父の手をさする

硬く曲がったままの指を
一本ずつひろげ
滞ったものが
少しずつ流れていくように
強張ったものが
僅かにほぐれていくように

節くれだった
頑丈な父の手

鍬を ....
孤独じゃないと 言い聞かせては
孤独でいようと 必死だったよ
いつかどこかで 出会いなおそうと
思えるくらいには 時が過ぎたよ



荒れ果てた町の 荒れ朽ちた部屋は
一人分だけの  ....
ぬいぐるみを口にあてて金が欲しいと叫んだ 一片の未練もなく
人を切ることができるなら
こんな憂鬱な雨の中だって
やすやすと泳いで渡っていけそうだ

あなたは繊細だから、と
人にいわれた
それは褒め言葉ではなく
弱い人間だと露呈 ....
なだらかな丘を映した 湖はのどかで
ラズベリーのいばらに 縁取られた小径で夢見た
ふと目で雲を追う詩人のこころには
気の遠くなるような 循環が刻まれていただろう

自然などという言葉が  ....
ふるさとを知らない
おふくろ、ってどんなだろう
父さんは愛をくれたひと
猫も愛をくれて、もういない

いまテディと暮らしている
終の棲家となりそうだ
産まれたベッドは東京だから
ここも ....
私は知っていました
あの林檎に毒が入っていたことを。
隣国の王子様が
私を見つめていたことを。

私は知りながら食べました。
毒の入った赤い林檎を。
倒れた私に王子様が
キスをくれ ....
死にたくなる街を歩く足に魚の目 夏の庭には自然が蔓延る
カマキリが三角頭をかしげ 
雑草が繁茂して人間の通り道をふさぐ
葉裏から湧き出る蚊 
這い出すヤスデ
ときには小型の蜂が哨戒し花を個別訪問する

手入れした庭の美 ....
わずかばかりの乗客を乗せた
昼下がりの鈍行列車の
窓を少しだけ開いてみると
六月の薫風がそっと忍びこんできて
僕の睫毛を醒ますのだった


この車両は最後尾なので
終着駅に到着する
 ....
なんとかここから這い出そうと
あらん限り手を伸ばしても
握りしめるのは砂ばかりで
こっちだよこっちだよと
地底から伸びる生ぬるい手に
足首を絡めとられる

もがくたびに砂を呑み込み
喉 ....
 
ダンボールに愛が1ヶ

ワレモノ注意

落とさないでください、くだけます



 
おしるしが来てから二日後
夜、下っ腹に引きつる痛みがあった

陣痛 前駆陣痛か はたまた胎盤が剥がれてしまったのか
ネットで調べる仰向けの オロオロ妊婦

これは我慢できる痛みだから 陣痛 ....
{画像=140615125414.jpg}
(ジョウビタキの♀)



これまでは耳を開ける事はなく
いつも音楽を流し込んでいた
今はイヤホンを外して
外界の音を追っている
鳥の鳴き ....
電車に忘れた傘といっしょに消えてて欲しい過去 根を断ち切ろうとしたから
枯死しかけたのだ
根は父からの愛

古い蔓を伐ったから
新芽は萎れたのだ
古い蔓は母からの愛

依存することを嫌い
愛されることを拒んで

君は自分にな ....
蹴破る足はないが
閉された扉の前で待つ気もない
おれ自身が監獄
   だから言葉は旅人だ
去り行く背中に
   翼など無く
     タダノモジノラレツ蟲は

   預言の首飾りの哀歌 ....
海の匂いがする風が

過ぎていく時に
光と
圧と
匂いと
音で
描く



   飛ぶ

 
鳥は
海風に向かい
まるで静止しているように飛ぶ

鳥は
生きる ....
ヘッ ヘックション
風邪ですか
ハウスシックかもしれませんねえ
多いですねえ カビとか
ええ 婆さんの華美もいやですねえ
胞子も飛んでいますから
ケイタイから出るやつもありますし
あれは ....
<護身術>
身欠けて身欠けてすり抜けた
怪我したときほど笑ってた。





<懇願>
漠然と死ね
私が記憶しないように。





<利口化の世代>
根性 ....
>吹いて
<吸って
<吸って
>吹いて

あたたかい息が
リードをふるわせると
やわらかい音符があらわれる

>吹いて
>吹いて
<吸って
>吹いて

さみしい唇を
 ....
誰もシラナイ理由が無い
わずかな隙間を生きているような気がするんだけど

近代現代近未来
産業ロボットはやがてラインを離れて
どこへ行くの

母を殺し父も殺して最果ての
流刑の地さえも ....
僕の文法のSは君と僕
Vは生きることだ
訳もわからずOをもとめてさまよう
たまさか生まれる言葉でCを綴る

規則正しいものに反感を持ち
疑うことの正当性をつかもうとして
いつのまにか自分 ....
今日、月がもも色で
口をつぐむように鳴らす笛が
灯台の{ルビ灯=ラフ}をかすめて
指どおりのよい
髪にまきつく

入りくちは浅くなめらかに
奥はとおくするどい爪のかたち…

荷を ....
僕は村上という名字なのに
ムラサメさんと呼ぶ人がいた
何度も「僕は村上です!」というのに
ずっとムラサメさんと呼び続けた
初めは冗談か嫌がらせかと思ったんだけれど
ムラサメさんに相談があるん ....
今年の冬は
何時もの細長い島へ避寒に行くのよそうかな
島で 子作りするでもないし
このあたりでも河面も凍らなくなったし 
餌の小魚も採りやすいし

あの島の平地にはニンゲンの巣が広がって
 ....
私、雨に濡れております

髪から雨の雫が

喚くように滴り落ちてくるものですから

ほとほと、いやになりました

雫が喚く

あぁ、うるさい


粉ぐすりは色 ....
もうこのにこやかな仮面は
皮膚と同化しているのに
剥ごうとするひとがいる
剥いだらどうなるか
わかっているだろうに

それでもそれが私の素顔だと言って
変わらずキスをしてくれるだろうか
 ....
夢から堕ちていく開かない傘 僕は散歩でよく会う
その人の名前を知らない
顔見知りなので
すれ違えば挨拶ぐらいはする
でもその人の名前は知らないのだ



僕は15歳の初夏に
初めて見た絵に描かれている
その物 ....
そらの珊瑚さんのおすすめリスト(7991)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
父の手- Lucy自由詩22*14-6-17
十九歳迷路- クナリ自由詩8*14-6-17
ぬいぐるみを口にあてて金が欲しいと叫んだ- 北大路京 ...自由詩914-6-17
【_愁雨_】- 泡沫恋歌自由詩19*14-6-17
ピーター- 藤原絵理 ...自由詩8*14-6-16
てのひらの上の名前- もっぷ自由詩914-6-16
童話- chiharu自由詩11*14-6-16
死にたくなる街を歩く足に魚の目- 北大路京 ...自由詩714-6-16
小蜂- イナエ自由詩9*14-6-16
車窓- 八布自由詩1114-6-15
嘘っぱちの権力- ららばい自由詩614-6-15
ワレモノ注意- 殿上 童自由詩23*14-6-15
痛みに強い女がうつ伏せで眠るまでの記録- 朝焼彩茜 ...自由詩24*14-6-15
静かに耳を澄ませて_/_私は緑の目を開く- beebee自由詩22*14-6-15
電車に忘れた傘といっしょに消えてて欲しい過去- 北大路京 ...自由詩714-6-15
クレマチス- Lucy自由詩1814-6-14
今はこんな気分で- ただのみ ...自由詩18*14-6-14
海風- ichirou自由詩16*14-6-14
老人の会話・電磁波- イナエ自由詩7*14-6-14
さくら_など四篇- クナリ自由詩4*14-6-14
ハーモニカ- nonya自由詩22*14-6-14
CAFE_de_短歌みたいな- 梅昆布茶自由詩1214-6-14
文法1- 梅昆布茶自由詩1114-6-14
夜、入り江にて- 平井容子自由詩1314-6-12
村上れんじ「頭のおかしい人」- 花形新次自由詩214-6-12
アオサギ独語- イナエ自由詩9*14-6-12
雨音- 月形半分 ...自由詩514-6-12
「こころのかたち」- 桐ヶ谷忍自由詩10*14-6-12
夢から堕ちていく開かない傘- 北大路京 ...自由詩314-6-11
チョコレート粉砕機と田中さん- ichirou自由詩12*14-6-10

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267