みちくさ紀行
あ。

季節のしるしを見つけたくて
うろうろと瞳を泳がせ歩いていたら
夢とうつつの小さなすき間に
足をとられて転んでしまった

うつぶせで顔を伏せたまま
両手をありったけ広げてみる
土の匂いが身体に染み渡り
大地を抱きしめる感覚

大きくひと呼吸したらころり
あおむけで手を伸ばす
光と風を丁寧に浴びる
空を抱きしめる感覚

一度に両方を抱きしめたいと
そんなことを思うのは
贅沢でわがままでしょうかね

終わりの見えない一本道
その真ん中で大の字になっている
前を見て歩くことばかり考えていた
こうやって止まって視線を広げれば
わき道の美しさにも気付くのに

少しくらい予定が遅れても
まあいいかと笑っていよう
誰にも内緒でそっとみちくさ

指で触れた先には
隠れるように花開く昼顔
その葉とゆっくり握手をした


自由詩 みちくさ紀行 Copyright あ。 2009-05-21 00:05:35
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