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それから、ぼくたちは
かくれんぼをした
十数えて目を開けて
探したけれどきみはいなくて


それなのに、例えば
ぼくの腰近くまで伸びた草だとか
時折何かがはねているせせらぎとか
どれ ....
週末の三条大橋はちょっとしたお祭りだ
駅から出てくる人と駅に向かう人
遊びに繰り出す人と帰宅途中の人
お酒や香水のにおいが混じりあい
鴨川では小さなジャズライブが行われている


駅に向 ....
うちから少し歩いたところに住宅街があった
大通りから出る七本の細い道で構成されており
それぞれの道には一号通りから七号通りまで
安直な名前が付けられていた


小学校に上がって通い始めた書 ....
橙色に照らされた木造二階建てのアパート
蹴飛ばせば簡単に壊れてしまいそうな垣根から
紅色の白粉花がその艶やかな顔を出す


やがて来る闇に飲み込まれてしまう前に
黒くて固い種子をてのひらに ....
あんなに耳障りだった蝉の声も
虫眼鏡で集めたみたいな痛い陽射しも
まるで色あせ始めた遠い物語


なだらかな坂道を自転車でおりると
向かい風がほんのわずかの後れ毛を揺らす
時折小石が顔を ....
夏の空が広く見えるのは
余計なものが流されているからだろう


小学生の頃の一番の友だちは
国語の教科書と学級文庫と図書室の空気
頁をめくったときの薄っぺらい音と
綺麗に並ぶ印刷の文字が ....
わざわざ好んで痛みを求める必要などない
足場の悪い苦境を選ぶ必要もない
水面に浮かぶ蓮の花みたいに白々と
空っぽの美しさを知ることのほうが重要だ

ぽかんと丸い広がる空の誕生日が
ぼくと一 ....
季節のしるしを見つけたくて
うろうろと瞳を泳がせ歩いていたら
夢とうつつの小さなすき間に
足をとられて転んでしまった

うつぶせで顔を伏せたまま
両手をありったけ広げてみる
土の匂いが身 ....
しなびたような風にはたはたと
力なく揺れている黄色い旗

近くの小学校からだろう
校内アナウンスが外に漏れ聞こえる
時折キンとした音が混じりながら

光化学スモッグ注意報が発令されました ....
つかまえることの出来ない
角の取れた風が丸く波打つ

花ごと落ちてしまったつつじが
こつ、こつと小石にぶつかり
涼しい上流から泳いできた

花街にいる女性の唇のような
程よく熟した艶の ....
生きることは
漂流することだ

海路は
はっきりと見えるものではなくて
だから時々迷ってしまったり
沈んでしまいそうになる

大波にさらわれたら
口からぷくぷくと細かな泡を吐き出し
 ....
落ちた数を数えるよりも
水滴の生まれた場所が知りたかった

ささやき声も空気を振動させるような
ぎりぎり均衡を保っているこの小さな空間で
破裂する寸前の風船みたいな緊張感の中
今、きみが生 ....
ぼくたちはきっと
忘れるために生きているんだね

呼吸の数だけ物語があって
さめてしまった二酸化炭素から
秘密の木箱に片付ける
時々開けて眺めては
過ぎた呼吸を試してみる

そんなこ ....
突き抜けた青天から目をそらし
振り返ってしまうことがためらわれ
気付かなかったことにした

水滴ひとつ浮かばない箱を抱えて
所在を見つけようともしなかった
抜けた羽毛を一枚入れて
ふたを ....
おもむくままに、旅に出ようか

規則正しいかたかたとした音は
恐らく鞄に忍ばせた貯金箱
目を閉じればそれは
大きな機関車のタイヤに変わる

太陽はなだらかに線路を作り
どこまで続いてい ....
隣の家のカナリヤが
萌黄色の羽根を少し震わせ
細長く高らかな声で
ちよちよと鳴いています

向こうから歩いてくるねえさまの
頭に飾ったかんざしには
うすももいろの桜がしだれており
控え ....
花に嫌われても
空に嫌われても
ひとつ、こころに光を与え

雲に見放されても
虹に見放されても
ひたすらに、愛を捧げたい

瓶底眼鏡をかけなおしたら
世界はぐにゃりと曲がって見えた
 ....
この絵に
足りないものがあるとしたら

瞳の奥に色を使うのを忘れ
きっとぼくは
二次元のような顔をしていたと思う

もしもこの中から
たったひとつ選べるのなら
今のぼくならきっと迷わ ....
夜空の月と昼下がりの菜の花はよく似ている

時に道しるべになり
時に風景のアクセントになり
時に心奪われる

瞬きの方法を忘れたら空を見上げる

際立つ眩しさに気をとられると
いつの ....
土の香りを喜ぶには
まだ余りにも未成熟だった

美しく咲く花道の
景色を楽しみ 香りを楽しむ
甘いものを胸いっぱいに吸い込み
とろとろと溶けてしまいそうになりながら
溺れているのが少女の ....
どこからか、来た
たんぽぽの綿毛


風をさかのぼる


きみの名前は何だったっけ
そうだ、確か
うさぎ


足跡をたどる


その声は誰だったっけ
そうだ、たしか
 ....
きみに逢えた日に
桜が咲きました


花壇にはたくさんの花
わたしは名前を知らないけれど
きみと同じくらいかわいかったことを忘れません


かわいい花と空と季節ときみを
気付かぬう ....
もうずっとずっと昔のことだ


公園でかくれんぼをしていた
わたしは見つからないように
自分よりも背の高いしげみに隠れた


しゃがんでふと斜め上を見ると
大きな蜘蛛が巣を作っていた ....
未有花さんのあ。さんおすすめリスト(23)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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いちご通りの話をしよう- あ。自由詩15*09-9-25
夕化粧- あ。自由詩19*09-9-3
夏休み- あ。自由詩22*09-8-26
かげおくり- あ。自由詩24*09-8-9
ア、雨- あ。自由詩9*09-6-8
みちくさ紀行- あ。自由詩7*09-5-21
陽炎の記憶- あ。自由詩10*09-5-11
ながれ、ばな- あ。自由詩4*09-5-7
大後悔時代- あ。自由詩9*09-5-5
水滴の生まれる場所- あ。自由詩17*09-4-30
ぼくたちが生きている、ひとつの話- あ。自由詩5*09-4-25
祈ることで許されると思っていた- あ。自由詩25*09-4-21
からたち列車- あ。自由詩6*09-4-17
春の歌- あ。自由詩3*09-4-14
流線型のうた- あ。自由詩2*09-4-13
肖像画- あ。自由詩7*09-4-6
月と菜の花- あ。自由詩3*09-4-5
命の香り- あ。自由詩8*09-4-1
春の機械- あ。自由詩5*09-3-30
春をうたう__愛をうたう- あ。自由詩3*09-3-25
ふるえる糸- あ。自由詩6*09-2-27

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