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{ルビ箸立=はしたて}に
ひっそりと立っている お箸
いのちの橋渡しを行うもの
せつなさをとおりこして
うれしさがあふれそうな
いのちの輝きの
道のりを
真っすぐに
みおくって ....
あきらめは
落葉に{ルビ埋=うず}まる倒木だ
{ルビ水面=すいめん}に浮かぶ枯れ葉の息だ
全てに対し
後ろめたいことの無い
青い空をあおぐ
倒木も枯れ葉も
{ルビ生命 ....
午前零時の産声が
真夜中を、とおりすぎて
青雲でゆれていました
しかしながら
その姿を見た者は
だれひとりとしていなかったのです
川岸に転がっていた小石を持ち帰り
庭のすみっこに置い ....
いさり火の あかく燃えたつ 秋の暮れ
いっぴきの蜘蛛は、
自分の領分をわきまえて
一心に一糸の糸を張りめぐらす。
それはそれは正確で絶妙に
果して、
わたしはどう ....
真夏に日車は、咲いている
雷鳴の空を裂く。
轟音で目を覚ます
一輪車に稲光りが青白く反射する
一瞬で葉陰の殻は黒焦げになり
焼けた臭いに鼻をひる
傘の骨はしろがね色で
{ルビ死灰 ....
雲
あんまり空が
低いので
私は泣いて みたのです
いいえ私は泣きません
ひとつも涙は零れません
とけてゆかない成分だから。
ひとり
あなたをきずつけぬよう ....
西日の{ルビ紅=くれない}に照らされた
誰もいない部屋の
あの日は永遠に暮れずに
私を傾きつづけて
太陽電池式腕時計の刻みつづける
秒針の先にひっかかっている
スープに影はささないでい ....