僕のふりをしていた木が
いつのまにかいない
僕のふりをすることに
疲れたのか
あるいは木のふりをすることに
僕が疲れたのか
新しい図書館の椅子に座ると
声が聞こえる
ここにいたのだ
わたしの 心の 奥底に
降り続く 雨を
見抜いたのは きみ
幼い頃の あの 忌まわしい過去も
人前では 何もかも
笑い飛ばして 切り抜けて来たのに・・・
「隙を見せた方が負けなん ....
淫らを着飾った少女の懐に /みだら
報酬がイイワケを押し付ける夜
遮断された感覚がしつこく蘇る
いいかげんの蔓延した景色が
記憶という車窓を通り過ぎるたび
う ....
晴れた日の
親戚のように
父と二人並んで
日あたりの良い窓際
懐かしいことや
懐かしくないことを
とりとめもなく話し
毎日小さく丸くなる父は
明日はもっと
そうなんだろう
窓の ....
て、手を伸ばして
やわらかくてをのばして
その、影
ぼくらに届いて
君は
ぬりこめられて
たいよう
やさしくしずみこみ
耳のあな
つぼみのように閉じ
ふとんを頭からかぶ ....
むねには だれかの だれもの むねには
川がながれて
ことばと さえずりは
甘かろうと苦かろうと
橋のざいりょうです
そらにかすりきずのような
雲があって
おもいだすのは
きずをつ ....
だまされることばかり
気にかけて
誰かを
だますことには
疎いものです
それなりに
気に病むのだと
難しい顔を見せるのも
大人のたしなみです
使いこなすべき
道具です
....
まぼろしのわたしを
まだ探している人がいるようで
それもまたまぼろしの
空気の環っかが生す群れ
拭けばガラスに付いたほこり
きえてしまうでしょ
身体にしみついた その影も
洗い流 ....
いま
あの日、に立っている
右手をのばし
空の高さを測るきみ
手招く左手は
薄の穂の間に
見え隠れして
黄昏の
目で追う背中には
金色の翼があった
喧嘩しても
すぐに忘れ ....
やさしいのか
やさしくないのか
雨の日のあなた
約束の時間に
遅れたわたしに
何も言わないので
カフェオレを頼んだきり
わたしも黙って俯いてい ....
明るく 狂いはじめた
台所で 近代の抒情を
さんまいに おろして
こんがり 焼いてから
店頭に ならべておく
目の前の妖しき影に いぶかるも
あげ羽蝶なり 思はず和む
草の実も少しふくらみ見えてきし
秋に入りゆく風の移ろふ
目の前に子蜘蛛落り来てテーブルの
上を正しく距離おきて飛ぶ
....
撃ってさ
食ってさ
寝てさ
起きてさ
切なくてさ
泣いてさ
それが何を解決するわけでもなくてさ
辛くてさ
考えてさ
猟、やめますってさ
言ってさ
銃を返してさ
昨日撃っ ....
硝子の風が
きりりと秋の粒子で
二の腕あたりをすり抜け
寂しい、に似た冷たさを残して行く
野原は
囀りをやめて
そうっと十月の衣で包まれている
わたしは
それを秋とは呼べず
....
バランスが悪い
僕も悪い
君だって悪かった
時を例えるなら
物語とは
薔薇きちがいの
天秤の上で
気づくべき落差を
転げ落ちて
愛し合う意味の
足りない部分
とても遠いところで
....
少女の面差しで
はにかんだ笑顔で
やさしく騙してあげる
上目遣いで
しなやかな手つきで
やわらかく招いてあげる
ふりむいた横顔
まばたきする一瞬
瞳の奥の冷めた光に
....
{引用=それは
真新しい譜面から
厳かに音があふれ出すように}
昏々と眠っていた東の山が目覚め
肌を震わせ鳴り始める
金色に燃える音をかき鳴らす
ほの白い月は
裏旋律を歌い上げる
....
それが愛だと君が言うなら
それは愛かとあたしは問おう
いらない
永遠でないものは何も
彼女は
僕の肩を
ベシッー!と
たたいた。
彼女は
僕の頭を
ベチッー!と
たたいた。
友だちが
楽しそー!と
言った。
友だちが
笑顔で
出て行った。
風 ....
いつか来るその日のために
わたしはあなたに笑いつづける
楽しそうに笑っていると
呆れて見てくれたらそれでいい
いつか来るさよならのために
靴を履く準備をしておく
泣かないで歩け ....
八月はしづかに
葉先からくれないに燃え
白い節くれだった骨になる
そのつつましさの中に
芽吹こうとする強い意志を隠しもっている
漂流する鳥たちは
わずかの間のよすがを求め
自らの骨のゆめ ....
紅い空に足跡
群れで飛び立つ帰りの鳥たちが
カイトを引っぱって
うごく星座の結び目たち
ゆうぐれに影の成す
シンクロのダンス
花が半ば眠りそうに
しおれていた
風が吹いても
....
注意・・・あくまでも私の主観ですから、笑い飛ばして下さい。
ズバっと言ってしまう系が苦手な方はお控え下さい。
ノークレームでよろしくお願いします。
毒舌指数★★☆☆☆☆
第一 ....
ため息の瞬間は
一度落として再浮上させる
ギアチェンジのようだ
うまくいかない
何度もギアを入れ直す
あなたは
うまくギアが入らないねと
やさしく言う
うまくギアが入ると
ギアが入っ ....
比べたくなるものがある
幸せの度合いとか
それぞれの人生のありようとか
ひとと比べることで見いだせるものとは
柱に刻まれた幾筋かの古傷は
生を授かった証であり
輝ける未来への歓声で ....
遊歩道に列をなした花たちが
ちいさないのちの
ちいさな手から
水をもらう
風になびいて
呼吸ができたと
よろこんで
くすぐりあった
〜秋〜 水色揺々
「手折れぬは花言葉」
水色の細い曲線滑らかに夕を奏でる9月のフルート
コスモスの薄紅風とたわむれて赤トンボかわし鬼さんこちら
....
夢を見ていた
はっと目をさますと五郎さんが
丸太小屋が焼けた
けれどもおまえのせいじゃない
そう言ってラーメンを食べながら
泣いていた
蛍光灯を消したまま
月のあかりで
その日の出 ....
滲んで溶けて 輪郭からはみ出した信号機の青
が
赤を促す
際
だった筈の際は
もうどこにもなく
四肢を折られた傘が転がっている
刹那 が
辞書の中で絞め殺されていく ....
車通りの多い通りのわきで
夏の間履き続けたブリーフをぬいだ
またの間から懐古とか嫉妬とか
潮風や塩素そういう塩っぽいものに
固定されがちなものがごろごろ落ちた
そら高く持ち上げられて弱まった ....
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