牽かれていく二すじの偏光
孤独な少年の手なぐさみ
自転車にまだ補助輪があったころ
ぼくは愛されていたかしら
いなかったかしら
初夏の予感が初めて来たとき
駅前通りに二匹の妖精 ....
般若心経には
ぎゃあていぎゃあていはらそうぎゃあていぼうじいそわか、
この真言を唱えれば
執着とは意味のないものだ、ほかに大切なものがあるのだ、
これが会得できると書いてある
....
有限時間というリュックサックに
たくさん詰め込んだ愛や心配
一つ出し二つ出ししてゆくうちに
リュックサックには
あなたのこころが入ってゆく
それがあったかくて
....
少し遠くにいるあなたへ言葉を投げかける
言葉はメロディのように滑らかに
空中を軽やかにステップするでなく
少し自信なさげに
ひらがなは途中でぽろりぽろりと落ちていき
漢字 ....
お年寄りの入浴介助前に
同僚のU君が着替えた後はいつも
僕の下の引き出しが閉まらないまま
脱いだ衣類が、もりあがっている
引き出しを開けるたび
骨が折れるが
日頃の僕にも気 ....
そこに
握り締めていたものが
怒りだったのか
憎しみだったのか
恐れだったのか
あるいは優しさだったのか
まるで思い出せない
たとえ
プライドの端を踏んづけられても
握らない ....
降る夜のなかの樹々
空へ空へ落ちる雨
水が水に
乞いつづけるうた
浜辺と岸辺
正負の境界
ただひとつの無数の鈴
外の耳へ鳴りひびく
羽に落ちる花影を
....
つまらぬことで口げんかをして
下の階にいた嫁さん・子供を呼んできて
布団の上に座らせて
ごめん、ごめん、と育児にこった肩をゆっくり揉んだ
布団の上にひとりあぐらをかいて腕を組む、午 ....
風に
正義を負わせるな
風に
味方を尋ねるな
雨に
慈悲など求めるな
雨に
素顔を尋ねるな
真っすぐに立て
力の限り
言い訳の一切を
支えにかえて
....
5時半にうちを出て朝一の新幹線で東京にゆく
坂道の向こうでは日が顔を出しているのだろう
まだ見えない太陽で外が明るかった
この時間三ヶ月まえまだ会社にゆく道は夜だった
そしてあの頃ぼくはまだ純 ....
君のために雨のなか
スーパーへ水菜を買いに行った
料理用の鋏を入れて
細い翡翠色のくきも緑の葉も
みんなガラス容器にあけて
たったそれだけのサラダ
台所には オリーブオイルしか
ないよ
....
青い瞳の中に
沈みかかる方舟
手を振れば
手を振り返す
遥か彼方から
震えた体を
異人の言葉が抱きしめてくる
温め合う心と心
黒い瞳の中から
ありったけのサンキューを
....
昨年のお昼まえ
花びらに涙するおんなを見つめていた
泣く理由なんてたくさんあった
だけどぼくは
それを不思議がるふりをしていた
サラダにスリゴマをかける
アボガドをいれる
炒めたベーコ ....
揺れながら
曖昧な記憶
鞄の中にもないのでポケットに手を入れる
鉛筆を落としたらしい
グチュリと音が響く
電車のなかで落花生を踏みつぶしてしまった
席が二つ空いていた
酒臭いお ....
納屋は鉢植えの葉っぱが判別もできないほど、伸び放題の雑草に囲まれていた
やわらかな西日が微かに反射するプリズム
曇った硝子の汚れを異物に浮かび上がらせて、枯れた観葉植物の茎根が足元に絡み付く
....
四月病ってあるらしい
さりとて年度替りの初々しい賑わいとは
とうに縁遠くなっているのだから
花散らしの雨もあがり葉桜と化した桜並木を
これでよいのだと独りごちながら歩む
※
....
不器用な詩人を撫でる桜まじ
花篝燃えてくれるなまた泣ける
哲学の道を流れる花筏
散るまでの夢と知りつつ桜酒
高瀬川乳飲み子抱いて花の雨
岡崎の桜回廊象の声
....
彼はハトムネを二羽飼っています
以前彼はハトの形をした
クッキーを作る工場で働いていました
或る日彼は眠くてたまらずたまらず
たくさんのハトの形をしたクッキーが流れる
ベルトコンベアーに ....
過去は変えられないけれど未来は変えられる
そんな箴言を吐く奴はうそつきだ
過去は変えられるし
過去を変えなければ未来は変えられない
あらゆる過去を変えるために
ひとは宇宙のあちこちで
あ ....
不器用なのだ
皆と一緒に
綺麗に泳げないから
海底の泥の中で
ぶつぶつと独り言を
溜め込んでいる
腹が減ると
ぬめったアンテナを
おずおずと立てて
雑魚をおびき寄せては
....
オレは傷つきやすいヒトだから
オマエの言う事なんかに耳は貸さない
アスファルトの無限の連なりに出過ぎた
赤いコートの物乞いの過ぎ去る一瞬に
一瞥を投げるのみ
カーラジオの蝿・蚊の軽い唸りや
....
彼女の頭の上には小さな水溜りがあって
そこには綺麗な魚が棲んでいる
僕の額には小さな木が生えていて
その枝に、時々、小鳥が止まったりする
とかな ....
でこぼこしていた大好きが
たましいにプリントされて
僕のたましいそのものになっていた
だからもうあんなに痛くはなかった
あなたは僕のいちぶです
やっとここまで辿り着けたよ ....
{画像=120414154847.jpg}
春に向う
眠りから覚めるがよい。
若者よ目を開けよ。
口を少しく開けたそのけだるい表情こそ
生得の感覚。
風を感じるがよい。
足の ....
今日、北朝鮮がミサイルの発射に失敗したため次は核実験するかもしれないなどと報道されていました。
その一方で日本は大飯原発を再稼働させようとしています。
今日北朝鮮をわらった日本 ....
冷たい雨が降ってきた
おれは黒々と木のようで
心臓だけがガス灯
何を照らすでもなく ぼんやりと立っていた
小さな春は震えていた
おれの心臓に寄り添い 冷え切ったからだを温めた
....
百円で買った文庫本
アメリカのとある古い短編小説
マウンテンパーカーの前ポケに
ちょうどだからと出かけるときに文庫本
雨がぱらぱら
結局ざぁざぁ
一日降って傘をさし ....
あきらめられた真昼には
羽で見えない筆の在り処
青と金 また青と金
酒瓶の底に立ちつくす地図
鳥が煙に生ませた子
どこまで歌い
地を揺らすやら
羽毛を羽毛になぞる ....
路傍に苔むす王たる剣が
背とはらわたの国に敗れ去るとき
わたしはまつりごとを酸に溶かし
永遠に厠で廻っていよう
曇うがつ陽の行方を確かめぬまま
春が生む負を見届けぬまま
....
花びらたちが役目を終えてきみへと流れ出す
きみから涙は出ないのに
あしもとには戻らないため息の砂塵がしみ込んで
希望が小さい竜巻のよう わたげのよう
くるりくるりのてーま
空けた球体の ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189