ひまわりが咲く季節
佐藤伊織

世界が壊れて
拡散していく私たちはそれを
全身で受け止めた
放射能の雨

あの光の咲く園
大きく息を吸い
鮮烈に燃える火を盗み
走った 
走った

恐れるものはなにもないし
明日という言葉もなかった
ただ
愛する者に
平穏な死が来ることを
願っていた

いま 真っ赤なひまわりが
私の体内を貫いて
咲き誇ろうとしている
赤くただれた肉片のように

昨日泣いていた君が
ようやく今笑ってくれた

笑顔が蛆虫に犯されるまで
私は見ていてあげるから

どうか
安らかに














自由詩 ひまわりが咲く季節 Copyright 佐藤伊織 2011-09-17 00:51:31
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