「花」
菊尾

嫌い
好き
嫌い
好き
嫌い

最後に好きが残った


あの頃の気持ちは大人になるにつれて
汚れてしまったり
自分から手離したりしてしまったけど

人を純粋に真っ直ぐに好きになる気持ちは
まだあたしの中で生き続けている

今日はあの花を探しに出かけよう
押し花にして手紙を書いてみよう

前髪をサイドに流してピンで留めて
スエード調のパンプスを履いて外へ出た
自転車があたしの前を通り過ぎていく
車輪の影が一瞬だけ足に重なった
太陽はもう、あんなところ


秋があたしを歩かせてくれる

心の中で呟いて

あたしは前を見て


自由詩 「花」 Copyright 菊尾 2007-11-20 19:09:08
notebook Home 戻る