少しうつろに離されている
夜はいつも目の前を往く
あらゆる段差に驚かぬよう
強く強く歯をくいしばる
割れては集まる動きのなかで
曇は水に近づいてゆく
昨日消えたした ....
ドレスを着た小さな子が
ドアをあけようとして固まっていた
思っていたより重かったので
半開きのままふんばっていた
うし!うし!うし!
うし!うし!うし!
すり足でず ....
むいしきの
おとが
きしむ
はんせい
はんせい
きょうも
はんせいって
あっちで
すべったって
こっちで
ころんだって
だめだめ
だめだよって
じぶんに
....
ただ純粋に
お互いの心を言葉で繋ぎ止めていたであろうあの頃
少なくとも世界は君の形をしていた
君はいつか
いつかたくさんの言葉達を空気中に散乱させ
こぼした涙がそ ....
知らない街で
洗濯物が揺れている
風に洗われて
青空を映しながら
知らない道に
鳥の羽根が落ちている
素通りなど出来なかった
「これは大空の破片なのだ」と
....
パンダ部の先輩は
いばってる
パンダ部にいる人は
出世が早いという噂
コアラ部の部長は
いつも深刻な顔してるけど
その割に
取り越し苦労が多い
ゾウ部の女性社員は
いつも大量の書類を ....
梳き櫛の息の根をわたし止めて
泣く姿、の、無音部分
を拭った指、の
薄命部分、月に透かせば
血潮は青ざめるばかりで
発光もせず
黒髪、の
窒息密度で、黙ったままの ....
首が痛いんだ
そんなこと言えないんだけど
首が痛いんだ
こんなに吐息を感じるけど
君が気に入ってるならそれでいい
君に気に入られるならそれがいい
でも
首が痛いんだ
「 ....
お前にね
居留守を使われたことはショックだったぜ
俺がお前にあげた物も
そろいでかったストラップも
一緒にとった写真も
処分したのか
お前の心の中の俺は
そう ....
ねぇ あんた寂しい人だね
テレビもつけないで
CDも聴かないで
ただ ぼんやり
煙草をふかしながら
扇風機の音を聴いてんのか
俺と同じ
俺と同じだぜ
窓から世界が見えすぎるので
何度も何度も触れつづけては
指とガラスをたしかめていた
消えた素顔をたしかめていた
描かれた線に雨は重なり
音だけを残して見えなくなった
....
目の奥にまぎれこんだ
木のかけらを見つけては
通りすがりの墓場に撒いた
月蝕との対話
目の奥のジャズ
つながらない影
土と鉄線
音は雪に
音は虫に
光はバップ
....
藪には花が咲いた
鳥の姿はなかった
銀を捜す風の目に
鳥は映らなかった
太陽は傾いだまま
午後の熱を失わず
光の刺さる音だけが
森のなかに響いていた
鳥は ....
いつも車で通った道を
自転車で走る
この坂は思った以上にキツイ
けれど下り坂は
気持ちいい開放感
大きな樫の木は
いつもより大きくて
一時停止
下か ....
夜で潤んだ廊下のタイルに
こぼれていた非常口の灯りは
緑
それなのに
何からも 何処からも
匂いの消えた夜だった
緑色に 浸りたい
そんな気がしていたのは
....
小さな手
小さな目
欠けた空を映す鏡に
歌のかけらを置いてゆく
重なりつづけ
重なりつづけ
どこにもつながることのない
造られた花のような子供たち
たじろぐ腕をとり
....
応え 光 微笑み うた
かわそうとして
かわすことができずに受けとめ
あふれ こぼれ 消えてゆく
応え 光 微笑み うた
受けとめようとして
受けとめることができずに
あふれ こ ....
昨晩 幽霊の子が部屋に来て
コンピュータの前に座り
しばらく居座っているウイルスと
何やら会話をしていた
書きとめようとしたが
いつのまにか眠ってしまった
目が覚めると
....
夜に降る夜から幻になり
分かれゆく灯の端から現になる
光の鱗に満ちる窓
ふちどりの迷路を世界は流れる
ふたつに割れたわたしそれぞれに
天から地から
糸のような鉄が差し ....
私が真冬を歩いていると
太陽の童貞が落ちていた
私はそれを慌てて拾う
そして忘れてしまう
私が真昼を磨いていると
青空の処女が堕ちてきた
私はそれを慌てて隠す
そして再び忘れてし ....
使いが来たら
病院へ行くことになってた
アル中のあなたが
最後に入院した病院へ
肝硬変
だけ
じゃ
ないみたい
だね
いろんなこと教えてくれた
年上のひと
体に心に
消 ....
空にはたくさんの色があった
傾いたその縁に支えられたのはいつだっけ
鉄塔が突き刺さった夕日
思い出せないほど前から続く
そんな夕暮れ
帰ろう
が口癖だった頃
いつも隣のあの人が
....
細く開けたより扉より覗き視る、眼球
にとっての、夏
そこから、差し込む昼の筋が
はっきりと割る、私
半分でいいから、どうか、連れて行ってちょうだい
とは、一言も言えぬうちに昼 ....
風を
包んだ
雨の羽の
横たわりゆく地にて
しめやかになった夏を
やわらかになったアスファルトを
踏む
その
私の
リズムの
ひとつひとつに含まれた 私の
しめや ....
角膜の表面にて
夏の日は湿った瞬きだらけになり
結局はわたし目蓋でその色彩を瞑り流します
そう、悲しい映写幕として
角膜は常時日陰です
鼓膜の表面にて
夏の波動は痒みに酷似 ....
僕は
アパートメントの窓から
君の住んでいた方に
見惚れている
君が
虹をつむぐ
優しい指の
君が
終わりを告げる
優しい眼の ....
雨と雨のはざまに射抜かれ
さくさくと血は流れ出る
こんなにもうつろになってはじめて
流れ込むもののまぶしさに
いくつもの目を閉じることができる
光る灰は銀ではなく
....
できることなら
明るいトコに取り出して
この想い 見て欲しい
言葉では
綴りきれない
曖昧な色あいを
できることなら
あなたの心で
解説 ....
わたしを
知りたいというわたしはいない
わたしは
わたしが鳥でも人でもかまわない
わたしは
あなたによってかたちになるのに
わたしは
あなたがあなたなのかわからない
わたしは
....
泡立たず
飛散した
夏の光の下
沸騰前のアスファルト
その沈黙、の蒸れ上がり
その、陽炎
提げた虫籠の中
音から立つ
蝉の
匂い
それを
汗を分泌して拒み ....
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