にわか雨は窓ガラスを叩く激しさで
海辺の汐臭さをわたしの部屋まで連れて来た
波音のひたひた寄せるテーブルで
いつか拾った貝殻の擦れる音色がする
ハンガーにかけたわたしの白いブラウス
温もりの ....
自分くらいは
自分を好きでいて
いいよねって

そうすれば
ひとりぼっちじゃないからね

わたしはいつも
わたしといっしょ

あなたに
なんて渡さない
 
 
 
白く続く世界
腕を伸ばせば掴める
それはいつかの僕の夢
壊れかかった生命

いつからだろう
僕の心には誰かが棲みついて
気付けば見えない糸で
操られた抜け殻
鏡の向こうに映るのは
 ....
いや、
もう私が書かなくてもねえ
素敵な書き手の方はゴマンといますね
じゃあやめるわ
読むだけにするわ
と思うときは沢山あるですよ
あるですよってどうよ
けど、
そういう時に限ってなん ....
暗がりのなかの光の道
滴の道
空の強弱のはじまり
花の墓に降る朝の雨
遠い遠い雷のような
音の無いむらさき
弔いの日を染める



色とりどりの衣を着て
荒れた地に横 ....
想いはどこへ連れて行こう
涙はどこで手放そう
忘れられないことばかりを持って
僕らは何度もここに生まれた

円く繋がった道を歩こう
いつまでも終われない街を抜けよう
ガードレールの上で両 ....
生きものたちが空を揺らし
雲の間に鏡をつくる
午後から夜へ
鏡は割れ
鏡は増え
ひとつひとつに
生きものたちの息を映す



青 灰 灰 青
銀 燐 燐 銀 
まわ ....
ゆるは {ルビ温=ゆる}
ゆるは You Will
ゆるはやがて現われる



こどものために
しずくのために
私はこの名をはためかす








 ....
「ようこそ」
「君の顔の前に浮かんでいるのは何?」
「ガラスだよ」
「いま左手でガラスの右のほうを
 右手で左のほうを引っ掻いたね
 でも何も音がしなかったし
 ついた ....
夜に、わたしは 
はしたないほど口を開けますから 
どうぞそこから私の中に 
入っておいでなさい
 
内側から私を喰い尽くして 
やがて空洞になった私の躰は 
それでもまだぬるま湯ほ ....
夜明けの手を絶ち
かたちなきものを奪い
罪を重ねる


やがてうごめくものたち
うごめくものたち
偽りの鳥たち


限られた光の下の影ふみ
遠くゆうるりと
震える獣の星 ....
笑ってたんだ
笑ってたんだ
きっと
あったかい土に抱かれて
優しい雨に愛されて
まだ見ぬ地上の風に憧れて
君たち 泥んこぼうず達は
笑って
幸せに
暮らしてたんだ
そして 素直に育 ....
どうしよう なきそうだ

いままで あまえていた 

ははの 

せなかから

すべりおちてしまった みたいだ

あんまり

ちいさくなっていたから

なでてあげようとした ....
もう嫌だガーターベルト殴り捨てひじょうかいだん3段目飛ぶ



ザラザラの苺飴玉もらったら舐めたらいまから忘れてやるから



イバラ姫口をつぐんだきれえな娘バスはアラシの真ん中を行く ....
春の底に吐息する
ヒナゲシの色彩の
ポッ、と尽きて灰になる予感に
逆らわず、半音ずつ春の底へ
半音ずつ春の底へ、身を委ね、静まる
少女のスカートがフレアを
静か ....
雨の天使が
岩の物語を読んでいる
{ルビ静寂=しじま}と{ルビ静寂=しじま}を
鳥の声が{ルビ継=つな}ぐ
焼き捨てられた本の煙
地から天へ帰る雨



恵みの恵み
 ....
雨を見る蝶
草を分ける黒い道
滝の音にふりかえり
光が空を割るのを見る
西の半分がとても暗く
夜風は水のにおいになってゆく



壊れた傘が
春を乗せたまま川を流れ ....
僕は、女が欲しい
女のかたちではなく、女というものだ
できれば女のかたちに入っていると
うれしいが
それが別のかたちでもかまわない

君がもしも男だとしたら
僕は女というものになりた ....
紙屋町から橋を渡ると
折り鶴に祈りを捧げるための
順番待ちの列
それは確かに祈りのかたちだが
朝夕の公園掃除とは
似てもにつかない

ベンチに座り
おにぎりを取り出すと
えらそうに鳩 ....
今日も誰かに傷付けられた
気付かないうちに痣があちこちに
あの瞬間の言葉が蘇って
恐怖に震えている
何が怖いのか判らないというのに

どうして私にあんな事を言うの
凄く苦しくて夜も眠れな ....
夜と衣をまちがえて
午後の星を踏みしいた
小さなしずくは列を知らない
うたはいつもひとりに生まれた


指の色が溶けてはあふれ
紙の道を分けてゆく
紙の色は不義の色
 ....
ボウフラは夢を見る、
希望の果ての、
水溜を。

カゲロウは旅立つ、
蜃気楼の彼方の、
空を求めて。


カタツムリは、
無理をする。
せっかちなん ....
ああ、男は36階の屋上で
誰一人居ない 屋上の一角で
この世の切なさと
この世の厳しさに
ゴクゴクと酒を飲む
だが、しかし
不本意にもああ、不本意にも
足を酔いに取られ
誤ってフェンス ....
窓際で外を眺める四角い風景
透明な硝子が心を縛り付ける
ここにはいたくない
そう思うのだけど
どうして僕はここにいるのだろう

寡黙に歩く黒衣の参列
白い花に飾られた柩は中心に
誰ひと ....
けして明日へつながるとはいえない
痛点の少ない あなたの指を
かたちも色も知っているのに
ふたたび降りはじめるそのときまで
ふたたび忘れているのでした
忘れることなく ....
怒りを失い
怒りをさまよう
朽ちた腕 朽ちた拳
いのりのように
ねむりのように
土へ向かう



目覚めゆく音
水紋の音
高く堅く過ぎゆく音
聞こえない風の戯れに
 ....
たにんはほっとけばいい
たにんなんてどうでもいい
ほっとけ

きみがナニかしたいならすればいいし
きみがナニもしたくないなら
しなきゃいい

そんなにむりしてえらばなくても
なんでも ....
色とりどりの花片の散り敷かれた舗道は
華やかな体面をたもちながら
苛立ちを隠しきれずに風を待つ

永遠に灰色であることはささやかな安穏
たとえ幾千もの足に踏み入られても

艶麗である ....
{ルビξ=クシー}の波が
中庭のまわりを
ひとくくり漂う
崩れることなく
水平線までつながり
微笑みのはじまりのように微笑む


謎が終わり
風が生まれ
緑を示し
目 ....
それは言葉にならない思いであった
母は母であった
息子は息子であった
いずれは離れ離れになる定めだった
『ふたりは生き別れる』
それは別段、不幸なことでもなく
いつまでも悔恨に捕らわれるこ ....
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