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鳩尾を透過していく
風のライオン
たてがみの感触に
背中が粟立つ
睫毛を蹴って逃げ出す
光のインパラ
ボンネットを飛び移る
逃げ足が眩しい
舗道に投げ出された
影のアミメ ....
ぼくはカピバラさん
ネズミの仲間だけど 人間並みに重くて 温泉が好きで のんびり屋
今はまだ あまり知られていないけど いつかは動物園の人気 ....
黒いサングラスをかけたカンガルーが、ライフルで狙ってる
その陶器製の、白くなめらかな母韻は、
ゴムのような口唇から何度も、何度も、
繰り返し発射されるから
執拗な子守唄に、もう寝付けない夜の― ....
田に水を張ると
一面が鏡になる
田植え前の一瞬
薄い空を映して
今年はどんな年かと
思案している
今年はどんな稲にしようかと
話し合っている
近くの葉桜が
....
夜明けの森を夢見た わたしの閉じたまぶたは
光によってひらかれる あなたの白い
春のような指さきで
わたしのためにあなたは生きていた
わたしが悲しいときははらはらと涙を流した
嬉し ....
その漆黒ボディの目的は何かと問われても
生まれつきだから上手く答えられやしない。
私はご存じのとおりどう見てもコーラだよ。
このボディが理由で困ったことなどないね。
言っておくけどもこのボ ....
水は、万象の旅人
生き物の身体は
彼等の泊まる、仮の宿
水よ
お前が
笑いさざめくのは
春の林床に降り注ぎ
小川を結び、走るとき
お前が
咳き込み ....
水彩の草原に僕はひとり仰向けで、
空をゆく雲を見ている。
淡い太陽の光を縫うような、
ぼやける事のない雲の輪郭を僕は指でなぞった。
寂しくなんてなかった。
なんとなくの不安を誰かに知 ....
人は人生を
(因果因果)と
押して行くんじゃなくて
(果因果因)と
押され続けて、
生きてゆくような気がする・・・。
子どもの頃
大縄跳びが苦手だった
自分の順番がきて
入るタイミングを計っているが
なかなか飛び込めなくて
戸惑っていた
後ろから
早くと背中を押されて
飛び込んだら
いつも縄を踏 ....
小さな凧になって
白い干潟の方へただよっていく
そんな夢をみた
空はいつもの人見知り
いそがしく雲がゆききして
染まるべき色を探している
そんな風力2の午後だ
お湯を沸かす
ドリッパーにフィルターをいれ
カップに乗せる
慣れた手つきで、変わらぬ手順で
コーヒー豆をフィルターに流し入れ
慣らし
静かにお湯 ....
笑いたいときに笑って
泣きたいときに泣いて
あたりまえのことだけど
それって
とっても
美しい
自分の感情に
素直に生きて
素直におもう
そん ....
わたしに
ゆ という文字を
教えてくれた人は
あたかもそれを
ひとふでがきのように
描いてみせるので
その曲線の美しさに
魅せられたわたしは
日暮れて
昏くなるまで
いくどもそれを ....
「僕は君と、めがねの置き方を知らない」
?
洗う習慣がない。ケースに入れたことがない。寝るときはベットの脇に、起きる時は目を瞑ったまま手探りで。僕にとってなくてはならない存在のようで、実は ....
セバスチャン、これが先割れスプーンよ
僕の記憶はこの言葉を最後に消えている。
豆腐ハンバーグを食べていたのは確かだ。
肉と大豆のコラボに心踊ったのも確かだ。
そして先割れスプーンを手にした ....
{引用=
外は雨。
窓のガラスに幾粒もの涙が
透明な線を斜めに描いていく。
ベッドの上からその景色を見上げていると
左手がやさしい感触に包 ....
誰もスペリオル湖の悲哀を知らない。
誰もミシガン湖の慈愛を評価しない。
誰もヒューロン湖の出生に言及せず
誰もエリー湖の瑞々しさに気づかず
誰もオンタリオ湖の覚悟を知らない。
知らないで ....
緑色の小鳥が歌います
夜の夢という名の
美しく透明な時と場所で
小さな嘴で泣くように歌います
墜ちたら死ぬのさ
飛ぶしかない
飛ぶしかない
それが僕の一生なんだ
....
指の絆創膏をはがしてみれば
血は止まったものの
いまだ なまめかしく
傷はそこにあった
たった一日
空気を遮断されただけで そこは
色が蒸発したように
あっけらかんと白く
まるで湯 ....
鴨が水中でエサを探す
大丈夫かな
そう思った頃に顔を出す
すいすい泳ぎ
ついっともぐる
空も川も自在なのか
水の輪が
ひろがるひろがる
私のこころの中にも
風の斜めを斜めに接いで
透明は高く昇りゆく
月の火の径
むらさきの径
黒い肖像
黒い炎
名前は立ち去る
空は
羽に煮立ちだす
指の内の冬
かたち ....
フェラーリのような女が颯爽と乗込んで来た時、電車内は満席だった。
*
女は、妙に似合う黄色の吊革を掴んで立ったまま、彼女よりちょっと薄紅がかった、シャア専用といった感じの、携帯電話を取り ....
凹んだままもどらないこころを
あえて膨らまして生きている弾力をおもう
生きることに引きずり回され
足下がみえないまま歩をすすめて行かねばならない
立ち止まるわけにはゆかないのだ
それが残 ....
誰も書き置きを見ていなかった
赤式部と青式部は知られていない
地下へと続く階段の脇には
だらり、とぶら下がった黒いコンセント
に結ばれた、赤い糸
地下のさびれたライブハウスでは
音程の狂った歌手が
あの頃のみっともない僕みたいな
コッケイな恋の溢 ....
視力が弱り輪郭がボヤケタ月も美しい。
あの日、遺影のそば、泣いた女。
消えた気配。亡くなった子供。
あの日、頬に触れた赤。
伝う水は、裂め目から漏れ。
曇 ....
ポエジーが何色なのか、オレは知らない。
何色のポエジーをお前が欲しがってるのか、オレは知らない。
〈詩情経済〉の鬼市では何色が光り輝くだろうか
沈黙交易のむこう側で、
お前が静 ....
声をあげるべきだろうと思った
今朝はまるで空襲の後の
焼け跡の空に似ている
明るみに出ている
ニンゲンの論理
プラットホームに発着する
列車と時刻表と
疲れきった満員電車の
....
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