_夕立のヒト_愛するヒト- mina未詩・独白706-6-19
イノック・アーデン- 三州生桑自由詩406-6-19
faraway/just_from_this_spot_on ...- ピッピ短歌806-6-19
夏の夜尻- 水在らあ ...自由詩14*06-6-19
*ゴール*- かおる自由詩9*06-6-19
夢紫陽花- 銀猫自由詩13*06-6-19
しょうねんば- 蒼木りん未詩・独白306-6-19
無鉄砲の銃声- 蒸発王自由詩4*06-6-18
無鉄砲印のカステラ- 仲本いす ...自由詩4*06-6-18
夜光虫- でこ自由詩406-6-18
ひつじ- 日朗歩野自由詩606-6-18
インド人- 壺内モモ ...自由詩6*06-6-18
肌色- パキラ自由詩206-6-18
風鈴の声- 仲本いす ...自由詩406-6-18
林檎- 曠野未詩・独白206-6-18
剥製の眼- 士狼(銀)自由詩11*06-6-18
父の日- たもつ未詩・独白16*06-6-18
パパの_いない_日曜日。- Lucy.M.千 ...自由詩3*06-6-18
熱帯魚- 曠野未詩・独白406-6-17
夢+- ススメ自由詩306-6-17
初夏- 千波 一 ...自由詩30*06-6-17
ラブホへ行って死のう- しゃしゃ ...自由詩1906-6-17
無口な少女のうたう放課後- 夕凪ここ ...自由詩15*06-6-17
ひとり芝居- さち短歌10*06-6-17
三日月の部屋- 藤原有絵自由詩11*06-6-17
チチカカ湖- あおば未詩・独白7*06-6-17
ずみ- 紫翠自由詩3*06-6-16

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186