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葡萄の葉陰に{ルビ抱=いだ}かれて
青い果実のひとふさは
日ごと重くなりました
花びらのかわりに
熟れた種子をいっぱいにして
向日葵は皆うなだれました
高い空
すうと流れる
赤 ....
ずみの花が咲いた
夜にかくれて ひとつ、またひとつと
ふくらんでは夢のようにひらく優しい花よ
ずみの花が光る
風を香らせ たわわに揺れる
蜜蜂達が 遊ぶ梢に
私も腕を拡げて 飛びたい ....
朝か、もうすこしあとにおきだし
パンをたべ
仕事をし
お昼をいただいて
掃除や仕事をし
たいへんおなかが空き
夜ご飯を皆で囲んで
寝る前までに
いくつか日々のことをこなします
私 ....
こんにちは アブラムシ
あなた何歩でこのルーズリーフを横切れるかしら
ツノをふりふり おしりふりふり
行っちゃうの?アブラムシ
窓を見つけたのね
透明の翅をもじもじして ぱっと消えた ....
ほう ほう
風が鳴いてる
シグナルはしずかに震え
ぽつり ぽつり
話す声がとぎれ
遠い踏み切りから
鐘の音が ただよい
届かずに消えゆく
銀の車両は
鐘の音のな ....
傘もささずに駆け出した
胸に 弾む雨 あなたとの出逢い
秋は深まり ひだまりのぬくもり
やがて移ろい いつしかたよりは途絶えたまま
春を待つ 心に 訪れた小鳥のさえずり
この街 ....
おなかのすくおと ぺこ、ぺこりん
からっぽの胃から
じわじわ かなしみが溢れ
ずずんと 体にのしかかる
ひとことごとに へってゆく エネルギ
ひとことごとに ふくらむ かなし ....
うるうると ながれては こおりにかえり
うるうると みたしてゆく
つちを かぜを
たちのぼる霧は
こおりをむすび
春待つ木々を
冬に還す
光 ....
空の青さ映して
冬枯れの山
麓に霞をひいて
遠い深山
厳しいことよ 優しいことよ
この道を知っている
雨の夜 冬の朝
通り過ぎる面影は 息をきらした 私
あなたの胸に 飛び込むために
今は静かなドアのむこうに いつも
貴方がいた
抱き締める腕があった
今日 ....
寄り添い生きることができなくて
するり と ほどけた
朝がくる
あなたが静かに閉めていったドアを
あける こともなく
わたしは
夏風が木々をゆらし歌う
それを 見て ....
愛するあなたの 傍らにいて
いつか私は{ルビ孤独=ひとり}になり
静かに気を狂わすだろう
あなたの腕に抱かれるために
私は翼をそっと折り
静かに血潮は流れ出し
知らず枯れていくだろう
....
みつめている
うつくしい景色のむこうに
誰かへつづく ひとすじの想いがありますか
胸の中 熱をおびた
夏の風は ふいていますか
どこからか
あなたへつづく 想いがあるように
わ ....
はだしの少女
歩き出せば 誰かのかなしみを踏んづけてしまうから
この切り株から、絶対に降りないの
そうして何年も 赤い靴とにらめっこ
あれだけは履きたくないし…
森のうさぎはいいわよね ....
午後の陽射
見上げる、瞳
山吹色の世界で
あなたが 私に残した言葉は
今も 胸の中を響いています
遠く想う
あなたの生きる 街の風
あの日 藍色の翳りは
今も その胸の ....
トイレの前にはいつも長い行列ができ
ひつじの仕事はその行列をうまくさばくことだった
けれど だれもひつじを見ていない
ひつじは アイピローのようにうすっぺらで小さく
とても背が低いため、 ....
街に灯のともる 夕暮れは
さびしくて
たえられないと だれかがいった
群青の空に
森の影が 長くのびて
かたかた風に つららが揺れる
でも
私はしらない
この夕 ....