許せないこと
長谷川智子


いくらでもある
吐き出しきれないぐらいある
それにとらわれて夜も眠れないこともある


水滴、集中豪雨と雷光
ガラス越しに映るだけだから 怖くない

どころか
向こう岸の出来事にすら見えてしまう

空は青紫で
水滴は透き通っていて
はねた泥が混じることなく きれいに光を映してた

それを見つめる私

空を見上げると 雲は暗く、そして重く
真ん中はコールタールの渦に見える

不思議に汚いとは思えなかった

懐中時計の針が きっかり4時を指していた
それでも眠気は起こらない

どころか
外を眺めるほど 目が冴え渡っていく



しばらくして 頭の芯がゆらいできた
ようやく眠気が迎えに来たらしい

許せなかったことの残影が
ちらりと頭をかすめた



自由詩 許せないこと Copyright 長谷川智子 2008-07-23 04:13:26
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