誰にも話さないで
誰にも聞かないで
ゆめなど散り散りにもえてく
そして貧しくなっていくこころ
指も開けば寒い
瞼はディープな森とかし
捜査難航、回顧困難 わたしたちは落ち葉
そこからとび ....
魚体の見えた気がした
部屋の片隅で
過去の私であることを思い浮かべた
朝である湖畔で
一つの思いの並べられた水面に
真っ白な釣り糸を垂れると、
真っ白の何が釣れるのかと、
巨 ....
いつも前をみなさひと叱つてくれた母/あでやかに彩(いろ)めきわたし生涯初のだいびんぐ/息をみたし瞼をとぢて“さよなら”のかたちで関節をのばす
すでに顔をそむけ唇を噛みしめ/母のしおからひ指先をは ....
時の隙間に迷い込んだ男は私なのか。私はもう定時だから帰りたかった。回りは上がろうとはしない。売り上げの上がらない会社にいてもしょうがない。もう辞めるべきだな。電話が鳴る。誰か取れよ。俺は疲れたんだ ....
人のようにも
穴のようにも見える影が
石の壁に沈んでいる
黒を造る
三本の樹
黒より黒く
黒より低く
雨の日と揺れ
辺りの音と
異なる震え
わずかな ....
死地のように獣も
死地のように獣も
頭の上の宙空から
常に何かを発しながら
進む道を午後に変えてゆく
....
そらに
コップがうかんでる
ほんらいの
とうめいなすがたで
にどと
われることもなく
コップに
なることもなく
俺にはもう何にもすることは無いような気がした
部屋の中でニタニタとした 笑いを浮かべている男
釣り竿を持ちながら訳もなく微笑みのこぼれる瞬間であるかのように
少し危ない精神を持っている自分自 ....
うつろな視界の外側で小鳥の囀る気配
ひとしきり肩の上を行ったり来たり
動こうとせぬ私の様子をいぶかしく感じたのか
右の頬を軽く啄み樹海の奥へと飛び去った
時の感覚を失う
それがこんなにも ....
日曜日の夕暮れが刻一刻と沈んでいく街の明かりがとても寂しかった。昼頃に私は目を覚まして、やるべきこともなくしてパスタをゆでていた。何も私には味付けに対するイメージが何もわかなかった。卵をいれてみよ ....
逃げるな
電車は来る
連れていく
時間通りに
決められた
その経路を
なぞるために
伸びる轍だ
逃げるな
明日はくる
世界に
嘘の雨が降る
私の呼吸は
それに従う ....
小さな鳥が豆を啄んでいる
その豆はでも私の豆なのだ
小さな鳥が啄んでいる豆は
その豆はでも私の豆なのだ
恒久の世界平和を祈念する
父さんはニ層式洗濯機の中で
ぐるぐる洗われている
家族みんなに
臭いって言われるから
姉さんは乾燥機の中で
父さんと同じように
だけどひっそりと回っている
好きな ....
毎朝君の家の前を
自転車で通り過ぎる
しばらく走ると
駅に向かう君の後ろ姿が見える
昨日も会えた
一昨日も会えた
そして今日も会えた
艶やかなロングヘアーが
朝日を浴びて輝 ....
窓を閉めれば
肌を撫でる寒さは居留守を使われ
ガラスを通り抜けて
冷たくなった雰囲気を
盛り上げる穏やかな
秋の太陽に温まった教室
昨日までそばにいた
串刺しの的はもうい ....
私は飛んでやってきたんだ
聞いているかい
欲しいんだよ 君が 私は
楽しんでいるかい 今日も孤独だ
遠くに山が 私は見えない
イギリスやオランダの商船
負けじと出航するよ 私 ....
窓に映る窓に映る窓に映る窓の奥の
水も枝も光もひとつに
人の外からこちらを見ている
無いものを踏むたびにたちのぼる
生きものの夜
かがやきのない星に満ちた
小さ ....
森を乞う
雨というサークルがあるなら足を踏み入れてみたい
それは穴という穴から
窪みという窪みに媚びりついた悔恨の手垢が
思い出の活性剤となるようきれいさっぱりに落としてもくれる
....
ふうがわりなふくをきて
ちちがははを
こんわくさせる
にあってると
おもってるみたい
ふきだしながら
ははがわたしにみみうちする
だからだまって
にあってるねと
....
違うというのなら誰かここで明確に説明してほしい
私は少し焦りすぎていたような気がする
今は みんなに悪いと思う
砂場が見えた 一人で 子供が遊んでいる
俺なのかもしれないと思った あれは ....
うれひを小脇にかかへ
不眠の患者の眼のうへ ありく
うすひ壁なぞすすす あへなし
やる気もうせたこのカラだ
サイレントピアノを百年たたく 人真似よろしく
肺病む少女をゆうれひ ....
秋になったら家を出る
軍手とシャベルを持って遠く遠く
九月いっぱいは歩き続ける
十月は釣りなどして過ごす
十一月が木々を染め出したら
場所を決めて、あとは待つ
落葉を敷きつめてその上に座る ....
強烈なマー坊豆腐を食べたみたいに何か鼻が苦しい、
全身から大量の汗が吹き出してくるようだ、
もうきっと駄目なんだ、
私は唐辛子なんてもう絶対食べない。
嫌いになりそうだった、人間な ....
かつて、私の泣き声の
代わりに歌ってくれた小さな川
その横を闊歩する
今の私の泣き声は
私の子宮にうずまいているから
軽やかに
川縁を散歩することが
できる
水の流れる音
さらさ ....
おお、そうか、薔薇か、薔薇を育ててみたいのか、
彼らはそう言ってとても喜んだ
それなら、この本を読みなさい、とくにここは口に出して何度も読みなさい、
彼らはそう言って励ましてくれた
....
行方満ちる目
未明ひとつ触れ
踊りかなしく
ひと呑みひと呑みが
耳につもり
うなじを下り
冬の馬が削る
原 崖 丘
かけらを ふりほどいて
....
誰だってカラフルな菓子を食べていれば 人は幸せに思える
人に私は失業者の白い目で見られながら
日本という国の寂しさを実感する
今日私が手にしたのは何色の菓子なのだろうと見ている
瀬名 ....
夜空に視線を移さなきゃ
涙が零れるのを隠せやしない
本当に孤独という奴は
どうしても現の後に訪れるのやら
生きているその理由を尋ねられれば
永遠で無限の静寂を恐れるからと答えよう
早く ....
「じれったい!」と叫んでいた男の背中にすがりつこうとして
彼が必要としてたのは私じゃないことに気付く
う〜ん、淋しいかも
開けてはいけない扉を自らの意思で開けてしまったのだし
それが愛 ....
しじみはしゃべらないけれど、
しじみ同志にしかわからない事があるのかも
しれない。しじみにはしじみのことばがあっ
て、いまも会話をしているのかもしれない。
海の風に立ち
素肌は陽 ....
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