いろいろ
やってきて
わかったことは
まだまだ
これからなんだ
ってこと
垣根の灌木の枝は
年じゅう好き勝手にのびるので
つい気を抜くと
目も当てられない状態になる
裁断ばさみで
枝を切り落としながら
つい考え事をして
ざっくり切ってしまうと
枝のあいま ....
蛍光灯の白い明かり
白と黒に世界を分けて
無機質な
感情の無い人工ライト
ただ僕は堕ちていく
何も掴め無いまま
血色を奪い取る青白い光
白と黒に世界を分けて
有機質の
観念恐怖を持つ人工ライト
....
立春を過ぎて
この冬一番の冷え込みが続く
ピンと張った透明な空気に
色づいていくのは期待感かな
早くこの冬を綻ばせて
もこもこに着込んだ重いコートにも押しつぶされそう
あ〜あ、今日 ....
渇きの奥 に
シズクが見えるのは
錯覚ではないと
しんじたい
わたしを洗って
土にかえして
そのうち雨がふって
それをごいごい吸い込んで
芽が出る
イメージ
ぐうんとせのびをし ....
バターを塗ってちょうだい
きょうもぼく
朝からハチミツレストランで働く
レストランの朝って
きみが思うよりずっと早いんだよ
だってまずは蜂の巣狩りするんだもの
それがぼくの担当
まだ ....
僕の妻は食の細い、色白な女だった。
色白な女は肉を食わない。何故ってふぇてぃしすとだからな。甘ちゃんだからな。
「だって命を食べてまで、生きる資格が私にあるの?」
学生の時分、彼女は食堂で ....
2月の光が
視界を捕える
頬抜ける風の透明度は
日々が穏やかである事の
尊さを
教えてくれる
階下では
くつくつと
鍋で泳いでるビーフシチューに
ブーケガルニと赤ワインが ....
今すぐ
私たちが震えていることに
気づきなさい
*
春、春、
夏夏夏、
瞬きの度に私たちは
その色を、その言葉を
飲み込み、黙り、街路樹に
その芯に、 ....
ニワトリ小屋の扉を開けて
射し込む朝焼けの光に
山吹色にかがやく
あたたかな藁をもちあげ
あるか
ないか
たまごが
のぞきこむような気持ちで
布団から起きあがる
....
かつて私の心はまだ白く何も描かれず
風のような手触りがした
誰も知らず 一枚の草の葉のように
静かにそよいで穏やかだった
ふとあやまって落としたインクのように
すべてがいつか変わって ....
きょーも
会社でA型のおんなにいじわるされた
A型のおんなはなんであんなにいじわるなんだろう
かげぐちばかり
根に持つし
あやまったじゃんかあたしは
反省してませんけどそりゃ
小学校 ....
意を決し
送信するも
返事みて
壁 的にする豪速死球
別れるつもりで
にこにこしている
もう愛していない
というよりも
最初から愛していなかった
謝っても仕方ないけど
それでもわたしは優しいから
「もう愛していない」
って
お話するつも ....
ほとぼりがさめるころ 妻子の留守を
みはからって 鬼がかえってくる
おまえもおれの だいじな友だち
からだにめりこんだ 豆をほじくりだし
つまみにして 酒をのみかわす
時折天井から記号が滴る
灰色の水槽の中には青白い都市が浮遊している
祭壇めいた台の上で
少年はくる日もくる日も
華奢な実験をくりかえす
時々淡いひとりごとを呟きながら
ほのかに ....
現代詩フォーラムの
はじめましての投稿欄に
小川 葉さんの投稿があった
同姓同名なんだなあと思いながら
投稿内容を見ると
すべて脈絡のない
アルファベットと記号の羅列で
ウィルスコードの ....
鍵穴から注がれる
細やかで執拗な視線に
いつまでも見つめられていたくて
わたしは部屋を出なかった
魅力的な、傾いたものへの憧れで
まとめて深い息をつく
……幼い頃、誤って内側から鍵を掛け
....
デニーズの半円形のテーブル席で
フローズンヨーグルトを飲みながら
通りを眺めてる と
フローズンは溶けて
ヨーグルトになった
すこぶる健康な昼
着信があったよ
シンガポール ....
ぼくの隣でいつも輝いていた。
太陽はいつだって笑っていた。
雨の日も風の日も雪の日だって。
ガス管をくわえたあの日だって。
太陽は白く笑っていた。
太陽はいつだって輝いていた。
ぽかぽ ....
風になり、花になり
ずっとそばで―――
今日は街に雪が積もって
めったにないことだとニュースでも騒いでいました
わたしはそのことが少しばかり怖くて
あなたの手を握ったのです
やわらかく ....
君の胸で飼われるうさぎになりたいと思う今日から欠けてゆく月
思い出を糸玉にして絡めとる 躓かぬよう掬われぬよう
耳たぶに可憐に小さく花咲かす君の愛するパールホワイト
我の ....
一秒ごとに
とどまる
時間が
抜殻として
輪郭を残し
なだらかに
連なる
呼吸と
思考
いくつかは保たれ
いくつかは置かれたまま
ふりむけば
うすい
半透明の
殻が ....
ときどきわたしは きみのけいこくをわすれてしまっては
傷を縫った糸を食いちぎられる思いをする
ときどききみは わたしのおもいなくときにあらわれて
たどたどしくやわらかく、レクチャーをして ....
すべてを打ち明けたら
すべてが壊れる気がしたから
おお、すべて見えていない{ルビ徴=しるし}に
思い出の風 舞い散る
ウインストンのあこがれが
ふたりの、足元にまきつく
最後に話した背 ....
雪のつもった日のバスは
渋滞でみんな遅刻のはずなのに
なぜかこころやさしい
雪化粧の街を窓外に眺める
人々をぎっしり乗せた
バスのなか
ネクタイのよれたおじさんが
あんパ ....
誰の胸の奥
こっそり巣食って
ほくそ笑む
(オイシイノダヨ
奥底のとろけた秘密
舐めたいのさ
なめらかな偽善)
封印された
マメ粒ほどのヤツは
青むらさきの
促進剤 ....
夢路誘うは十六夜に
声なく花の散る姿
また立ち返る如月の
思いは誰に告げるべき
黒髪{ルビ梳=けず}るいもうとの
面影やどる花びらは
雪の衣も厭わずに
音もた ....
思ったよりも少なかったやかんの水を
勢いよく蒸気にかえたものだから
紅茶を煮出すにはとてもとても足りなくて
カンカンのやかんが
今朝の水の冷たさにひび割れないか
ビクビクしながら水を足す ....
冷たい雨に
震えるきみの
肩を抱いたのは
それもまた
雨でした
時に言葉は行き過ぎて
途方に暮れる長い夜
抗うこと諦めることを重ね
いくつの哀しみを覚えたの
その身を預け
降り ....
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