ひとしずく
器 くちもと
遠くを
ぬぐう
ひとくちを
映す
静かな渦が
冬の曇を見る
膝の上の
鈍色の背
どこかで
どこかが
うたっ ....
剥がれてもなお身を削る付け焼き刃
死人らの声聞き飽きて冬燃やす
首くくる光の如き窓のうた
忘れては腐りなお呑む火酒かな
....
木の葉の奥の
窓の灯
到かない地を告げる
ひとり と
つぶやくもののなかの
ひとり
響き
光の洞
青 散り積もる
水を這い
背を ....
窓 雪音
指 しずく
たどるままに
ころがる闇
水と光と
骨の轍が丘をめぐる
わずかな冬のはらわたを
苦く苦く抱きとめている
半ば沈んだ
舟の ....
冬枯れの木立のつづく泥濘の道、
小さな水溜りに爽やかな青空を映して
名も知れぬ誰かの、
虚しく残した懸命な足跡を
突然、山の麓から軋む音ともに登ってきた
四角張った黄色い一匹の獣が、
鋼鉄 ....
早朝に目から冬空吸い込めば高くそびえる水銀の道
誰も居ぬ場所を迷えば誰か居る今にもいのち消える目をして
星が噛み窓が割れても空ふたつ棄て置かれし ....
凪と鉛
曇が地へ落とす火
色より広いまぶしさの
まなざしのふちを洗う雨
水を踏み
坂をのぼり
鈍を振る
頭は 音になる
空に浮かぶ火が薄まり
他の火を ....
こすりつけなすりつけても骨ひとつ炎のなかに己れ染めゆく
路地裏の真昼飛ぶ夢みるときに知らず知らずに携える骨
灰よりも大きく滴の外に出ず元のかたち ....
からだを巡る車輪の音を
まばたくことで消しながら
足跡のない足音の
応えのつづきを聴きながら
道に浮かぶ狭い暗がり
雪から雪が生まれては去る
ひとつの鉱を ....
静かな日
雨の海
庭の瞳
はざまとはばたき
銀と鉛
指ひとつ
滴のなかの
鉄 ひとつ
息の道に立ちどまり
手首を返し 風を離す
緑の陰の水が動き ....
灰とむらさき
雨の上の火
かわいた光
海と曇
午後の髪
見つめる目
はざまの冬
まばたきの子
すぎさる たなびく
包み紙の旗
変わりつづける
足跡に降る
置 ....
吐息が
しろく曇るのを見ると
少し、安心できる
わたしの日々は
ほぼ偽りかも知れないけれど
熱だけは、進もうとする熱だけは
たしかに思えて
安心できる
いつだっ ....
光にまぎれ
冬にまぎれる
ひとつひとつ
空に満ちる
花のかたちの水
ひらこうとする指さき
指さきは 指さき
雪になり陽になり
見えなくなり散らばる
....
つぼみを壊した
誰にも言えぬままだった
庭のすみで彼らは責める
降る雪のなか咲きほこる
....
布団に入ると
からだが伸び
足が出てしまう
いつも凍え
いつも
地を飛んでいる
忘れたくないものを
燃やし 撒き散らしながら
忘れたいものを
....
隙間のうたが家をなぞる
屋根を除き暗く浮かぶ
金と緑 水と水
互いを招く 打ち寄せる
棄てられた庭
蔓が壁に描く大木
雨の音 波の音
色の音 鎮む音
遠 ....
何処へゆく何処を向いても冬の日に無数の星のなかのかげろう
読み仮名は誰のためでもあらずしてただ自らの崩れし証
細く在るからだすべてに陽を浴びる幽かな ....
きんいろを通り
きんいろになる
ずっと ずっと
鳴っている
遠くのような
近くから来る
生は治る
生は響く
雨が雨をすぎるとき
滴に残る
影 ....
なだらかな
未分化の稜線
言葉少なな
ひとつの泡
曇間の明かり
水が水を分ける音
一枚の葉
星の裏まで
同じ大きさ
旧い川に
ふいに沸く銀
....
静けさと静けさ
くりかえす甘噛み
打ち寄せるたび
持ち去られる秘
からだを通る水は痛く
まばたきの奥に声は拙い
手のひらの火
一瞬の重なり
滴が鉱に ....
白へ白へ旅をする
木目の道の途切れるところ
裸足の足指
つまびくことの
終わりとはじまり
小さな柱がいくつかつづき
見えない川を示している
枯れた花が陽を拾う
....
鳥滴光声
距離もなく
ただ在る
手水原香
数もなく
ただ鳴る
壁もなく窓もなく
ただまばゆく
既 ....
ポタージュが冷めるのを待てず
やけどする舌
冷たい朝に
湯気の向こうで
陽の光が磨りガラスにはじく
無邪気なほどきらきらと
関東地方の今朝は今年一番の冷え込み
半袖のニットを着た ....
三つの空のある窓に
光の穴があいている
動きつづける点の奥から
はざまの唱が聞こえくる
朝の翳り
夜の白銀
窓しか照らさぬ窓から来るもの
倒れ砕けた木のむこう
....
住む人の居なくなった実家
風を通すために帰省して
東京に帰る日の昼食は
味噌ラーメンが美味しいと
親父が通っていた店で食べる
若いころ札幌で食べた
味噌ラーメンの味に魅せられた親父 ....
りんりんりん
秋の夜空からおちてくるのは
おうぎの、おうごんの
しゃんしゃんしゃん
セル画のごとく、ぱらぱらら
「今宵はたけのこごはんだよ」
しゃきしゃき
夜の秋は長いなんて
....
以前、株の売買をしていて、現在は惨憺たる状態なのですが、そのことをお話ししたいと思います。
株をはじめたのは3年ほど前、株ブームが起こっていた頃です。その頃は、東証の一日の出来高が45億株を超え、バ ....
生きものと光を
行き来する生きもの
真昼に飲む水 音になる水
静かな明かりの目をした子に
わたす音はふたつある
明日の朝 霧が晴れたら
望むところへ進めるように
....
百年の花が咲く
音だけの虹
昇る夕べ
鳴る穂を抱く
水の穂
指の穂
おまえを
おまえに与えられずに
叫びつづけた 水に映した
明るい貝殻
問 ....
ひとつのつづき
ひとつの雨
祈る者なく
響きは在る
青や灰の音
縦に巡る空
滴ひとつ
離れるうた
熱の歪みがさらに歪み
様々な濃さの黒のきれはし
羽 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189