ぬっとり湿った夜の膜を
そっとふたつの指で広げれば
胸を裂くような光のしたを
あたたかさ、なさけなさの影が歩いていた

カーブミラーの歪みのなかの
少しだけ正しい領域を
裸足で歩くわたし ....
ある日ふとおかあさんとおとうさんに
問わずにはいられなかった

「戦争ってそんなに悪いことなの?」
「当たり前のことも分からないなんて、そんな教育をした覚えはありません!」
「僕たちが平和の ....
いくつもの門を通り
いくつもの問を越え
理解と誤解をなだらかに重ねては
綴り合わせる 欲望の道すがら
まるで古い雑誌の切り抜きや色紙を
ぺらぺら捲るような 陽気な悲しみ
目深に被り直して
 ....
かなしみが、一律に同じ形をしていれば、いくらだって切り貼りして、いびつな模型を作ってみせる。

言葉なんてあいまいで、うそ、のひと言で理解してしまえる。うそがうそであることが、なによりうつくしい。 ....
すべては上手くいくさ
と口にしながら歩き出すと
なんとなく
なんとなく
ほんとにそう思えてきて
顔をあげると
なおまっとうに歩きだせる
これが意気揚々というやつか
と笑みまで浮かんで
 ....
陽の光が乱反射している

この町の匂いと音

この部屋に

私が居る

確かに私の肉体と霊とがひとつになり

私がこの世に居る

空から飛行機の飛ぶ音が響く

私は居る
 ....
咲いた翌日から続く
低温と
強風にも耐え
寄り添って直立を支えあう

ある日訪れる真夏の陽気に
結束は緩み
感熱性の花びらは
ひた隠してきた
雌しべ雄しべの位置をも露に
くろぐろと ....
ところどころ染みがあったり
生活のほつれを永遠に修復の終わらない遺跡のように身体に
こびりつけたまま時に非日常の夢を見る

晴れときどき詩人みたいな気がする日には
あえて蛙の被り物を棄てて芋 ....
「覚めない夢もいつかは覚める

闇の深みにスポットライト
行き来するたび変身する
――あなた
咬み合うヒュドラのよう
分裂と統合の具象化
象徴としての女神よ
純・錯覚 恋は
中空の象 ....
 赤黒い熱い塊が喉のおくでガラガラガラ音を立てている。からまってまるまった舌で窒息しそうだ。舌が体に飲み込まれようとしている私は、必死で舌をン、と指でつまんでまっすぐにしてよだれが垂れる。幾千幾万どこ .... 優しく 優しく 優しくしたいのに ごめんね

電話の相手は不具合で私の灯火の余裕が吹き消されそう
テーブルの横でつかまり立ちを口を尖がらせて練習する弟
そしてやがて3歳になるお兄ちゃん ....
コンパスのように立て
最初から最後まで
近寄ることも遠ざかることもない
己の中心に
想いは帆のように憧れを孕み
どこまでも出歩くだろう


コンパスのように立て
滾る情熱は千切れるほ ....
      裏庭に面した
   ガラス戸をあけると
冬のあいだ 我慢していた
   レィスのカァテンが
    待ちわびたように
 それは見事な波を創って
        (そして
   ....
なにもない
わたしのなかには
わたしがいるだけ
気だるげな猫のように
死後硬直は始まっている
小さな火種が迷い込むと
すぐに燻り 発火し 燃え上って
肉の焼ける匂い
骨が爆ぜる――生枝 ....
*エロス

熱い唇が夜に溶ける
重ねた皮膚は
殻のないぬめやかな二枚貝

弄ばれた魂が
半周遅れの月影に
しろい波濤を刻んでいる

脱ぎ捨てられた衣に
まだ残る体温が
生温い喘 ....
応接間のおおきなガラス窓が雨ににじむ
雨ごしの庭って
おとうさんの画集にあった
モネのすいれんみたいできれい
ドガのおどりこはなんだかこわい

おかあさんは砂糖は骨がとけるという
おばあ ....
当たり前すぎることだから
素直に応じた
お椀に浮かべた麩のように
あなたはあなたに浸されている


――まるで 無い 
     ない みたい


家では
タツノオトシゴの溺愛
 ....
心配していることなんてきっと
うんざりするほど感じているだろうから
心配してますアピールなんてしない 
幸せを願っていることなんて
どうせ痛いほど感じているだろうから
言わないでおく
心配 ....
もう怖いものはない
願いは
叶ったんだね
神様は
応えてくれた
長い間祈りつづけた
切実な想い
どんなことにも
動じない
情に流されず
欲望に負けない
容易く泣きもしない
理性 ....
糸の切れた人形の
瞳はガラス玉
投げ出された四肢に
絡みつく子蛇の
分かれた舌先が味わう
花の蜜は
右が苦くて左が甘い

人生の味よと誰かが言った
人形が薄く笑う夕刻の
一番星は青 ....
――黄金が憎いのだ
魅入られ 争い奪い合う 不動の価値が
金の卵を生む鶏は腹を裂かれて殺された
その輝きが飼い主を愚かにした
鳥でも蛇でもおよそ卵には天性の美のフォルムがある
それは新たな命 ....
    わがやのまよこの
       原っぱには
(ときには鴉が来るけれど)
 幼い子たちを待ちわびて
 晴雨をいとわず座ってる
   木製ベンチと滑り台
    ジャングルジムや
  ....
日本の富裕層40人の資産が全世帯の半数が持つ資産とほぼ同額らしい

よくこういう言い方で格差社会を危惧するひとがいるがどうなんだろう

たった40人なんてマイノリティの彼らに、そんな超薄いコン ....
遅い花火が
ひらめきひらき ひろがったまま
低い空を漂っている
未明を持たない遅い夜を
音より淡く漂っている


岩のはざまから見える枯れ野に
光の枯れ木が立ってい ....
おとなの字じゃないから
と口をとがらせたとき
ルーズリーフに
野花が咲いたのかと思った
息づかいのリズムで
少しだけゆれる髪と
同じようにさらさらと走るペン
の後に花が咲いたのかと
あ ....
【人間になれなかった】
人間になれなかった
野原をひたすらつんのめり
海原を懸命に切り裂いた
だが
人間になれなかった
人間はずっと向こうにある
どこを走ったのか
どこを泳いだのか
 ....
すでに起きたのか 
これから起きることか
おまえの吐息 ひとつの形のない果実は
始まりと終わりを霧に包み
不意に揺れ 乱れても 損なわれることのない
水面の月の冷たさへ
わたしの内耳を し ....
ちいさな公園で
ブランコをこいでいる
あれはともだち

ほうりだされたカバン
あそびすり切れたクツ

おりおりのかわいい花
うつりかわる葉のいろ
近くなる遠くなる空
すりむいて熱い ....
樹木の恥じらいが小鳥の逢瀬を覆う頃
光を浴びてあなた
光を断って歩き
文字から浮き立つイメージのように
境界を越えて往く
今朝の雫にふるえながら幼さを脱いだ
蝶のように 華やぎながら
― ....
たましいが
夜に錆びたぶらんこのように鳴っている

どこへいったの ねぇ わたしの半身たち
あざの浮かんだ あなた
詩を書くのがじょうずだった あなた

半身がふたり 抜け落ちた わたし ....
そらの珊瑚さんのおすすめリスト(8177)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
犯す- 印あかり自由詩20+*17-5-25
戦争- 田中修子自由詩9*17-5-24
白い頂のよう- ただのみ ...自由詩16*17-5-24
つぶやきにおけるささやかな砂。- 木築自由詩517-5-24
のっぺらぼうの町- AB(な ...自由詩9*17-5-22
わたしは居る- 星丘涙自由詩5*17-5-22
チューリップが限界に気づく時- Lucy自由詩10*17-5-21
エピグラフ- 梅昆布茶自由詩12*17-5-20
Ennui/ある朝の人生論- ただのみ ...自由詩5*17-5-20
首吊りの森- 田中修子散文(批評 ...3*17-5-19
怪獣と怪獣- 朝焼彩茜 ...自由詩1217-5-19
コンパスのように立て- ただのみ ...自由詩12*17-5-17
五月の風- 信天翁自由詩817-5-14
喚き散らす肉- ただのみ ...自由詩14*17-5-13
エロスと憧憬- 白島真自由詩10+*17-5-13
子どもの澄んでる、のぞいてる- 田中修子自由詩7*17-5-12
一人の女優に捧げる詩- ただのみ ...自由詩8*17-5-10
君の誕生日- Lucy自由詩12*17-5-10
鉄の心臓- Lucy自由詩417-5-7
蛇と人形- 卯月とわ ...自由詩417-5-6
ある錬金術師の告白- ただのみ ...自由詩9*17-5-6
つつじが丘四号公園- 信天翁自由詩517-5-6
マイノリティ・リポート- 吉岡ペペ ...自由詩217-5-6
ひとつ_したたり- 木立 悟自由詩117-5-6
帰る(五月雨降られ)4- AB(な ...自由詩7*17-5-5
青春の記憶(小詩集)- 宣井龍人自由詩14*17-5-4
濡れた火の喪失- ただのみ ...自由詩18*17-5-3
さよならブランコ- 田中修子自由詩13*17-5-1
ご旅行ですか、お嬢さん- ただのみ ...自由詩10*17-4-29
泣く鬼- 田中修子自由詩7*17-4-28

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