討論番組風で
保守的で知性と安定感のあるキャスターの男女が
「ではここでVTRをご覧ください」
大学生ぐらいの恋人同士が
こたつに向かい合い座っているようで
しかし実はコタツの天板に見えたの ....
その時、電波時計は、冷えた
脳髄の裡に在るとらえられな
い静かな膨張を指していた。

十六時の零七分

特に意味は無いその時でさえ、私は
、空を見つめ映った、やりきれない
微笑を浮かべ ....
日射しをドレープさせて窓辺にひだまりをつくる

緑いろがにじんでゆく

地球儀をくるくる回転させる

天井にプロペラ飛行機を思い描いてみる




青い本とウクレレを鞄につめて
 ....
七時三十分の電車に傾く、あなたと共に行こ
う。想像する、上に空が継ぎ接ぎになって浮
かんでは消え、進行方向に語る言葉を持たな
い僕らは、聞き取れる音だけで口笛を吹く。
それだけの空間、それだけ ....
黒なりや濃紺なりや愛らしきウエイトレスのブラはガストの どこへ行こうか――
そう問いかける森の
落ち葉は湿って素足に心地よい
(靴は捨ててしまった)


赤や黄や私を包み込むまだ青い
木の葉よ お前の匂いにむせて
ひたむきに傾けるやさしさに ....
まだごはんたべてないから
ああああああ、
ちからが折れそうで
ああああ。ああ、
ろくなことはなくて
まとわりつくのは
ああああ、ああ
冷たい乾燥のはだを
なぜてみる

ふしんなハガ ....
ねえ。ちょっと思ったんだけど。聞いて聞いて。
世界は2種類の人種に分けられるんじゃないかなって思うんだ。意図災害に遭った人たちと自然災害にあった人たち。

自然災害。洪水とか噴火とか、そういった ....
瞳を
真っ直ぐにみつめて
言葉を言えない奴らが
なぜか
真っ直ぐに日本語を打っている
現代詩フォーラム



みんな 寂しい明日を喋っている10月
すずむし泣く。
6時、目覚ましナル
6時15分起きる
おはよ
おはよ、あのころの笑顔でにっこり妻
すきすき、だ〜いぃ好き ひしっ ぶちゅ だ〜いぃ好き

ひしっひしっだいすき
ヒシッヒシッダイスキ

 ....
半分

どんなおじさんにでも
その時だけ恋をしてしまう女の子がいる
父の日にプレゼントを贈り続ける女の子がいる
おじさんとセックスしてお金を貰う女の子がいる

半分お金で半分趣味らしい
 ....
みちこ、きみがくれた光を泳いできたらもうなにもすることがなかった。
7光年ぶらんこをこいでいたけれど、特になにも変わらなかった。
きみの光は太陽と散歩する昴で、みんながみんな、えっ、
引きつけら ....
かみさま ほとけさま
ジーザス・クライスト

わたしは明日退院します。

あなたがたの名前を呼ぶからといって、
今までの人生の懺悔や反省をするつもりは毛頭なく、

わたしが幸せになるこ ....
駐車場のわきに
見知らぬ実のなる木があって

くるりとくれよんで描いたみたいな
小さなきいろい丸いのが
道にいっぱい落ちていた


わたしはつっかけサンダルの
ぴんくのつま先でそれを ....
雨上がりの濡れた空気に
しっとり染み込む芳香は
垣根の向こうの金木犀


乾き始めたアスファルトに
規則正しくむちを打つのは
子どもが回す赤いなわとび


吸い込みすぎて重たくなっ ....
あのときあいつはああ言った

あのときあの男はあたしを笑った

あのときあのひとは助けてくれなかった

あのときやつらは追い詰めた

あの言葉、あの態度、あの時あの時あの時あの時あの時 ....
苔むした
石段をのぼっていく
息遣いを見守る
樹陰を、切るのは
ひからびた花を背負うおもい出した耳

頭髪も
白く(みずからの足音を聞きながら、
 零れる光の中を冷えていく舌が
しず ....
遠浅の日々はいつの間にか息継ぎの仕方を忘れさせる。
駅まで、の最後の交差点に立つと
呼吸が止まるほどに夕焼けの匂いがした。

  *

「雲は、本当は流れていないのです ....
夜の始まりの冷めた月から
白い涙が零れ落ちるように
白鷺が降下する



静かな寝息を立てて眠る彼女は
広いベッドの左側で三日月になる
睡眠不足の瞼はぎゅっと閉じられて
月明かり ....
ねえ、神さま。
あたしがどんなに幸せか、わからないだろうね!

ねえ、神さま。
あなたをふたたび信じることができて、
あたしはとっても嬉しいンだ。




おとーさんが死んだあの春 ....
ららいらららいらい
誰がきょうも
種を飛ばす
やわらかく
芯はかたく

眼球は
きょう、うるおっていますか
かわいてるのなら
かけてあげましょう

えん罪のドラマをみる
ことば ....
ふしあわせをキモチイイと勘違いしてないか?

せつなさは上等だとムヤミヤタラに思ってないか?




ただ喜びを、喜びだけを
求めよ。




うちがわからこのからだ、食い破 ....
夜更かしの羊飼いは大層身軽で
わたしの寝室へ夢のように舞い降りては
夜毎数字をひっくり返す

空がまるで海なのよ


わたしはちぎれながら泳ぐ
よれた真夜中を
雨に打たれるカラス ....
ときどき僕は
草のなかを歩いてみる
さらさらと風が流れてゆく
草穂が膝頭を撫ぜれば
なつかしい思いに満たされる


ときどき僕は
人に話しかけてみる
ときどき
誰とはなしに笑いかけ ....
あのひとのお勤めする
ひんやり白い建物を
思い描いている
あのひとの好きな
歯の痛くなる甘いお菓子
コンビニで買ってみる
あのひとと一緒に行った
細い道を
一人で歩いてみる

なん ....
血反吐を捏ねあげた粘土の
完璧なフォルムを撫でつける
素直な指がいとおしく

嗚咽をこらえきれなかった
慈悲深い先生は
今にも倒れそうな花瓶を支えるように
わたしを揺すり起こしたけれ ....
秋から冬へ
ひからびる
どうかその前に
その手でつかまえて
かたい毛布にくるまった
ラッカセイのなかに
すべてのときをつめて
ねむるわたしも入れて

({ルビ落花星=ピーナッツ}から ....
次にわたしたちは
何になるのかなってはなしになって
固体気体液体
名のないもの
しょくぶつ、どうぶつ
時計の針 はなびら  一本のくさ ひとすくいのみず
思いつくままに出してみる

け ....
8時35分の朝
○年○組はいつものように
入口も出口もなくなって
わたしたちは起立したまま
おそらく昨日分のあいさつを忘却している

いくつかの数式を
ため息の代わりに吐き出していたので ....
銀のアルマイトのおべんとに
ちょっと焦げたハチミツ入りの卵焼きと
ちょっと焦げたウインナと
焦げてないきゅうりのお漬物とバナナをつめて

ピクニック

ようちゃん
自慢できるものはある ....
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