すべてのおすすめ
少女が窓辺に腰かけて
静かに外をながめながら
じっと何かに聴き入っている
その目からこぼれ落ちる
涙のしずくは
キラリとひかる美しい
ダイヤモンドのよう ....
季節はいつの間にか
窓の景色として生まれて来る
わたしは、
季節を食べることもできる
触れることもできるし
ときには、憎むことさえできるのに
馬車のように疾走る季節を
掴ま ....
花をみんな枯らした薔薇を見た気がする。野の薔薇か花壇の薔薇か。或いはそんな悲しい物はまだ見たことがないかもしれない。
幼い子供らは走りちりぢりに消え笑い声が耳の奥をくすぐる
手品師が飲んで ....
濃灰色に、重く雲があって
息苦しいような午前中に
雨がふりだした
傘が咲くだろう ひとはそのひとの人生のために 雨の底を歩いてゆく
歩んだ歩数のおおさ すくなさ おもさ かろさ
かろやかにた ....
手のひらの小鳥が
命を使い果たしていくとき
呼んだら
返事をした
それは
声にならない声
音を失った声は
振動だけになって
手のひらをかすかに震わせた
あれはやっぱり声だった ....
雨が降って
野菜はもう、透明になった畑
土曜日に、ぼくは死んで
日曜日に、きみはうまれ
ビニール傘をさして、
朝顔からのびた廊下を、
じゅんばんに歩いていく
うしろ姿が見える
さよ ....
ブラームスはお好き?
それなら
ピアノコンチェルトがおすすめよ
それもNO.1のね
新しいステレオ録音なんて
ろくなものがないの
いくら音がよくても
....
インターネットの世界には神様はいない
インターネットの世界には何様ばかりで
ネットが無くなると困るのに貶めている
ナイフは便利なものだが人を殺せるのだ
クルマは便利なものだが人を殺せるのだ ....
からっぽです
それはそうと
からっぽなのです
いいえ、からっぽなのです
からっぽなんだってば
それ以上言うこともないでしよ
からっぽなんだから
寂しいよう
近所の魚屋にギターが売られていて
魚屋のじい様、年季の入った海軍御用達の
看板を磨いてぴかぴかにして笑っている
こいつはまた活きのいいギターじゃないか
そういうとじい様は息子が若い頃に弾い ....
風のない日も向い風
おでこもあらわペダルをこいで
きみは往くきょうも
仮の目的地へ
本当に往きたい場所には
まだ名前はない
愛せない地図ばかり
もう何枚も手元にあるが
こんなに長い一瞬 ....
冷たい夜が辛かったので、夜のしじまに問いかけてみる。僕は、僕を僕と呼ぶようになって、いつのまにか時が過ぎ、存在の危うさすら曖昧に、ぼやけた薄闇に抱き、ぼうっと腰を落ち着けている。ネグリジェの下に隠した ....
すべての川は流れている
すべての故郷の川は流れている
耳を傾けるならその川の流れを
聴くことができるだろう
乾ききった風と砂しか入らない
窓からせせらぎが流れてくる
台所の床をひたして ....
今日は私の誕生日
でも主役はみなさんです
私は暗闇の中
明かりを灯して
ふぅーっと消される
ただそれだけでいいのです
今日も誰かの誕生日
主役はみなさん
照れ屋ですから
{引用=*筆者より――ちやうどこの時期、十二年書けずにゐた詩作が復活して三ヵ月が経ち、十二年分のマグマの噴出が落ち着いたこともあり、いま読み返すと力が抜けてゐる感があつてそれが良い方にも悪い方にも出て ....
じきに夏ですね
わたしの表現は
誰にも奪えませんが
暑さにかまけて
じきに夏ですねなんて言ってみる
新陳代謝で生まれ変わるわたし
青空のもとで血肉を燃やす
風の隣で鼻を利かせ ....
使われていないテニスコートは、吐瀉物と下痢便の様な汚泥とともに、何年もの堆積した落ち葉が敷き詰められ、私たちはそれを撤去するために荒い吐息と、鉛のような腰の痛みと、まとわりつく害虫に悩まされながら肉体 ....
枇杷の実、たわわ、たわわ、と
ふくれた腹をかかえて転がりそうな
夕陽に照らされ景色をゆすって風を
くすぐり、たわわ、たわわ、と
悲しげな
その実に
歯を立て
しごきとる、なぜにこ ....
ながりゆるみじぬあてぃん 流りゆる水ぬ在てぃん
がれちぬあとぅんかい 瓦礫ぬ跡んかい
りんどうぬはなぬさちゅる 竜胆ぬ花ぬ咲ちゅる
ゆちゅぬさちや ....
静けさ
ちょこんと
座っている
気付けば
夜底に
座っている
私は寝床を整える
不眠の昨夜を払うように
新しいシーツで敷布団を包み
黄色い朝の喧騒に
心の奥処の祭壇が
荒らさ ....
右手でくるぶしを握り左手で靴を掴む。脱ごうとするが脱げない。今度は両手で引っ張ってみる。でも脱げない。を、繰り返すエストラゴンあるいは弟が叫ぶ。どうにもならん! いやそうかもしれん、まあ考えてみろ。と ....
遠い火をみつめている
どこにいても遥か彼方で
ゆらぐこともなく燃えている
あそこを目指していたはずなのだ
臍の下あたりで、眼球のうしろで
わたしのいつ果てるかわからない
火が求めている ....
ある日突然 少女たちは愛に目覚める
砂漠の朝 あるいは雪山の夜に
一頭の馬のように私のもとへ
走って来る そして駆け抜ける愛の痛み
運命だと知るには遅すぎるだろうか
少女たちは祭壇に ....
雪どけの
きよらかな水のなかから
春がうまれる
山のふもとで ひっそりと
春の陽射しを糧として成長した
水芭蕉たちは
これからはじまる
花のリレーの ....
消えてしまった記憶のように
星が、炎に話しかける
小さく小さく話しかける
キラキラと明るく
寿命のある指先に乗った鮮かな痛みのように
炎は首をはげしく振って
いやいやをしながら
重い ....
{引用=*筆者より――筆者が本フォーラムでの以前のアカウントで投稿した作品はかなりの数になるが、アカウントの抹消に伴ひそれら作品も消去された。細かく言ふと二〇一五年十二月から二〇一七年二月までの間に書 ....
涙を拭いた紙で酒を拭く
鳥か四ツ足か分からぬものが覗き込む
切りつづけ 喰いつづけ
泣きつづけ 呑みつづける
鳥の羽を持つ虫が
命の行方の地図を照らし
在るはずの無 ....
栗の花のにおいがすきです
栗の花はみたことありません
これは栗の花のにおいだよって
たっくんがおしえてくれたので
栗の花のにおいしってます
ばらの香りなんかよりすきです
ばらと ....
三日ぶりに入ったその部屋であなたは
やはり窓のそばに座っていて
あなたの世界は四階の窓から見える
この建物の北側のビル群と
真下を通る車の音
時折近づいてくる救急車まで
首だけをこちら ....
この静かな倉庫に
書き溜めておいて
オイラの今の言葉が
過去の言葉にのり
また他の場所で開花してゆく
誤字脱字、語尾外し、
オイラの毎日をまた彩り
他の場所で ....
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