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貝殻がそっと窓を開けた
午前四時の瑠璃
西の空見上げれば
遥か遠くから駆けてくる乙女たち
闇に燃えつきて
追いかければ風に消えた金の髪
凍りつくような蹄の音
(輝いた)視線に薄 ....
秋夜長
あばばばば
厳めしき隣家の親父の孫あやす
馬鹿くさき猫撫で声の懐かしさ
そは日暮れ
秋刀魚焼く家を過ぎし時
我が胸をも焦がしし寂寥よ
そは薄暮
子らの絶えたるグランドに
天の ....
{画像=110927215321.jpg}
(扉絵:雨傘をさしてニッコリ笑うボクのアップ)
(絵?:雨傘をさして飛び出して行くボク。地面には大きな水溜り。)
雨降り
お迎え ....
熱帯夜が明けた
翌朝の駅前通り
ハンカチを頬に押し当てながら
駅へ向かう街路樹の下に
無数のセミが落ちていた
電車を気にする私や
数歩先を歩くYシャツの人の
慌ただしい靴音が ....
うなぎであり
カメレオンであり
人間でありたい
気の遠くなるような年月を
生きていく覚悟なんて
これっぽっちもない
窓の中のアルタイル
鍋の底をサルベージ
しがない男のふりをし ....
たった1年で
大人になった猫は
春には泡立つ光の匂いを
丹念に嗅ぎ回りながら
ひとつ歳をとり
夏には風呂場のタイルの上に
長々と寝そべりながら
ひとつ歳をとり
秋にはふ ....
アキアカネ つ、つ と飛んで
サルスベリの花は墓場に相応しい
しろい花 あかい花
手に取れば 鷺草、彼岸花に似て
柿の実色づく帰り道
家々に祭禮提灯
横腹の赤三つ巴 火の玉舞うに似 ....
全部全部ネットの上にあるなんて思うのは大間違いだ
本当に伝えたいことはこんな画面の中にはないのだ
夕暮れの空の色がグラディエーションで変わっていく美しさを
言葉で表現することはどだい無理なのだ
....
ばらして
組み立て
ばらして
組み換え
そして
再度
ばらして
組み上げる
目の前の現象を
確認する事を
怠っていた所為で
何時の間にか
人気は消えていた
ネ ....
もう骨身にしみて
地上の風景が分かっている我々。
地上には乾涸らびたバッファローの頭蓋骨
灌木に砂、掴むことの出来ない短い丈の草と
土煙を上げて往来するトラックの群れ
遠景に岩山が望めるが
....
雨を眺めていると
胸の奥が軋みだす
いつかの転んだ日の傷を思い出して
こんな日に新しい服なんて
着てくるんじゃなかったと ....
止まっている
と言われた
アルバムの狭間で色褪せていく夕日だ
と言われた
食べかけたパスタの山麓で
僕は唇を噛み締めた
進め!
滞っている
と言われた
だまし絵の ....
トランク一つで旅に出よう
遠い遠い異国の地へ
木の橋を渡り森を抜けるのだ
憧れていたムーミンの家
扉をノックしたのなら、彼は出迎えてくれるかしら?
可愛らしいお家の中で、お茶 ....
苦手なんですよ
花の名前を覚えるのが
花言葉なんて
無縁なものだと思っていました
すれ違ったのは
昨夜のような満月の夜でしたね
苦手な記憶が刺激を受けて
分厚い花の図鑑を取り寄せまし ....
鮮やかなる君の記憶、
記憶のなかにある君の
断片、片側の私
私だけが
日々を疲労し
年老いてゆく
電話、指文字
誕生日おめでとう、
好きだよ、
おやすみなさい
「鳥が空で迷子にならないのはなぜ?」
幼い目で僕を見上げた
その髪を撫でながら
「くだらない考え事をしないからだよ」
と呟いた
美しいものは特に
何も持たずに輝いている
昨日 ....
か弱いものでも生きてゆける
それが人間らしさってこと
それなのに時には誰かを押しのけては前に進み出て
この一歩が生死を分けるのよね
なんて言い訳をする
※
世の中は悲し ....
ふたり 夜空を見上げて
満天の星のした
夢 語り合ったね
不安な僕の心を
君の笑顔が支えてくれた
自信のない未来を
君が拓かせてくれた
ずっと君の隣を歩いてゆくと
思っていたけ ....
人の死が一層悲しくなる季節がやってきた
他人には聴こえない声が生まれてくる
とすれば 私は私の記憶に疑心を残したまま
季節を飛び越えなくてはならない
夏が終わって秋が始まるという一小節は
....
赤い感情と青い記憶とを
つむいで
むらさきを織る
夏の恋
ひざまでの深さのつもりで
いつのまにか飲みこまれている
息継ぎに顔をあげるたび
水面にゆれる ほほえみに似た光を
肺にかさ ....
恋慕の奔流に身をまかせるとき
にじみ出していく熱がある
言葉にできないものを
言葉にしなければならないとき
この唇が無力であるとき
胸腔におさまりきらず
とめどない疼き
....
あまり器用ではない指先で黄昏時の風景を繕い始めると
粗野な一日が少しずつ整理されて見え隠れしてきます
落穂拾いのように身を屈めた姿勢は屈折した姿 ....
そんなにもきみはまっすぐにぼくをみて
うんうんとうなずきながら
まるでひとかけらのまよいもないふうに
ぼくのはなしをきいてくれる
ぼくはいままでにたくさんのことをみてきたけれど
その ....
ほら
やわらかな終わりがきたよ
やさしい
天使の顔をして
私は
急に思うのだ
三途の川の水面にも
低く高く
トンボの群れが
乾いた
秋を告げるだろうか
ワシは
車を ....
また会う時までに可愛くなっておくね
まずは髪の毛を切りに行こう
ドライエリアに死す
トイ・プードルのロロちゃんの糞
またいで仰げば真白の太陽
お洗濯干すにもフルメイクで行く
口紅は三層塗りの林檎の色だよ
トップコートはシャネルのグロス
庭に出 ....
世界が壊れて
拡散していく私たちはそれを
全身で受け止めた
放射能の雨
あの光の咲く園
大きく息を吸い
鮮烈に燃える火を盗み
走った
走った
恐れるものはなにもないし
明 ....
{画像=110917004242.jpg}
わたしはひかり / わたしはしずく
ふようして / こうかする
あなたはやみ / あなたはこうずい
かくさんして / ....
掘り起こされた土は
持ち上げようとする僕に抵抗するように
重く
何をすればいいのか
何を蒔けばいいのか
高鳴る鼓動と絶えだえの息を整えながら
僕は鍬に寄りかかる
産まれる前の記憶 ....
9月
真夏日
ロックミシンと
直線ミシンに
電気を通わせる
いくつもの
ささくれだった傷を接ぐように
激しくも繊細に
針を打ち込む
壁に拳を壊す
いくつもの
波を立てる
....
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