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あの人は風だった
緑の髪をなびかせ瞳の奥に、あれは
夜明けの光をたたえて 水のようにやわらかい
あの人は風だった
わたしを見つめて笑う 流れる雲を空を映して


あの人は草だった
やさ ....
雨、雨、雨、やさしく閉じて透き通る春の惑いの Aquarium の


ふるえては芽生えるおもいこの胸のうすきガラスを風のララバイ


よんでいる心を奪い冬の鳥はるか Голос 遠くへど ....
潮騒がさわいでいる
白い手のひらを翻しながら


あなたが光を浴びて笑う海辺です
わたしがまぶしそうに昼の月を探す
あなたが風に吹かれてたたずむ海辺です
わたしが泣きだしそうに砂に貝を拾 ....
三月雨、が降る
ほろほろとこぼれて少女は涙する
はちみつ色の瞳を濡らし鼻筋を濡らし
ああけれど溶けてしまうから唇をきゅっと結ぶ


盛り上がる雫は春の水 それとも冬の水
少女に言葉はいら ....
たぶん、枯葉を踏んで
(小気味良いステップで)
たぶん、あなたの森を歩く


あなたの匂いがする森は
いつかどこかで歩いた道
頬を寄せると風が囁く


おはなしをしよう
ブランケ ....
こころさえ、雲を光を追い越してひるがえる風みずいろをよぶ


雨はやく言葉を奪い流れゆくたどる指先このうすみどり


風だけがよんでいる道二人ぼっち朽葉いろした秘密かぞえる


頬杖 ....
わたしの天使は飛び降りる
高い塔からまっさかさまに
天使は翼を広げたまま
わたしへ向かってほほえむだろう


雪が降るように真っ白に
翼は光る冬のはじめの陽射し


   わたしの ....
おやすみ、あなたの黒髪にまだ青い葉をからませ
おやすみ、蔦は赤く、赤く血の色のよう


あなたの血のように赤く 私の血のように赤い
蔦を体に這わせ 木の葉の雨の降りしきるなか
そっと夢みる ....
恋しくて雨のソーダ水飲み干したはじける泡よ恋しくてまだ


ものがたり、は続いている泣きながら夜そして昼あなたの時間


たわいなく戯れ過ぎる風としてもふりむかないで首筋にただ


 ....
いつか飛んだ空をおぼえている
風を切ってどこまでも青い玻璃の岸辺
さかしまに映る幾千の森 草 花の密度
いつか鳴いた声をおぼえている
朝靄の彼方から裂けた絹糸のような
あれはなつかしい 切な ....
青らむ、夏の
わたしの首すじ に
風がひそかな挨拶をおくる


揺れやまぬ草の穂先のいじらしさ
痺れた指でもてあそびながら
あなたのことをかんがえる


青らむ、人の
まなじりの ....
涙なみだ花のつぼみを押し抱きながれるままの失語の春の


ほしいまま虚空をすべる鳥にこそつばさに適う言葉も持たず


指さきを染める苺のいじらしさキスするほどのかわいい夢を


見残 ....
悲しい歌を忘れられない
あなたがいつか手をのばす
その先に何があるのか
指先は語る事を知らず ただ
まばたきもせずに一心に見つめる
あなたのあの眼差しが欲しいと思う
風さえも忘れる束の間の ....
この手の林檎が可愛いので
少し齧ってみる
この手の林檎が可愛いので
もう少し齧ってみる
この酸味はもう秋なのね
喉元に風が吹き過ぎて


秋はどこからやって来るの
秋は私の心から
 ....
祭りの夜は渦巻く貝殻
空はずっと青かった
水の流れをずっと聞いていた
草を噛むとたちまち苦みが
口なかに広がって 星が銀河が
水のように押し寄せて来る


あれは
ケンタウルスのきら ....
「目をこらしてごらんなさい
 この世界はふわふわ漂っている
 箱庭なのです」


風が草の中でささやいている
透明な壁の向こうで
見知らぬ風景がふるるとゆれた
君はそっと魔法の呪文を唱 ....
夏のテーブルは渚
水のように陽だまりがゆれる
私の貝殻はここにあります
波間にさすらった熱い砂は
もうゆるくほどけて


あなたの胸に頬を寄せると
潮騒が聞こえます
時折 やさしく
 ....
裏木戸を開けると
ひぐらしがないている
あの木の下
薄暗い桜の木の下で


闇間に鼻緒が見えている
そり返った白い足の指が
細い脛が折れそうにのびて
あの時もひぐらしがないていた
 ....
何もかも徒労だったと誰が知る
心がはぐれそうな夜は
ただあてもなく歩くのが世のならい


街の灯りがあんなに遠い
くたびれた足で石を蹴り上げると
どこか見知らぬ闇に呑み込まれていった
 ....
仲の良い姉妹がいた
双子みたいだったけど
双子じゃなかった
同じ髪型をし同じ目をし
同じ口もとで笑った


寝る時も食べる時も一緒だった
片時もはなれた事がなかった
花が咲く時も
 ....
なつかしい猫
いつか啼いていた気がする
私だけの思いが影を引いて
路地を今曲がってゆく


そんなに淋しい瞳で
私を見つめないで
やさしく撫でてあげたくなる


さしのべた指先を ....
夕暮れ、薔薇は香っていた
まだ残る夕光の中で
私は花びらをそっとむしりとる
指先がいとしくて
何かを待ちわびて


ふっと夏の透き通る波が
心に押し寄せて来て足先を濡らし
すべてを呑 ....
心変わりをしたい
あなたなんか忘れて
知らないひとについてゆきたい
青い嘘だと知りながら
甘い言葉をささやくひとに
さらわれて夜の向こうに
ジプシーなんかのように
なだれこみたくて
誰 ....
夜のドレープに裂け目が入る
夜明けが裾にそっとくちづけると
私はすべてを脱ぎ捨て
一羽の鷹になって飛んでゆく
まとわりつく冷気を翼で切りながら
あなたを求めて飛んでゆく


   私は ....
光は満ちてゆく
花のような小舟を浮かべて
ふたたびの光は寄せてゆく
まだ浅い夏の水際に


片足を浸して眺めるだけだ
ドアを細めに開けて
そっと知られぬように
飛び立つ小鳥を慈しむよ ....
つとさしのべる指先から
はらはらと はらはらと
こぼれては落ちる春の
あれはあなたと私の約束です
遠い日のひめごとです


はらはらと 散ってゆく
くれない {ルビ淡紅=うすべに} { ....
わたしの頭にもやがかかってゆく
わたしの目に霞がかかってゆく


何も考えられず何も見えず
わたしはまはだかで歩こうとする
草がからみつき肌を切り裂くのもかまわずに
風になぶられる髪がど ....
ホリデイ
青空にはためく白い洗濯物
私は音の出ない口笛を吹きながら
遠くに走る車のきらめきを見ていた
いつか見た潮騒のようだとふと思う
あなたはまだ帰って来ない
風が気持ちいいわ 春のよう ....
私は流れてゆく
水のようになめらかに
時には{ルビ滔々=とうとう}と
時には穏やかなせせらぎになり


私に映るのは雲の流れ
陽のきらめきがいくつも反射する
あるいは透過して泳ぐ魚の群 ....
かつて私の心はまだ白く何も描かれず
風のような手触りがした
誰も知らず 一枚の草の葉のように
静かにそよいで穏やかだった


ふとあやまって落としたインクのように
すべてがいつか変わって ....
beebeeさんの石瀬琳々さんおすすめリスト(33)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
緑の人- 石瀬琳々自由詩16*12-7-19
プリズム- 石瀬琳々短歌8*12-6-14
海辺にて- 石瀬琳々自由詩9*12-4-12
三月雨- 石瀬琳々自由詩16*12-2-23
おはなし、森の- 石瀬琳々自由詩12*12-1-12
Colors- 石瀬琳々短歌7*11-12-8
わたしの天使は- 石瀬琳々自由詩11*11-11-10
ねむり- 石瀬琳々自由詩21*11-10-12
恋しくて- 石瀬琳々短歌6*11-9-7
夏鳥へ- 石瀬琳々自由詩7*11-8-10
青らむ、- 石瀬琳々自由詩30*11-7-7
失語の春- 石瀬琳々短歌8*11-6-9
ダナエ- 石瀬琳々自由詩24*08-10-7
林檎と私- 石瀬琳々自由詩10*08-9-29
ケンタウルスの夜- 石瀬琳々自由詩18*08-9-10
箱庭- 石瀬琳々自由詩7*08-9-4
さよならの砂- 石瀬琳々自由詩10*08-8-27
日暮れの家- 石瀬琳々自由詩26*08-8-19
夜の鉄路- 石瀬琳々自由詩8*08-8-6
姉妹BOX- 石瀬琳々自由詩6*08-7-11
なつかしい猫- 石瀬琳々自由詩9*08-7-2
夏至- 石瀬琳々自由詩23*08-6-19
心変わりをしたい- 石瀬琳々自由詩6*08-6-12
五月の鷹- 石瀬琳々自由詩16*08-5-20
水際、まだ浅い夏の- 石瀬琳々自由詩9*08-5-6
千年桜- 石瀬琳々自由詩7*08-4-9
とらわれの春- 石瀬琳々自由詩10*08-3-27
ホリデイ- 石瀬琳々自由詩16*08-3-12
水の恋歌- 石瀬琳々自由詩9*08-3-5
赤い花- 石瀬琳々自由詩8*08-2-13

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