闇の中で白い背中を
反り返らせていた君は
この夜が明ける前に
大人の女になってしまい
すっかり明るくなる頃には
どこか遠い林の中で
樹液を啜っているだろう

君と初めて出会ったのは
 ....
キューを出されたかのように
組み込まれたプログラムのように

それは
どうしようもないタイミング

ほんの数秒

まるで
あらかじめ決められていたかのように

遠くの君と
 ....
縁日で掬った金魚をどこにやっただろうか
庭の片隅、物置の陰のあたりに
古い水槽が転がっていて
水と水草を適当に入れて
そこに放り込んでおいた気がする

誰も世話をしないまま
ただ、気まぐ ....
秒針はびっこを引いていた
分針は静かなカタツムリ

わたしたちは同じだけ出会う

あなたは追い越し未来へ わたしは
逆行しているまるでそう見えたでしょう

同じ今を黙殺しながら互いにず ....
灰色に枯れかけた景色を
あるいてったさきを

(記憶のおくのほうで化石になってくれていた はやあしのおと)

どうしたって ぜったい壊れちゃうんだけど
あったかい秘密基地がほしくってさ
 ....
胃袋を焼く
少しずつ焼いて往く
脳を殺す
微細な匙の加減
からっぽの冷蔵庫みたいに
ロックンロールが居なくなると
窓と窓の間に挟まった
蛾の身悶えが
耳のすぐ傍から聞こえて来た
嘘だ ....
また、書けない日々が続いている。書けないのではなく、書かないのだと、つぶやいてみる。つうか、詩なんて書いたことがないのかも、詩のようなものを書いては、詩かもしれないと、思い込んでいたかっただけかも。誰 .... どうしても見つけられなかった
理由を君は見つけたんだね

そんなささやかな
ありふれた
大切なものを

長い間探していたことにも
ついに見つけるまで
気が付かなかった

母さんも ....
林のはたにはまだ去年の落ち葉が
形を失わずにありました
けれども枯草色の野はとうにすぎて
春の息吹きはまた
病の床をのり越えたのです

(あなたは苦しんでいるようにみえました)
(あなた ....
今度こそ
今度こそはと
幾度も脱皮を繰り返してきたはずなのに
サナギの姿で
また冬を迎え
その時はいつ来るのでしょう
次の春が来たらでしょうか
春はいつ
春が来たとて
やっぱりサナギ ....
別に天国の歌声に耳を奪われている訳じゃない
地獄の底から湧き上る苦悶の呻きに眠れない訳でも

聞いているのはこの世界 尽きることのないお喋りと
拮抗しながら 解かれて往く 形あるものの軋み
 ....
腰まで雪に埋まり
全身で空を指す暗緑色の矢印
風に翻弄されないしなやかな直立

透明を深める濃い青の奥から現れる
最初の星屑に
放射冷却を告知する
 
耐えているのではないが
嗤 ....
お控えなすって

ご当家の 軒先の仁義 失礼でござんすが お控えなすって
障子より目玉だけ出しておられる お坊ちゃんお嬢ちゃんも お控えなすって
わたくし生国は 大海原 水界のはてに発します
 ....
腫れぼったい世界の空は
柑橘系の匂いと色で
眠り続けるアタシの中を
眩しい地下鉄が通過していく

ねぇねぇ、まだ起きないの?
ひからびた胎児が話しかける
だめよ、まだ、
まだ早すぎる! ....
遠くに数羽の鳩が舞う
あの泉を目指し
時の川をのぼりゆく

(空ノ青サガ 私ヲ 呼ンデイル)

夢の鞄をずしりと背負い
快い逆風を裂きながら
いつしか爪先は方位磁針になる

この足 ....
澄み切った空 静かに
月の横顔の
化粧を落とした白さだけ
深々と冷気は立ち込めて

木々と木々の間を渡る
鶫や連雀の羽音は
はたはたと 重ねられ
地にふれず かき消され

今朝わた ....
山際に故郷を茂らせて
霧立つ河は唱和する
悠久の径を手引くように
水面には明かりの灯った小さな神輿が流れ
その一つ一つに幼子が蹲っている
名付けられた世界を知らず
生誕の由縁も語れぬまま ....
歩き煙草に咳き込んだ
不機嫌そうな顔こちらを見る
目を逸らした自分が間違っているのか

転んだ痛みに呟いた
それはただの独り言
差し伸べてくれる手を伸ばす
期待はいつも裏切られる

 ....
時間がとぐろを巻いている
浮き上がった夢のあぶくたち
潤んで灯る面差しの
確かめる間もない霧散
くすんだ灰の白い


昼と夜の満ち引き
時代の蒼天を舞う鳥の糞に汚れ
それすら拭い去る ....
「皆既月食です」とテレビの音がして
おやすみなさいを跳ね返す

賞味期限が切れた豆腐を
日付通りの零時に捨てた
ピンクのキティサンダル脱ぎ捨てて
前髪をちょんまげにした女が
冷蔵庫を覗き ....
杯から酒が溢れている
容量以上に入りはしない
さあおこぼれにあずかろう
わが同胞よアル中諸君

財布から札が溢れている
使える額など知れたもの
恵んでもらえだめなら盗め
親愛なるストリ ....
キーツが本の中から語る
細い川の流れが、視える

道を歩くわたしの影にも
細い川の流れが、視える

時代も国も
異なる二人の間を
結ぶ
ときの川のせせらぎに
耳を澄まして歩けば
 ....
おり紙を折った
なにを折ってもうまくは行かず
折り目と皺は増えるばかり
可燃ごみへ向かう手前
あと 一度だけ
翼はあっても翔べない鶴か
スーッと墜ちる飛行機か

色褪せて邑になった濃紺 ....
机の上に残されたものは
一枚の白い紙とペンだけになった。

その一瞬前には、
たくさんの唄や、
しなやかな左腕や、
どこまでも翼のように
軽い足があったはずなのに。

私から、
で ....
太陽が枯れ果てる時間

花が燃え尽きる時間

人の電池が切れる時間

はてしない 悠久の
儚く 束の間の

どこまでも希釈され
濃密に結晶する

必死に掬う指の隙間から零れ落ち ....
あなたは何かに似ているんです
いつかどこかで
それともいつも見かけているような気がします

物置からストーブを出したんです
灯油を買いに行ったかえりに
大きなあくびは空に吸い込 ....
会社を出る

日時計のころも

ひとは夜になると

目が見えなくなるぐらい

こんなに働いていたのだろうか


太陽が動く

時計回りの影が浮く

太陽と地球の信頼関係
 ....
しようとして したのではない
しようとしないからできること

いたるところに仕掛けた笑いの影で

逃げたのではなく逃がしたのだ
あなたはあなたを 作品の中へ

なに不自由なく澱んでいた ....
冷たい風にマフラーが揺れた
通いなれたいつもの帰り道で

何度も今日のこと思い出して
都合のいい解釈を当て嵌める

勘違いじゃなければいいな
頬が微かに熱を帯びていく

一人では抱え ....
卒寿となって 卒寿を越すと
どうして 翳が浮き揚がるのだろう
喋ることにも 聞き入ることにも
 
何もみるな 何も想うな
弱気の愚痴も 吐きだすな
強気の言い訳も すべきぢゃない

冷 ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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誤謬- ただのみ ...自由詩5*18-3-21
誰一人としてその名で私を呼ぶことが永久にないとしても- Lucy自由詩11*18-3-20
理由- Lucy自由詩9*18-3-4
今でも私は- 宮内緑自由詩3*18-3-4
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おもてなし妖怪2018- るるりら自由詩9*18-2-13
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夕闇- 1486 106自由詩1218-2-3
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- 1486 106自由詩518-1-17
失題_四- 信天翁自由詩618-1-15

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