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あの{ルビ鋼=はがね}の壁を
いつしか破れると信じて
今日まで生きてきた
壁一直線に何度も叩いた拳は
赤鬼よりも おどろおどろしく
涼しげな白の壁が 次第に青くなっていく
この一振 ....
この香りが五月でもないのに
懐かしさが全身に{ルビ迸=ほとばし}る
僕は気になる この香りが
逆らいに倒れた僕をそっと
この華奢な体が抱いてくれた
揺れまいと
木の葉が{ルビ頑=か ....
いつもの時間の
いつものバスに乗って
いつもの席の
いつもの窓に
いつもの体制で 頬杖付けば
いつもの眩しい日差しが入ってくる
いつものように 目を細め
いつもの 陽の当たらない反対 ....
望んでない炎
炎に{ルビ塗=まみ}れた稲わらが強引に{ルビ傾=かし}げる
カーテン越しから囁く者たちは
そこから離れなさいと
ただ 唇を動かす
ありえない色
塗り替えられた あの土地 ....
{引用=いつまでも眠ってるフリして
芝居が下手な君
普段よりも綺麗でしょ?
と語りかけるような唇
人差し指に水を晒し それを乾いた唇に引く
少しクセのある髪を 手グシで直してあげる
僕 ....