あなさびし、
って
三十回言うと
幸せになれるらしいよ
 
酷く輝いた瞳で言う君に
一抹の不安を抱えた僕は
言わなくていいよ

少年のように返した
 
別に言っても ....
 俺の流した涙が
 川になって
 海に流れ
 日に照らされ
 空に昇って
 大雨を降らしている
 
 申し訳ない
 多大な迷惑をかけている
 この場を借りて
 お詫び申し上げま ....
燦々と
そそがれる陽を
うけての青

朧々と
つめたい雨に
うたれて紫の

移ろう色は
六月と七月の境界を曖昧にして
暦がめくれたことにさえ気づかず
深い場所で息する哀しみに黙す ....
雨の降りそうな赤い夕立前に
背中だけ次々落ちてきた
それはいつも誰か
夜の底辺、まどわされる時間へ
ふかした歌を染み付かせていて くたびれていて

もう煙らないんだ
もう静まないんだ
 ....
手つなぎ鬼がぐるぐるまわってこっち見て笑う
鬼はどちらかなんて分からないと答えると
かけた歯を見せてうれしそうに笑う
ぼくにはそれがとても無邪気に思えた

鬼さんこちら手の鳴る方へ

小 ....
夏が、また―――
怖いですか
あのひとの抜け殻だから

まひるの世界はあまりにも眩しく
夜の世界は、私には暗すぎる
いつからか
瞳が捉える色彩は
こんな風にゆるぎはじめて
 ....
獣の息づかいで
きみを
開く

スペアリブを
ナイフとフォークで解体するように
エレガントな野蛮さで

キッチンで
冷蔵庫が身震いする
低空飛行の爆撃機のような音をたてて

そ ....
{引用=月日に添へて時の花咲き
前の花のいといみじふ美しき
おぼろなりて花の匂ひを忘る
あやめの花もまた同じなり

時の移ろひとはかくのごとくと
定めを知るなり}

花あやめ消えゆく色 ....
赤いダリアがうつむいていた
街灯はちかりちかりと電池切れ

濡れることに疲れたわたしは
通りすがりの民家の軒下で雨宿り
出窓に座るドラえもんと目が合った

車が水しぶきをあげて ....
あたしは河だった。
両岸の、
親族と参列者を満たす河だった。
あたしは、
泣いて、
泣いて泣いて泣いた。
やがて涙は両岸に溢れ、
氾濫し、
洗い流した。 ....
雨が降ると いつも
あまだれをじっと見ている
子どものままで
いまも


樋の下でふくらんで
まっすぐ地面に落ちてくる
あまだれ 一ぴき死んだ
あまだれ 二ひき死んだ
あまだれ い ....
ホテルのバスタブで
泡の中に沈んでいくシャツやパンツやら
ぐるぐる回して素足で踏みつける
ベッドから彼女が這い出してくる
「プールで潜らない?」
抑揚のないいつもの声
ゴルフで痛めた ....
こんな世界に眠れる夜なんかあらへん
目ぇ覚めんのか、覚めてへんのか、それとも冷めたんか
そんなこともわからへん
お前がおらんとあかんのや


山しかないようなとこやった
山の向こうに何あ ....
黒い布で顔を覆い隠した女が
まるみをおびた重いはらをかばいながら
前から、後ろから早足で通り過ぎる人々に
おびえるような足取りで市場を歩いている
ときおり女の腰のあたりにぶつかっては
”ベバ ....
   <ホルン 
     1st、3rd:主に高音部
           ソロを演奏することが多い
     2nd、4th:主に低音部
     パート数に人数の満たない楽団では
   ....
五線譜に引っかかっている
音符をひとつ 
つかんで
鍵盤に落としてみた


小さく高く弾んで
涙のしずくに
変わってしまった


やさしく
なにか語ってくれると
思ったのに
 ....
淡いかなしみの曇り空が
堪えきれずになみだを落とすと
紫陽花は青

束の間のひとり、を惜しむわたしは
思わず傘を閉じ
煙る色合いとひとつになりたい 

街中の喧騒は
雨の糸に遮ら ....
捨てられた子犬のような心のまま
静まりかえったホームで君を待ってた
かわいいとか嬉しいとか
そういう言葉をくれる代わりに
すねた目をしてみせる人だったから
気付いた時にはもう全部
あなたの ....
あい で空中はべたべたしている
ことのロウディングは、火の車なのか
潜って息をする世界のなかに
金を食べる魚、うまれたときから
何がそこから見えるの
尾を振らして遊泳 
砂糖菓子は水に溶け ....
晧々、繋ぐ道

くしゃりくしゃなり
草いきれに隠れて耳を当て、浅緑を喰む羊の腹にもたれかかる。いつしか眠りに落ちた(べったりと頬から鼻腔、この匂いを識っている


立ち上がり、方々の出口へ ....
人違いをした
人違いしたのは
はじめてではなかった
はじめて人違いしたのは
デパートのおもちゃ売場で
母親とまちがえて
知らない女の人に
おもちゃをねだったときだった
知らない女の人は ....
私にはもうずっと
お母さんがいなかったので
育ててみることにしました

鉢を買って土の中にお母さんの種を植えて
毎日毎日水をやりました
お母さんは日々順調に育ってくれて
その ....
夜が、二足歩行で
足早に通り過ぎていく音を
淡い錯覚にくるまりながら、聴いていた
抱きしめあう行為は どこか
呼吸と似ていて、ときどき
わたしたちは声を漏らす
ともすれば ....
はやい
から

きれて
とんでる
けしきが
ちかくの
草むら
なんて
もう
線だ
恐ろしいくらい
長い
線だ
空気が
固い
いま
どれだけ
もう
壁みたいで
い ....
ほんとに本気?
確かめたくなる。
目があうたびに
近い過去

傷口を庇いながら
痛みを無視して
紅空を愛してた



認めなかった傷を
直視して解けた意味
幼さと至らなさと
自我欲の赤い泪
白空を求めている

近い未 ....
乳母車の乳児のバイバイに
こたえた手
布の端をひとかがり

  だっこされている乳児を
  泣かせた作り笑い
  布の裏に斜めの縫い目を見た

横断歩道を渡る小学生に
掲げた手
布 ....
彼のばあちゃんが作った大きな玉ねぎと

出荷できないからと知り合いから分けてもらった

真っ赤なトマト(何が悪くて出荷できないかまったく不明)と

うちの玄関先のプランターのバジル

全部のっけて朝 ....
お前のやはらかさに埋もれて死にゆくなら
それでも良いなと
硝子越しに
笑う人間らしい貴方
 
ただ揺られて生きるのみのわたくしなどは
あすはるとでは
直立できないと言うのに
 
見つ ....
鉄筋の音が聞こえたなら青空だった
構築されていく巨大な塊は
恐怖と当然と意味世界に溢れている

砂漠に見える
置き去りのカメラは
捨てられたものか
ずっと名残を砂を噛むように味わいながら ....
佐野権太さんのおすすめリスト(5563)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
"あなさびし"- ゆるこ自由詩20*07-7-15
お詫び- 山崎 風 ...自由詩307-7-15
紫陽花- LEO自由詩18*07-7-14
伏し目- 唐草フウ自由詩10*07-7-14
手つなぎ鬼の足音- ねろ未詩・独白7*07-7-13
空蝉の夏が、また- Rin.自由詩2007-7-13
デヴィル- 大覚アキ ...自由詩307-7-13
あやめ_★古語の宴_参加作品_★- ぽえむ君短歌6*07-7-13
夕立- あずみの自由詩707-7-13
「_泣いて、泣いていない。_」- PULL.自由詩18*07-7-13
あまだれ- yo-yo自由詩12*07-7-13
A_wandering_fish- shu自由詩707-7-13
あかん- アマル・ ...自由詩21*07-7-12
石榴- ワタナベ自由詩807-7-12
無伴奏- 悠詩自由詩5*07-7-11
五線譜からの囁き- 渡 ひろ ...自由詩14*07-7-11
青にとける- 銀猫自由詩19*07-7-11
てのひら- 和歌こゆ ...自由詩1007-7-11
シュガー- 唐草フウ自由詩6*07-7-11
放牧- 日向夕美自由詩11*07-7-11
人違い- 小川 葉自由詩907-7-10
栽培お母さん- なかがわ ...自由詩6*07-7-10
リスク、- 望月 ゆ ...自由詩61*07-7-9
- 水町綜助自由詩27*07-7-9
君はいつもそうだから- 日朗歩野携帯写真+ ...907-7-8
「あお。」- 見崎 光携帯写真+ ...6*07-7-8
まつり縫い- 悠詩自由詩8*07-7-8
土と水と太陽と- a/t携帯写真+ ...507-7-8
水母- 黒子 恭自由詩18*07-7-8
キンコム2- たけ い ...自由詩3*07-7-8

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