ごらん
きょうも
きらきらと
ゆきがふっている
まどガラス
いちまいをはさんで
そとはさぞさむいだろうに
それがうつくしくかんじられるのは
ぼくがうちがわでながめているからだろう
....
とても小さな君の
とても小さな命
とても小さな君の
とても小さな幸せ
守らなくてはいけないね
少し大きな私が
詩の読み方といっても、そんなものが決まっているわけではないし、決められるものでもない。読者は自由に、自分の読み方で詩を楽しめばいいのだ。だが、そう思う反面、詩の読み方に根本的な誤りがある人が多いよう ....
北からの強い風が吹いていた
枯葉をまだ護っている木々にも
誰もいないベンチにも
そこに流れる時間さえ吹き飛ばし
風は強かった
明け方の夢に両の頬が濡れて
世界中で独りぼっちのような目覚 ....
真夜中
のどの乾きに目を覚ましコップの水を飲み干すと
小さな波音が聴こえて不安定になる
部屋の隅で水槽は
溺れそうなほど満水で
薄いガラスを軽く叩くと
魚は眠るのを忘れてため息によ ....
そんな目でみるなよ
おいしく食べるからさ
写真が嫌いだ。風景写真は好きだが人間が写り込んでいる写真が大嫌いだしじぶんが写り込んでいようものならその写真を処分するためにおまえの妹の身柄を確保して交換条件にしたいぐらいに嫌いだ。思い出は必要 ....
涙を混ぜる、という行為には
冬の夜は長すぎる
ひつじが百匹を超えたら ふいに湧き出す
僕って何だろう、みたいな問いかけに、いつも
たまたまこの星に生まれて
たまたまこの国に来 ....
おでんを
初めて食べたのは
あなたの家の
ばんごはん
半透明の大根に
皮のやわやわなちくわ
味のしみた卵
だしを二種類とるのがコツなのよ
と
あなたは言ったっけ ....
其の純白が
花嫁衣装の様だった
『純白般若』
祖母は
小さい頃に
骨を食べたという
焼け野原になった当時
ろくな薬も無いなか
人間の骨は万病の薬だ
という噂が ....
どこから こぼれてきたのですか
雨の かがみ込んだ内で
抜けられない 靴ずれに
しみる痛み
知らないうちに 紛れ込んだ
砂の汚した 靴下
脱いで 素足になりたいけど ....
夜がほの蒼いのは
雪が舞っているから
すこし窓を開けて
吐息が白く夜気に放たれ
雪と交わるのをながめる
手を延ばせば舞いおりて
けれどその冷たさは
触れるまもなく掌に溶け ....
一月ついたち
凛として
鈴の音が
聞こえてきそうな
夜でした
まっすぐのびるこの道も
ざわとも動かぬ杉の木立も
風の止んだ雪の原も
すべてに
群青いろの絵の具を
とかして撒 ....
波はもう台所まで押し寄せている
娘はバシャバシャ水を蹴りながら
学校の仕度に忙しい
妻は膝まで海水につかりながら
朝の牛乳を温めている
もしもの時のために集合場所を決めておこうか
と言 ....
私の部屋の窓際には
黒い出目金がいる
彼がプラズマテレビを買えとうるさいので
わたしは21型のそれを買ってきた
ブラウン管はゴミ屋敷に放り投げた
そこのおばあちゃんは
いつもありがとうね
....
「明けましておめでとう
今年もよろしく」
と キーボードに打ち込んだつもりが
「小鳥もよろしく」
と 打ち間違えてしまった。
何回やっても
小鳥、小鳥と、小 ....
冬の寒気が細く伸びて
岬の先のほうへ
鋭く尖っていった
遠くで生まれた赤土の丘が
最後に海へこぼれ落ちていく場所で
わたしの そしてあのひとの
フレアスカートのはためく裾から
なめらかに ....
山の中の湖は
冬の空を見上げていた
晴れた空は気持ちいい
葉の落ちた周囲の桜は
寂しいけれど
光がその分入ってくるので
むしろその方が都合がよい
うんと背伸びをする
湖面が揺れ ....
かいちゃんはくつしたが大嫌い
はかせても はかせても
脱いでしまう
そんなにくつした嫌かなあ
確かに裸足は気持ちいいけど
今は冬
君のあんよが真っ赤なのを
ママは見るにしのびないんだ ....
帰ります、とメールをしてきた君が向こうから全力疾走で
君の重さを受け止める。お姫様抱っこ?もう少し痩せてからね
人ごみに紛れこむとどうして私だけがここにいないんだろう
....
いのちの大切さって何だろう
きれいごとでは済まされないこと
野生の獣が弱い生き物を捕らえ
生きる糧とするように
人間だって経済動物と言う名のもとに
生き物のいのちを断っている
(ひとのいの ....
・
友人に
擬態する癖のある女がいる
よく家の中で
かくれんぼうをする
二人で
わたしが鬼で
十数えて振り返ると
家の中はしいんとして
空気がうす青い
百年前からこうし ....
・
ずいぶん昔
わたしたちは恋人同士だった
あんなにも完璧に
理想的な形で
つながっていたのに
満月の夜だっただろうか
わたしが
あの柔らかな部屋から
いとも容易く
追放されてしま ....
◇暮れ
年が暮れる
暗い時代の予兆は
そのままに
初日は
それらを
もろに背負つて
出てくるだらう
◇木にぶつかれば
蝸牛は彼なりの歩みを
何昼夜もつづけて
....
はるをいたみながら
ひとつ、指を折り
なつのまよいに
迷えないまま
指折りは、
ふたつ
みっつ、を数える指には
こころならずも
あきがなついて
ちからずく、のよう ....
人生には三つの弦があるという
理想と現実と失望と
それらをかき鳴らした音色が
夢と呼ばれるものであると
ある人は言う
理想を天とし
現実を地とし
失望を人とするならば
この世界に諦 ....
友人からの年賀状には離婚したことが添えられていた
数年前、結婚の挨拶に来た二人
こんな美人お前にはもったいねえな、なんて
憎まれ口にもニコニコしていた二人
昨年もいろいろな人がこの世を ....
ドアをあけたら
新年はじめての
ひんやりした外気が
メントールのリップをぬった
くちびるに染みて
まだ夜も明けきらない街灯りへ
飛び出していく
銀河鉄道のように
走っていって
....
いつまでも
ひとりでいるのはさみしくて
旅先で
出逢ったきみに会うために
遠い雪国へ
ぼくはゆく
金はなく
新幹線にも乗れず
長いトンネルを抜けた
夜行列車で目覚め ....
目が覚めて
階段を下りたら
まだ雨戸の開いていない
暗い部屋の食卓に
お{ルビ節=せち}料理の重箱が置かれていた
「 寿 」と書かれた紙に入った{ルビ箸=はし}が並ぶ中
ひ ....
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