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限界なのだ。という声が聞こえた。
見ると綿雲がぶるぶると震えていた。
空が震えているわけではない。空を支えるものが震えているのだ。
いよいよその時が来たのだ。
私は日々の糧を得るため ....
幼い頃、私は炭火に憧れていた。
休日、父に連れられて入った山野。街灯一本無い川辺で、良く炭火を囲んだ。
米軍のハライサゲだと父が言う。大人でも一抱えほどある、鉄製の缶の中に紙袋の口をあけ ....
原風景を1つ答えよ、と問われたならば
小生にとってのそれは牛舎である。
小生が幼少を過ごした田舎は、そりゃもう絵に描いたような香川のド田舎で。
ため池があり、畑があり、どぶ川が ....
僕の妻は食の細い、色白な女だった。
色白な女は肉を食わない。何故ってふぇてぃしすとだからな。甘ちゃんだからな。
「だって命を食べてまで、生きる資格が私にあるの?」
学生の時分、彼女は食堂で ....
医者の下唇と鼻がにゅいとくっついて、僕の下っ腹を突っついた。
円錐状の嘴、それはどうやら聴診器らしい。ストレスによって僕の胃がキュルルルと鳴き医者がげふりと笑う。「うるせぇ笑うな」と心の中でうっ ....