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広葉樹の多い樹林の中央に
高さ二〇メートルほどの榛の木が一本
屹立するその根元はジメジメとした地面が広がり
いち早く裸木となった榛の木は
次の春に暗褐色の花を付けるため逼塞する
あたり一面紅 ....
両親を持たない
孤児はさ迷って
乳が欲しいと雌の裾を掴む
だのに女は乳房を持たない
大聖堂の聖母も大通りの花売りも路地裏の娼婦も
まるで育むことを拒むように
首元までボタンを閉めて
....
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人はみな心の中に
自分の花園を持っていて
色々な花を育てている
私は一つの花壇に飽き足らず
ネットを彷徨い
この花園を見つけた
私 ....
僕が降ってきたよ
無数の
堪え切れずに
僕が
地面に突き刺さろうとして
ザザズ
濁った悲鳴をあげているよ
無数の
僕が降ってきたよ
止めどなく
所嫌わずに
....
押入れの毛布にくるまり
ロールケーキのようだなと
とろけるように目を閉じ
甘い夢を見る
お菓子の家は飽きたから
寿司ネタにしてくれと叫んでいる
小学生の私
そ ....
試験管を試験官の尻に差し込みフラスコをステテコに押し込んで足のところを縛ります
塩酸を凄惨に撒き散らし人体模型を靭帯がもげるまで捻じ伏せます
BTB溶液をBLTバーガに流し込み胃液で溶かします
....
コントラバスを弾いている人たち、
うわごとのようにつぶやいていた
「おやすみなさい、おやすみなさい」
「しあわせは耳をぼんやりさせるのですね」
....
車で信号を待つひと時は
役者が舞台にあがる前の
あの瞬間、に似ている
交差点を
右から左へ、左から右へ
車はゆき交い
のたり、杖をつくお爺さんと
たたた・・・と駆け ....
在りし日の祖母の部屋にて
スタンドの灯をぽつんと点けて
幼い頃に玩具で遊んだ
炬燵の机の細かい傷を
じぃ・・・っとみつめた
向かいの座布団の上から
からだの無い
祖母のに ....
駐車場に停まった
車の助手席から眺める
スーパーの硝子の向こうで
ベビーカーを押しながら
おむつを買っている、妻の姿
長い間、出逢わなかった
二つの道が一つになっている
....
昼下がりの公園
子どもたちが四、五人集まって
わいわいやっている
何だろうかと覗きこんだら
身体が一番でかい男の子が
カマキリを手に持っている
青い立派なカマキリだ
「今から、このカ ....
春に生まれた掌が
今 燃えている
血管に赤い血をめぐらせて
秋の沸点はとても低い
燃え尽きたあと
何もつかめないまま
地に落ちる たったひとつの
例外もなく
執着もなく
燃え ....
美しさがある見えない糸の整列にあるなら
その糸の端っこをちょっと引っ張ってみたい
その僅かなゆるみが美しさを引き立てるのだろうか
謎解きが残された人生が美しいように
言い切らない余韻も ....
{画像=121105232111.jpg}
祈りは切実
祈りは本心
祈りは真剣
祈りと題したこの絵
祈りを書ききったと
祈りたいですけれど
祈りが足りないかも ....
貴重な存在だからこそ
歌にもなる
とんてんかん とんてんかん
侮るなかれ
つちうつを
貴君等はどうぞ知り給え
うたってしまえ
と いいきれない現実の
火 消えることなく
いのちのように
燃えるからこそうたになる
理由といえば理由
秋の葉は
黄色く色付いて
からだのなかを風が吹いている
輪郭をなぞるように音が流れてぽつりと落ちる
がらんどうに響く軽やかな足取り
追いかけても
そこにはやっぱり何もなかった
青の向こうの哲学
考える葦
煽られ吸 ....
想いの珠がふくらんだり、しぼんだり
どっくん どっくん 鼓動する
あたいは、生きる
明日の家庭科のテスト、林檎の皮剥きできないから手伝ってと呼ばれて、夕焼けをバックに、包丁
を手にしたセーラー服 おまえなんかいなくなればいい 頬から頬に貫通する包丁 口内で林檎 校
内で燐光 きら ....
時計の針が熱を出し
飴のように変形する文字盤
使い古された木製の乳母車が
らせん階段をひとりでに
転がり落ちてゆく
それを追いかけ飛び跳ねる
古びたフランス人形
音の鳴らないトイピア ....
晴れすぎた空を仰いで
晴れなければいけない
と思った
わずかな湿り気も
吸い寄せてしまう
とてもシリカゲルな僕は
そう思った
咲きすぎた花を眺めて
咲かなければいけない
....
近所の野良猫が仔猫を六匹生んだ
ふわふわグレーきれい毛並の仔猫と
左右の目の色が違うオットアイの白猫と
真っ黒けの黒猫と
背中から耳まで黒っぽいトラ縞でお腹は白い仔猫二匹と
最後の一匹はどん ....
引越しの朝は
言い換えれば
旅立ちの朝
窓を開ければ梨畑が広がる小さな部屋であった
季節が巡れば白い花が再び咲くことだろう
春の雪のように
ほんの仮住まいといえ
思い返せば数年の愛着 ....
誰が知っただろう
わたしがあの日 おふろ場で
声をころして 泣いたこと
誰が知っただろう
わたしがあの日 公園で
宙ぶらりんに なったこと
誰が知っただ ....
みつつぶほおばる
あまやかな約束
ほほの裏側を
なでる、そんざい
そうだよね
でも
舌先でころがす
甘味
もう何処まで来てしまったんだろう
振り返ればもう出発点は視えはしない
視界に映るのは遠い後悔か 懐かしい悲しみか
幻だったかのように過ぎ去った愛するひととの日々
振り返れば道は一本だけ
....
楽しいことの向こう側では
苦しいことが待っている (のりぴー)
私は過去を忘れない
なんてよして
こんなに涼しくなって
もうすっかり秋じゃない
季節は廻るって
2丁目の佐藤幸造さ ....
空の透明感
空気の澄んだ香り
星が輝き瞬く夜
何もかもがこの夜に溶け込んで息をする
黒い瞼の奥に誘われてしまえば
より一層闇に支配されて
静かに私も同化する
そうすれば
き ....
白い沙漠にころがる 8つのパーツをみたとき
なかなかいい出来だ、と思った
罪悪感に駆られて食べた中指が
胃の中でじんわり溶ける
よく考えれば
一昨日のきつねう ....
もうすぐ間氷期が終わる
と言ってももうすぐは
宇宙サイズの話だから
明日の事かもしれないし
百年後の事かもしれないし
なかなか終わらないかもしれない
まもなく氷河期がやって来る
....
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