あー 肉なんて焼かないでそのまま生で食べたい
両手で掴んでむしゃむしゃと立ったまま食らいたい

そこら辺に生えてる草も食べたい
元気そうな深緑を引きちぎってむさぼりたい

服なんてもう着な ....
塾の講師なんて仕事をしていると
子供の心に触れてしまうことがある

前に受け持っていた女子生徒が
授業中に突然飛び出して
二階のベランダから飛び降りようとした

「死んでやるー!」と何度 ....
一頭の牛が
ブランコを押してくれた
こんなに高くは初めてで
空だけがきれいに見えたけれど
必ず元の場所に戻って
どこにも進むことはなかった
明日食べられるのだ、と
牛は言った
 ....
子供の頃はとてつもなく曖昧だった
唯漠然とした善悪のみに支配された世界


物事の基準は一つ
両親や周りの大人がどう思うか

嫌われない様に
叱られない様に
悲しくない様に
小さな ....
警察署や

病院の廊下でかぐ

カレーやどんぶりものなどの

店屋もんの匂いって

なんであんなにいい匂いなんだろう

毎回

おんなじ匂いだから

それを食しているであろ ....
警官をしている先輩が言う。
沖縄サミットは ほんとにヒドい目にあった って。
わたしの好きな先輩。

今朝も早くから暑いのに 泥だらけの軽自動車で
沖縄のオジイとオバアが野良仕事に出かけ ....
誰にも邪魔されない
誰からも脅かされない

自分を守る必要もない
自分を励ます必要もない

一日中楽なことだけして
一日中好きなことだけやって

悲しみや苦痛とは無縁の一日
不満が ....
エバ、君は
人の目を怖れるから
僕が見つめるほどに遠ざかったね

その気持ちは痛いほど
僕にも伝わってきたよ

エバ、君は
捨て猫だったから
信じることを怖れていたんだよね

瞳 ....
道なんてあってないようなもの
父さんのコンパスはとっくに役立たず
前なんて方位 本当にあるのか?

テレビは真実を伝える気もない
ただ嘘で塗り固められた情報を吐き出すだけ
こんな世の中でど ....
立っています。

赤ちゃんが

青いカーペットの上で

立っています。

生まれて、初めて

進化の過程を辿ってきたみたいに

二本足で立ち上がって

こっちを見て

 ....
  

今朝は
カッコーの鳴く声も聞こえてきた
ので
お昼は
白山の蕎麦屋にでも行こうかと思った
確か一度行ったことがあるよね
坂を下りた角にある
そこからしばらく西に行くと
製版 ....
静まり返った夜空見上げて
周りを確かめてから 一人で低く呟いた
なんで今がずっと続かないんだろ

楽しいもの嬉しいもの大切なもの
みんながこの手を擦り抜けてく
まるで初めからなかったみたい ....
むかしね
月経の血を集めて
煮詰めて
お薬を入れて
人間を作ろうとしたんだって
あれは本当よ
そしてできたのがわたし

上手くできたでしょ
さあここにも入れてみて
どんな具合がする ....
また『薬指』を拾った
今月で3本目だ

白く細い
白魚のような指に
上品なシルバーのリングが
しゃん、と通してある
今まで拾った中で
一番美しい薬指だった


いつものように
 ....
反応に慣れた時代で

敏感に侵され

シンプルな伝達は

優等生の証


赤か白の旗を
挙げ続けなければ

故障とみなされるのに

疑問が鳴り止まない

流行らない ....
無言電話がかかってきたので、無言で待った。

遠くから、海の音がした。
 
 
 
 
職場の後輩が結婚退職することになって、送別会に出かける。そこまで近い関係じゃなくて、しぐさとか笑顔とか、感じいいなあって思ってた人。そうかーよかったね。

だけどそんな感慨はもはや思いっきりマイナ ....
キミの生まれたこの日
一度しか祝ってあげられなかったね
『来年もその次も
ずっとこのまま』
迷いなく あんなにもつよく
信じていたのに


最後の夜泣いたのは
キミじゃなく私が
そ ....
鎌倉駅の通路の壁に
寺へと続く石段の写真が展示されていた

門の向こう側の境内には
不思議な光が満ちあふれ
そっと上げた足先を写真に入れると
体ごと吸い込まれた僕は
気が付くと
石段の ....
はじまりまで
さかのぼってしまう
あとのまつり

おわりまで
みえてしまう
あとのまつり

おはやしのふえ
たいこと かねのおと
ふと とぎれたあとの
いたたまれない
がら ....
カカ カカ カカオ
カカ カカ カカオ
カカ カカ カカオ
(one,two,three,four)
 
台詞:世界中のみんな愛してるよ

(前奏)

ギブミーチョコレー ギブミーチ ....
家の近くで見たのは野良犬の親子

道路をわたるときは子犬のほうが先で
親犬はあとからついてゆく
一見普通の光景だけど

親犬は眼が見えない

だから子犬が前を歩き
親犬はその匂いを頼 ....
おんなが なぎさで
砂を かぞえている
いくとせも いくとせも
なみだと 朝焼け色の
大漁旗を まちながら
正義と悪の
がいねんは
小さい頃に
戦隊ヒーローから
おしえられた

ものごとを
きょくたんに
2つに分けたがる
習性もピンチに
なったら他力本願な
体質もき ....
 
 さりげない日常に
 きらめく刹那が訪れる
 
 長い深い夜を飛び越えて
 朝日のまぶしさに目を凝らして
 昨日まで思い気持ちが白紙に戻れば
 それでいい
 
 生きると言うこと ....
 
 ひさしぶりやな 元気やったか
 わしはなぁ殻ごとのゆで卵食べて
 この通り元気まんまんやでぇ
 
 ところでなぁ
 儲け話があるんや
 鶏のフンを軽トラに乗せて運ぶんや
 日当5 ....
冬の朝空
七時の悲しい羊たち
隙間無く群れをなす

東を目指す羊らが
見つめる先はどこの地か
無言で光に染められていく

たどりついた羊らは
美しく映え
空に融けていった
明日は我が身、
{ルビ認=したた}めた脳裏に
父と母の喧騒と
踏み入れられなかった襖一枚と
ぎりぎりの強さと
泣きながらくねらせた騎乗位と
青い夜が届けたシンナーと
守り抜いた大切でない ....
お昼休み

コンビニに行く途中

水たまりに はまった

布の靴は次第にしみてきて

足先がじんじんとつめたく

メガネのねじは緩んでいて

なんだか右下がりで

情けない ....
 楽しい宴は夜がふけて始まり
 欠けた月が昇ると
 あなたは僕を残し
 去っていった

 残った酒を飲みながら
 あなたの形をした
 蛍光灯に映る煙を眺めながら
 言葉の返ってこな ....
佐野権太さんのおすすめリスト(5563)
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