多くの人は肉が好きで 野菜が嫌いだ
柔らかいものが好きで 固いものが嫌いだ
小さい頃 母さんによく叱られたっけ
「好き嫌いせず 何でも食べなさい」
多くの人は明るく楽しいことが好きで
....
床に落っこちて卵が割れた
平凡な日常のひとコマ
のはずが
切れて怒鳴りだしたわたしを
誰も止められない
というか
誰もいない
冬になると寒い寒いといつも言っていた
君の最後の言葉は
寒い
だった
雨が降っていた
君は雨が大好きだった
どんなにたくさんの雨粒達がアスファルトに打ち付けられても
”雨”の一言で終 ....
猫のミーが
窓から初雪を見ている
たんぽぽの綿毛よりも
静かで美しいそれは
いつか別れた母親の
しっぽの色だった
ミー
君の耳も
同じ色をしているよ
幾日か後
妹の手を引いて
池まで降りていった
石畳は少し先の
見えないところまで続いていた
水面には遺影に良く似た温もりがあり
生き物たちの息継ぎまでもが
今ならわかる気がした
....
つるつると
つるつると
言葉が
見ている端から
頭上を滑り
相手は
張り付いた笑顔のまま
透明な
大きな
風船の中で
飛散した唾の天井
語る言葉はひとつも
届か ....
きみはきみんちの猫が
病気なので
結婚式には来られないと
朝メールしてきた
安物のハンガーみたく
燕尾服を着たぼくは
そうかいそりゃ大変だ
いいよケッコンなんてまたにしようって
ニコニ ....
秋は不思議
木々は なんだかにぎやかで
どんぐり坊やは 力強く歌っておどるし
風はやたら はやく はやくって。
僕はどうしたらいいのかな?
って くまがいうから
僕は おなかを洗ってもうね ....
冬空をかき消す、
光る街に男と女は集まる。
単調なクリスマス・ソングが、
公園通りに響き渡る。
今夜、
何十人もの、
サンタクロースを見た。
トナカ ....
ここは
いつも広くて
息が白くて
冷えてて
がらんとしていて
音は全て霞んだ帳の向こうから
聞こえて
私は
怒っていたし
恨んでいたし
頑張り過ぎてたし
叫びたかったのに ....
ふわりと舞う雪が
街の灯りを反射して
今夜は蛍祭りだ
初夏の焦燥をも凍らせて
激しく雷光を放ちながら
吹雪いても、唸っても
季節が渡っていくというのに
冬の丸底フラス ....
るぅ、
りる、
りらぁ。
ふるりらぁ。
小さく、
目を開けて。
鍵盤の上、
踊ってるよ。
こびとさんたち。
....
無音で降り続ける
、雪、雪、雪、
視界に入ってく白さは
すべてのものを白く、
白くしようと必死にも見える
目の前を流れ落ちる雫は
無残にも敗れ去り
散って行く
流れ星
すべて ....
夢の無い画面の端に
流星群が見られると記されていた
濃紺に澄んだ空は
白い あるいは銀や朱に
闇を切り取られている
湿り気の残る髪が凍え
湯上りの匂いが後ずさりする
夜着 ....
僕達の未来に影をおとす
心無き者のあやまち
ひとごとと思いながらも
惨たらしい事件は
人と人の距離をはなしていく
いろんな事情があるにせよ
やっちゃいけないことがある ....
僕らには何らかの足と
時間があるのに
階段はいつも
非常口の奥で
しんとしている
「何階ですか?」
機械のゆみこが訪ねると
「トナカイです」と
どこか遠くか ....
冷たくなった幼子を
か弱き両手にひしと抱き
二度と帰らぬ温もりに
涙を流す母と子に
一体何が言えるでしょう
甘きは全て子に与え
苦きは我が身に受け止める
其れが母と知っていて
私に ....
満水の夜に
感覚をとぎすませながら
無数の魚が泳いでいる
距離と、位置と、
上昇する体温と、
そういうものを
止めてしまわないように
蛇口に口をつけて
あふれ出すカルキを吸うと ....
夜店で買った
金魚が死んだ
汚れた水には住めないと
金魚が住める綺麗な水に
私は二度と戻れない
他者の言葉に傷ついて
赤い涙を流すから
金魚の住めない水になる
他者の心の物差しで貴方の ....
{引用=
ねぇ、サザえさん
あなたの住む町の
空はいつも青空で
夜空には必ず星が瞬いて
ご近所さんは誰も親切で
悪人なんて大して悪人じゃなくて
ねぇ、サザえさん
人目を憚るようなわ ....
お尻から生えてた
あげたてのコロッケみたいないろの
太いしっぽを
あわてて隠しました。
あのひとが明日来るってさ。
油断して
わたし
ババシャツで毎晩寝てました。
かみの毛 ....
空が
すべってくるのを
まっている
雨 も
雪 も
白い雲 も
お日様 も
3歳の夏にわたしは赤ちゃんを産んだのだった
やわらかい栗毛を愛おしいと思った
乳母車はわたしの筋力のなさをあざ笑ったが
幸せな光はいつもわたしの頭上で放たれていた
母親になる幸せを誰に ....
{引用=
吹かした煙といっしょに、行っちゃうかと思いました
薄くなりましたね、背中
このビルが潤うたびに、課長さんは枯れてゆきますね
決して幸せを期待できない結末に ....
親父は定年退職し
母ちゃん専業主婦となり
息子のぼくは半人前
母ちゃん家計簿とにらめっこ
ばあちゃんが払う食費も1万ふえて
なんとかやりくりの日々であります
雨もりがあふれる床
....
コスモスの
好きから始まる
恋占い
花びら八枚
願い叶わず
金魚の尻尾を
一匹ずつ
親指と人差し指とで
摘まんで
西の空へかざして
流れる空に赤を重ね見た
どうでもいいような思い出が
西の空へ吸い込まれ行く金魚の
開いたり閉じたり
開いた ....
僕はスプートニク2号
地球初
気密室を搭載した
宇宙船
まもなく
僕は
他の兄弟と同じように
宇宙の塵となる
鉄の塊
その日
僕の部屋に来たのは
いつ ....
只今
大変混雑している為
空にお越しの方は
しばらくお待ちください
わたしは5万円です
と、うそをついた
ふさがったままのきずだから
ごまんえんごまんえんごまんえん
20歳処女
会うと言った30の男
なんか頭いいやさしさで近づくもんだから ....
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