さあ、季節感
完全に無視しつつ
歌いましょう
サンタクロース イズ カミング トゥー タウン
ねえ、あなたには見えるでしょう
青空に降る雪が
サンタクロース イズ カミング トゥー タ ....
一、
君はすでにその時、落としていたんだよ、君の、愛ってやつを。店員は私の顔を覗き込んで、少しいらいらして言った。私と店員はごみ箱に落とした万年筆を、閉店後に探さなければならなかった。私の愛 ....
今年初めての茄子が採れたので
お義父さんが好きだった
茄子味噌炒めを作ってみました
だけど、いつまでも残っています
冷蔵庫には
茄子一本分の茄子味噌炒めが
ぽつん、と
美味しくな ....
乾いた草が舌の上を這い
取り出せずに残ったものが
息を潜めてうずくまる
理解している
彼らはやがてそこで死ぬ
指先にこの身体を切り開くちからがあったなら
腐敗を免れたかもしれな ....
ひとさし指が青く
午後に挿される
最初に想い出し
最初に忘れるもの
夜に響く手と
真夜中に響く手との差異
進み去る方へ縮む手の群れ
闇の近くに輪を描く
....
かたく包まれたものを見ている
濡らすたびにかたくなり
ほぐしたくてもほぐせないほど
ぴたりとはりつき 包んでいる
水の音がする
さかさまの
水の音がする
もと ....
鍋に牛乳を注ぎ
砂糖を適当に入れて
冷えた状態で
とりあえず木ヘラでかき混ぜる。
鍋底はザラザラし
固体の砂糖をすり潰してるようで
なんか悪い気がしてくる。
ザラザラ感が薄まって ....
沖縄出身らしいコンビの片割れ
何言ってるのか聞きづらいんですけど
それとは違うんだよね
*
前を向くってさ
結局のところ、そう言うことなんだと思う
しつこいぐらい諦 ....
鼓動は通り
鼓動に還る
夜は
そこに無いように在る
夜の坂を下り
振り返る
夜を作るもの
何もなさを照らす
黄金と黒の
二重の円のなかで
せめぎ ....
差していたビニール傘には
雨が滴となって付いていて
細く包めるときに
水となって手に拡がり付いた。
とりあえずズボンの生地で拭ったら
沁み跡として残った。
湿気を帯びた空気の中
黒髪で太 ....
驚きもした
五月晴れの雲間に
自転車集団
あればいいと思ったものは
ないんだけれど
君と僕との間に信号機はあって
ずっと
耳たぶを引っ張るしぐさは
多分照れ隠し
ひぐらしの声がコ ....
涙をつむり
歩くときには
薄い窓がみな
薄い空に歩き出す
夜の鏡に像はあふれて
すぎるたび ただ
うしろに寄せて
幻にはさまれ
揺らぎながら
道は ....
この街に雨なんていらなかったはずなのに
梅雨が来たからってだれひとり喜ぶ術もなかったのに
転ぶようにして降りる戸越公園駅のみじかいホームは
いつも苦手だった
ドアカットがなかったころの ....
※婿島のアホウドリ 小笠原
羽毛採取の乱獲100年
個体数2000ほど
鳥島から雛を避難
海面に浮き上がった獲物を
風を味方にして
長駆滑空して捕らえる
海の女王
羽ばた ....
苦楽に昏く
光にひかれる
浅い朝
毒づく独創
はかない破壊も
夜に寄る
懐かしい夏
日々響く声
皆向く南の空
消えゆく気へ
波立つ涙
割られる笑い
散文さん ....
昔々、
真昼の公園で
だれよりも巧みに
おままごとをしてみせた
きみが主婦で
ぼくが会社員で
時は今、
少し違うのは
きみもぼく ....
山奥の名所旧跡の傍ら
誇りを失ったゲージの中の鳶
胡乱な眼で見物人を眺める
その眷属と同じ記憶を追いながら
丘を越えて吹いてくるそよ風
丘を覆い尽くした向日葵は
風にそよいで小 ....
無駄骨になった骨が
くずれおち
骨なしという骨が
はばをきかせ
骨ぬきとなったわたしは
座ぶとんのように
ぺちゃんこになって
眠った
骨の折れた一日 ....
気のせいなら良いのだけど
こころなしか自分勝手なひと増えたような
今朝もわたしの背中を押し退けていった若い女性
謝るでもなく当然な顔してたっけ
あの日からなのかな
誰もが涙して
....
ふと気付いて
絵の具の白をさがした
ああ、
やっぱり無いな
いつも
原色が眩しすぎて
白を混ぜてた
眩しすぎて 辛くて
堪えられ ....
接近しあうことだけ
常日頃おもうだけ
おなじこと
おなじとき感じるため
切磋琢磨するだけ
愛は邪魔、去れ
重いだけ
恋をして
ぼくたちは ....
ぎょうざを焼いていたら
「星の王子さま」を読みたくなり
けれど本がみつからず
木を抱くようにあなたを抱いて
森との正しい関係について
ためらい
分割払いのようなキスは
うわのそらで
お互いの調和は水 ....
静かに明るい
夜の午後の朝
ひとつの曇から
すべてはすべてにはじまってゆく
花の窓に映る午後
通りには
黒い服の人々が立ち
じっと空を染めている
路地へ ....
{引用=いつまでも眠ってるフリして
芝居が下手な君
普段よりも綺麗でしょ?
と語りかけるような唇
人差し指に水を晒し それを乾いた唇に引く
少しクセのある髪を 手グシで直してあげる
僕 ....
そらには大きな口がある
風でくちづけしてくるくせに
無口なところがいとおしい
そらには大きな腕もある
胸いっぱいに星を抱き
ついでに燕をつまめるく ....
すべての葉たち
わらってる
しゃべってる
楽器を弾いて
いるみたい
風が吹き
よりどりみどり
揺れる時
東海道大震災で、子供三人連れて福岡に避難してきた、めーちゃん。
おじいちゃんがご危篤で、5月のサウンドデモの2日後、子供を連れて福島に戻っていった彼女。
今日、片道1300キロの道のり ....
赤く開いた傷口に
橙の光をなすりつけ合って
黄ばんだ言葉を交わしながらも
緑葉であり続けようとした僕達は
....
泥の水しぶきが見えた
遠くで 鴨が日差しと戯れていた
私は持っていたはずの金を無くし
憧れていた 遠い故郷の アメリカへの思いを馳せるばかりだ
今日することは もう 無くした
こ ....
押入れの年月を乱しつつ
奥からあの頃がつまった
プラスチックな衣装ケースを取り出す。
サイドの留めを外し
外気に飛び出た空気を嗅ぐ。
服の折り重なりに手を入れて探り
小さくたたまれた私だっ ....
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