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白い魚を
この両目に見た
淡い午後のこと
そこらじゅうに
焼きついていたのは
光だけだった
水槽のような
街にきみは泳 ....
やさしさに躓いて
長い冬はセーターを編む
遠ざかる音楽に耳を澄ませば
寒さのなかにあのひとの温もり
息苦しさは募りゆく
はっと目覚めるコーヒーの朝 ....
森に歌え
回廊に響け
ルチウスのヴァイオリン
少年の痛みを
世界にはびこる欺瞞を
ルチウスのヴァイオリン
まちがった正しさや
反吐をも ....
君の身体の片隅に
夕焼けが腰をおろすころ
僕は心の模様をたどる
君の存在を指でなぞる
それは下書きのまま君にあげる
いつまでも清書でき ....
それは光のなかに
夕暮れどきの街灯にある
一〇〇円ライターの炎のなかに
乱反射する水面にある
やさしい気持ちが消えないように
祈り続ける心の奥に
....
木もれ陽を少し切り取って
フローリングの上にそっと並べた
緑色のきらめきが心に滲んで
手のひらに新しい血が通う
表面的な話をしよう
未だ触れてさえ ....
ぼくは真綿だった
たった一つの雫がぼくの総てを染めた
夕焼けはぼくを畏れさせ
きみのもつ昏さがぼくをひきつけた
棘はまるで無かったけれど
....
しんとした
もりのおく
ざわめいた
ゆめのあと
くちびるで
きみのこえ
ゆびさきで
きみのこえ
たしかめる
たしかめる
....
終わらない物語
引き出しの奥の奥に
しまったままの白い貝殻
遠くかすかな波の声
終わらない散歩
夜が明けた次もまた夜
顕微鏡でも望遠鏡でも
....
あのひとは僕の日々だった
飲みかけの牛乳パックなんか見てると
なぜか思い出してしまう
あのひとと話した 他愛のない未来
使い慣れたグラスにミ ....
静かな真昼の道端に
ぼくは黙ってころがったまま
小さな石ころのようです
三月の風がやって来て
ざわざわ気持ちをなでるのです
ほらブランコもゆれてい ....
窓のむこうの
樫の木のむこうの
こがらしより むこうの
空が染まるのをみた
はずなのに いま
なにもみえない
窓はかすかにくもり
樫の ....