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同じ道を歩いた
くり返し歩き
くり返し問い
くり返し答え
水の写経のようになにも
こころの所作だけが
ただ――
くり返し祈った
石の中のロザリオ
沈黙の塵は満ちて
尚も空白 ....
小説家は冗長
でいい
詩書きは
舌足らずぐらいでいい
僕は凡人だから
そう思う
横顔の印象は
全てに繋がる
その瞳が
レーニンの
ナポレオンの
イエヤス ....
愛するということは
合わせるということだ
赤ちゃんを愛する母親は
赤ちゃんに合わせる
子どもを愛する先生は
子どもに合わせる
犬を愛する飼い主は
愛犬に合わせる
老父を愛する嫁は
老 ....
僕には出会うべき人々がいる。暗がりのマンションの一室を通り過ぎると、光がさんさんと差してくる。そこには道がある。砂利で未舗装の、木製の電信柱がポツポツと連なる、細い道。水溜りが、雨上がりのススキ野を映 ....
激情を極め
静けさを極め
祈りながら認識し
認識しながら祈る
この飢え切った界で
この哀しみの界で
導かれ 諦め
静謐に包まれ
光り輝くあの日の君を 僕は決して忘れない
先祖代々の墓石の隙間を潜って 緑の節目が
石塔の地下から 企みを生やす
萎れたシキビや花筒の中で息絶えた小菊を
嘲笑うかのように石塔の狭間を一本の青竹が
墓場の敷地すら貫き
天 ....
屋根一杯に
鳩がいる
何かの見間違いかと
車窓から目を凝らす
もしや瓦の形の鳩じゃないか、と
でもやっぱりそれは鳩だった
生きている鳩そのものだった
ねえ、あれ鳩ですよね
....
久しぶりに電話してみる
着信音が十回で、切る
内心ホッとする
まもなく向こうからかかってくる
少し慌てる
「なに?どうかした?」
声を聴いて安堵する
「いやどうもしないけど。今話せるの? ....
男がため息をついている
背中はどんどん小さくなって
いつのまにかそこには
泣きそうな男の子がいるだけになる
男はせきばらいをひとつして
たちあがって歩いて行った
その背中はまだ少年だっ ....
視線を奪われた白いカーブ
狭間のプールの匂い
青かったはずの人工的な水の塊も
夏が終われば緑色になってしまう
とてもしなやかに弧を描いて
滑り落ち、そのまま飛び込んで
水しぶきが舞う
....
失う
出会い
築いては
失い続けて
底を貫く本質
掴み取れたのか
沈んでしまうのか
進む船の舵取り主は
己が意志、病に抗う意志
沈んでしまうのなら仕方ない
精一杯やるんだ、もう ....
おちない眠りが揺らす
あなたにわけたのではなく 重ねたのです
星の明かり 電燈の灯り あなたの言葉
偽りが入り込む隙はない 一心
偽りを燃やし尽くし 開ける朝
あなたのそのひかりさえも数にされてしまう
あなたのそのこどくさえも数にされてしまう
あなたのそのえがおさえも数にされてしまう
あなたのそのことばさえも数にされてしまう
あなたのそのこころさえも ....
気がつくと、
一面真っ白な部屋のなかにいる。
部屋には窓一つない。
空気がこもっている。
部屋中に白い音がする。
天井に向かって手を伸ばすと、
目には見えない皮膜に触れる。
シャボン玉の ....
光と闇が曖昧なところで
法は硬く鳴り続けている
正しさとも善さとも無関係に
法は朗々と鳴り続けている
だがこの法の音律が
軍隊のざわめきを定め
議会の票に数を与え
罪人の肌に烙印を押 ....
子孫へ
2016年9月9日(金)←これは曜日というもので、今のところ7つあります。惑星の感じ(ならび)でつけてあるのだと思います。これから増えたり減ったりするかもしれません。23時47分です。こ ....
ある書物は私を受け入れ、私の居場所を示している。
そんな時私の心は大きく開き、静寂の中の喧騒にただ驚く。
私の頭上に雲はなく、大地の裂け目では清冽な泉がこんこんと湧いている。
私の精 ....
なのであまり大声出さないでほしい。
叫び声なら良い。正義じゃないので。
いっぱい泣いてほしい。それが歌だ。
いっぱい笑ってほしい。それが君だ。
この世でいちばん明るいのは
夜の屋根の
いなびかり
そのあとを
追いかけてくる音は
おそろしいけど、と
小さな人がいう
ならば耳をふさいでごらん
あてがえば
柔らかな手の ....
言葉は道具ではなく、海だ。
心は真実ではなく、愛だ。
言葉はどんどん過激になっていくけど、ことばは変わらないし、ひとはいつまでもひとのまま、楽しくやっている。
このなかで白黒のゴジラを見たことがある人は挙手で
天皇陛下のおきもちを聞いた人
スマップにも森君がいたことを知ってる人
天皇陛下が研究しているのがハゼだと言うことを知っている人
J P ....
予感は、急角度に侵入する胎児だ
樹々が複雑に伸ばした細い腕の先のほうに留まると、其処で眠る
それがいつ後悔に姿を変えるのか瞬間を見たものはいない
気づいた時にはもう
....
曇天に忙しないあたま
陽のサウナからながれ落ちた汗
染みついた女鯒の滑りのようだ
冷珈琲が苦い
台所で背を向けたまま
居間のテレビから声が途切れることもない
「男はつらいよ/噂の寅 ....
人形も関節から
壊れてゆく、ら
しい。継ぎ目は
いつだって弱い
場所だからね。
かつてあなたが
若かった頃、肘
も、膝も、首も
指の中に取り付
けられた小さな
関節たちも、み
な ....
正しいことを君にあげたい
君が
社会に出て気づくこと
世界は
二者択一の連続で
君はほどなく気づくだろう
公平もない
絶対もない
すべてが
相対性の世の中
だが
ほんの短 ....
あなたは秋の空だといい
だれかは今日も暑いという
あめに苦しむときも
風におびえるときも
同じ秋の空の下にいる
足りないものをうめるように
文字にしたくなる心を
あなたは読んでく ....
幼稚園児並みの絵が微笑ましい。
おばあちゃんがおとなの塗り絵を塗っているのが微笑ましい。
僕は僕の色が微笑ましい。この詩が黒色なのが微笑ましい。
色々な色したたくさんの虹が空に架かる。
糸杉の並んだ道
夏のただ中だった
一歩歩くごとに
汗は蒸発していき
肌に残されたものは
べとつくだけの塩辛さだった
暑さのあまり
蝉の声さえ途絶えた
世界には
わたしとあなたしか ....
自販機で水を買う
百円の小ぶりのペットボトル
冷房の効いた車輌を待ちながら
冷たい水を飲む
汗が額から頬へ伝い
顎で雫となって
滴る
あたたかい風が吹き抜ける
ホームの日陰で
私は息 ....
遠い山々の緑がくっきり浮かぶ
夜明け前
烏等は唄を交わし始める。
旅の宿の眼下に広がる風景
明るみゆく教会の隣に
洋風の家があり
朱色の屋根の下に
昔――亀井勝一郎という
文士がい ....
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