青にとける
銀猫


淡いかなしみの曇り空が
堪えきれずになみだを落とすと
紫陽花は青

束の間のひとり、を惜しむわたしは
思わず傘を閉じ
煙る色合いとひとつになりたい 

街中の喧騒は
雨の糸に遮られ
時折遠くで跳ねる水溜りの音だけが
日々の暮らしを思い出させる

夜明け前の色から
目覚めぬ空が
ほろほろと水を地に施すと
紫陽花は青

ひとしきりのひとり、の後
灯り始めた街灯が
こころにまでひかりを射し
瞼の潤みをひっそりとあたためる

青やむらさきをくぐり 
愛しいほうへ流れる
こころの水

やわらかな糸に重なった 
愛しい面影  
その肩先で季節の目盛りが
ひとつすすむ 

青、いっそう今日も青く


自由詩 青にとける Copyright 銀猫 2007-07-11 15:04:19
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