ああ また白馬が
やってきたんだね
まだぜんぜん食べてないのに
そんな目をして
いつも俺が
しんけんに作った
晩ごはんをふたくちぐらい
ゆっく ....
イメージするたびに
少しずつおまえが遠くなってゆく
大きなヘッドフォンのゆるさは少しも変わらないのに
霞んでゆくような映像のぶれが切ない
ベッドの下を掃除していると
おまえの口紅 ....
夜空にむけて交差するサーチライト
眩しいビームを浴び、汚れて落ちる雪
つめたい降下物の吹き積もる
大雪原の収容所に「声」はない
化学合成された香料の匂いと
いくつかの薬剤を染ませた謎めい ....
あたたかい寝まきです
でも
あたたかいふとんです
おかあさん
頭のほうが寒くて
しんとします
眠ったとたん 朝でした
お昼を食べたら
もう夕ごはん
ふしぎです ....
爪からこぼれる蜜の香りは
やさしく手毬に
塗り込めましょう
今宵
千切れてしまう羽はいくつ
枯れてしまう草木はいくつ
夜露は静かに
鏡となって
子守唄がにじみます
いつわりの片鱗 ....
さなぎがさなぎを終えようとする
待ち受ける憂いの数々は
渦を巻く歓びのなかで
やわらかに
刃となる
饒舌なのぞみはいつも
逃れるすべを根絶やしにして
油彩画はただ
鱗粉にま ....
トランプの表と裏
赤と黒を眺めて
時がすぎるのを待つ
私は小鳩
知っているけど
分からない
何かが違うと
鏡を叩く
それは全く揺れない水面
あなた
もし
あの花の首を刈るなら
....
どうしても人工のものとは思えない
人のこころに射るような煌きが瞳の内にある
縮れのない/長い黒髪が艶々と生きていた
失うべき幼さを残した神々しいほどの美形の顔立ちに
赤い毒色のルージュと ....
じいちゃん ねだっしょ
ばあちゃん ねだっしょ
とうちゃんも かあちゃんも
はぁ ねでしまったども
りりりりり
りりりりり
まどのそとさ きごえる
んだ ....
朝の橋に降りつもる水
最初にわたるものを待っている
粒の大きさの万華鏡
手のひらの内からこぼれつづける
指を伝う細い声
細く細くやわらかな青
微笑んではすりぬける
数 ....
★
・山羊の王
城い-山羊ノa,眼に ア..ア、触れ(e?)るW字の手...Ar!
★
・聖女
リ,リ、黒い-junk'教者の流..r ....
お前の髪
蚕の繭だったらなあ
白くて細くてふわんとしてて
綺麗だろうなあ
俺はお前を紡ぐんだ
糸車を
カラカラ言わせて
それから織って
お前は美しいすべらかな生地になり
....
なびくもののない
丘の斜面に
影はなびき
空へ向かう
影はいつも
空へ向かう
色は草から
外れかける
外れかけたまま
そよぎつづける
陸橋の陰
枯れ川の路 ....
湿り気のなかに{ルビ詩=うた}があり
半身の{ルビ失=な}い私を{ルビ召=よ}んでいる
{ルビ咬合=こうごう}の色
強制情動
朝は汚い
震えは止まない
声は止まない
....
父親が午後に死んでも腹は減る
眠くても胃が痛くても腹は減る
かゆくてもぶつぶつ出ても腹は減る
もどき詩が詩のふりしても腹は減る
鳴り止まぬ洞のむなし ....
ネットはたまに嫌なこともあるけど、
自分の知らないいいことを顕在化してくれる。
ネットは匿名で悪口を言えたりするけど、
普段言いにくいことをいつもより気軽に言えたりする。
いい ....
まるいかたち
まるくないかたちのものが
手ではない手にこぼれ落ち
光や
光ではないものとともに
器のなかで鳴りつづけている
低い草 永い風
畏れをわずかに避ける影
....
夜とカケラと
くず拾いの顔
コップをコップで閉じ込めた輝き
薄め 薄めて
水より薄く
足を伝った油の罪
月は彼等に殺された
私は月を想って泣く
封じた想いは耕され
見たこ ....
?.
あなたを
あなたのすてきなところを
一日
大切にする
あなたを
あなたの汚れたところを
裏返して
日に透かしてみると
おかしな影ができるから
その影に指で ....
朝に
林檎がもがれる
それは
太陽になり
風になり
私のもとへとやって来る
おはよう
ごきげんいかが
と はにかんで
さくりと
歯に当てた
ほのかな酸味
....
旅先で母親に背負われた赤子から
青梅を貰ってきた
長く握々されて熱くなった梅なんか
欲しくはなかったけれど
どうしてもやるというので貰ってきた
いらなくなったからじゃない
奴らは一番好 ....
呪いを受けよう
こころみを よしとしよう
ひらいた腕の
どうしようもなさを呑もう
松嶋慶子
「猫は 所詮畜生なんやから」
生前の祖父の口癖
餌は
人間が食べ終わったあとの身一つ残されていない 骨
そして 鍋底にわずかに残された味噌汁 をかけた冷ご飯
鰹節など、ま ....
風が来て
傘を川に遊ばせ
緑の拍手をする
突然の雨に
水鳥さえ流され
夏は終わる
けがれあるものも
なきものも
小さな痛みを呼ぶ
....
あなたが優しく息を吸い
ふい と息の根を止めた時
私は とても幸福でした
流れる雲は川面に映り
青い空を魚は流れる
錯覚しておいで
この手の平の陽に
飛ぶ魚よ 飛ぶ鳥のように
....
気が付けば
今日の昼はとてもさむい
一羽の黒い鳥が
窓の外で縮こまっているのが見える
「じゃあ、これが最後だね。」
携帯の奥、
凍るような一言
中々出ない一言を振 ....
祖父が亡くなってからずいぶんの時が経つ
お骨になった祖父は白く そしてもろかった
まだ暖かい祖父の骨を私たちは火ばしでついばむ
生きている者を火ばしで持ち上げたりしないすなわち
祖父は名実 ....
そっぽを向いた鏡をなだめて
今日も自分は
この世に映る
日替わりで
ミルクの量が変わるコーヒーをあなたは
おまえの機嫌が手に取るようだ、と
綺麗に笑って
少しずつ飲んでいた
コーヒーにクリープなんか入れるやつは死刑だな、
初めて敬語 ....
目のなかにちいさな音の遊ぶ夜
通りすぎまた通りすぎ唱は降る
手をかすめ消える笑みたち金のいろ
生と死を斜めに飾る毒の花
天と地の ....
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