心が苦しくて思い出した。
そらの とこ

ある日のことです。

泣き虫王国と、
淋しがり王国が、
喧嘩になりました。

それは大きな大きな喧嘩で。
まるで戦争のようでした。

泣き虫王国の人々は、
お守りを手に、
嗚咽を止められませんでした。

淋しがり王国の人々は、
ぬいぐるみを抱いて、
みんなで寄り添っていました。

泣き虫王国の人々は、
淋しい爆弾を淋しがり王国へ投げました。

淋しがり王国は、
とてもとても淋しくなり、
しょんぼりしながら、
泣き虫王国へ涙の鉄砲を撃ちました。

泣き虫王国の人々は、
あっという間にしくしく泣き出してしまいました。

泣き虫王国はもう戦えません。
淋しがり王国もみんな攻撃できません。

喧嘩は終わりました。
だけどそれはまるで戦争で、
死者は出なかったものの、
大勢の人がお空の上の国へ旅立って行きました。

お互いの国王は手を握りしっかりハグをし。
もうこれっきりにしようねと誓いました。

だけど、死者は止まりません。
みんなみんな遠い国へ行き。

残ったのは広大な砂漠とほんの少しのオアシスでした。

夜になると星が綺麗だそうです。
たくさんたくさん、キラキラと。

ふっと淋しくなった時、
ふっと泣きたくなった時、
人々は砂漠へ行くのです。

いつしかそんな習慣ができ。
砂漠は少しずつ回復しようと、
今日も王国を思い出して。


自由詩 心が苦しくて思い出した。 Copyright そらの とこ 2007-12-08 17:36:24
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