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うす汚れた魂を
夜更けに洗う
洗面器に冷たい水を張り
ひとつまみの塩でもみ洗う
不信と後悔がにじみ出て
....
Heはartに
artはHeに
Heartの問題ばかりをなげかける
二00一年十月
白い骨になった祖母が
熱気の中に横たわっていた
八歳の息子が私を見上げる
「お母さん、人ってこうやって焼かれるんだね。」
君に答える言葉がない
だって私も今初めて
焼 ....
オバサン オバサンって ウルサイ!
今は若いアンタたちも
いずれはオバサンになるんだ
その時のために
オバサンの心得を教えておくよ
まず オバサンは
“ 絶対に負けを認めない ”
何 ....
僕は、僕たちは、みんなは、間違えてしまったのだ!
僕は、僕たちは、みんなは、失敗してしまったのだ!
僕は、僕たちは、みんなは、小鳥たちの声にさいなまれている。
そりゃー自信はありましたよ、根 ....
海中を漂う砂粒が、潮流に弄ばれながらも、時には魚の口から鰓へ抜けながらも徐々に沈んでいく。天に在る日輪がその姿を鏡に映している、その鏡である美しい海面から離れて黒い海へと沈んでいく。それは途 ....
つぶれたスーパーの裏には
ひとり郵便ポストが立っている
その赤いからだは色褪せて
ところどころが剥げている
スーパーとともに忘れられ
....
子供はめんどくさい
紙おむつも高いし生活費がかさむ
でも先生なのだな
問いかけることを忘れて
処世に汲々としているぼくたちを
ときどき修正してくれる
大切な生き物だ
....
.
きみたちの{ルビ身体=からだ}から発した熱は
端正な六角の結晶を溶き崩す
時空のしじまをかいくぐりたったいままで保たれていた正クリスタルの羽
気の遠くなる空の上から降りてきたたくさんのたく ....
湯に首までつかると
毛穴という毛穴から吐息が漏れる
立ち昇る湯気が
表情筋をひとつずつ解体していく
たぷたぷ
あごの先端から始まった
温かいさざなみが
湯船のふちを円やかに乗 ....
夜、寝ている間に僕は
優しい形になった
とても優しい形になった
とても優しい形だったので
誰にも怒られなかった
誰も傷つけることはなかった
どうして昼間は
あん ....
それは ふいにこみあげてきて
鳴り響く 主旋律となることはなく
深く沈み
日常の底に
寄り添うように流れて
かすかな音色をも
ひきたてる
だから
哀しみを抱いて生き続けることを
....
透明人間の唯一の欠点は
自分の姿が見えないため
歩行者が自分を避けてくれないこと
そのため透明人間は繁華街や
人混みなどでひとにぶつかる
でもぶつかったひとは何にと想う
そう だれ ....
130117
本部のマネージャー氏曰く
よく噛んで頭脳の活性化を高めるのだ
だから、今日からは、
すべからくりんごは皮ごと囓ること
間違ってもすりおろし ....
朝
お玉におかゆが残ってて
夕べ
ゆきひらでほとほと煮ました
温かいものが食べたくて
お米しかなくて
夕べ
お米を見ました
白くてひかっていて
さらさら洗うとすきとおる ....
(以下英語で)
「カスタマー・サービスです」
「あの、レ・ミゼラブルの上映スケジュールを知りたいのですけど…」
「それでしたらウェブサイトで調べて下さい」
「さっき調べたのですが、 ....
冬の薄暗い回廊を
渡ったところに教室があって
頭痛を抱えたままの君は
そこをめざして歩いていく
壁にはたくさんのテレビがついていて
音もなく瞬きながら
世界中のつらいニュースを
さか ....
130116
ゴジラは怪獣である
怪獣とは奇怪なケダモノだと漢字から読み取った
しかし、
ゴジラはどう考えてもケダモノではない
体毛が無いのだ
....
家の外
小鳥がさえずり
堤防で
草木が萌える
春の明るい昼間は
気持ちがいい
小曲を聞いて
心がウキウキして明るくなる
風も優しく
あらゆる生命が
祝福を受けているようだ
鼻歌に ....
左右 ゆらゆら 動かす鰭(ヒレ)を
滑稽に 眺めながら 足を出す
隙間に 挟まった 鯉は 動けない
隙間に 留まった 恋も 動けない
隙歯に 詰まった 滓は ミットモナイ
カスカスの ....
大人になったら
幸せが飛んでくると思っていた
けれど
幸せの羽は飛び去るためにも存在する
大人って
幸せにちゃんとさよなら、できる人
僕は水色のグライダーではなく
鳥の中でも一番ありふれた
雀やカラスでもなくて
ひばりのように高く
カモメのように鮮やかに
はばたきたいと
願う
風に乗り
....
晴れた日はなるべく外に出るようにしている
昨日は心地よい快晴だったので
ベビーカーをことこと押して散歩に出かけた
布団を干してから、
何も変わらなかった
同じ道を同じように歩き
公 ....
130113
不法な暴力行為を直ちに止めるように命じましたが、全く聞き入れてくれなかったばかりか、凶器まで振りかざしたのでやむなく腕力で阻止しました。被疑者は ....
書こうとしたことを忘れてしまって
空をノックした
誰も出てきてはくれなかった
書こうとしたことを忘れてしまって
目を擦った
視界がさらにぼやけて
手からしょっぱい匂いがした
書こ ....
戦場へ赴く男たちの頬は
どれも蒼褪めて
眼だけが真っ赤な
獣のようにぎらぎらと燃えた
そして一様に
目指しているのだと言う
その先には
膨張しきった黒い太陽があった
女は男の眼 ....
拝啓
今はいつ頃だったか、暦を見なくなって久しく、曜日感覚も失くしてしまいました。俗世から切り離された場所に身を置いていると、今が何の時期なのかよくわからなくなってしまいます。身の回りの変化には ....
純然たる悲劇の恐るべき美に囚われて、
硝子細工の魅力が孕んだある種の危うさに恋して、
そういった思春期的な感性が 薄らいでゆくことが こわい
きっと大人になんてなりたくなかったのだ
なりた ....
僕は東京にいて、それから
ドラッグストアで
風邪薬を万引きした
一度に二錠しか飲めないのに
間違えて三錠飲んだ
健康に何かあってはいけないと思い
布団に入り
ハーモ ....
たとえば
悪意であったなら
オブラートに包んで飲み込む
たとえば
優しさであったなら
丁寧に蒸留したあと
春色のカプセルにして
冬に打ちひしがれた小鳥のために
蒔いておく
た ....
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