流民をへて流民にあう
きみは遠い昔の記憶の中の文学少女

すべての物語を読み切れないように
たとえばたった一人の歴史も解析できずに

やはり僕はでくのぼうにもなれない半端者
きみの洗礼を ....
針の翼
夜の屋根
緑の雨が
楽譜を照らす


街の起伏
夢のつづきの夢ばかりつづき
目覚めも指も
夜になれない夜をこぼす


葉の陰の硝子
雨の奥の太陽
扉 ....
じっと空間を見つめていると、
何かが聴こえてくる。
実際には何も聴こえないが、
目にうつるものが音を帯びてくる。
色にも音があるのか、
音に色があるのか、
空間は息吹を宿して、
この身体 ....
風は奏で 
光は描く
ハリエンジュのさざめきに
まなざしは戸惑い
優雅に失速する
水面に解ける止まり木
鳥は魚を続けた
裏腹に
なめらかに
時間には抜け道がある
探しても見つからな ....
久しぶりに電話してみる
着信音が十回で、切る
内心ホッとする
まもなく向こうからかかってくる
少し慌てる
「なに?どうかした?」
声を聴いて安堵する
「いやどうもしないけど。今話せるの? ....
   随分昔のことだが山里の学校で疎開児童をやっていたとき
   先生は教えてくれた
   「いいか、熊に出合ったら息を止めて死んだ振りするんだぞ」

レントゲン撮影技師はオシャベリ好きで
 ....
私はこころの中で寝ています
いびきが何度も聴こえてくるのです
私はこころに布団を掛けています
寝返りするたびもう乱れて自分でも恥ずかしい
それでもやはり寝ていたいのです
夢枕がもう手 ....
次郎さんの家は、火の山峠へとつづく
坂道の途中にあって、そのちいさな車
は、登るときも下るときも、まるで不
機嫌な家畜のように、激しく四肢を踏
み鳴らすのだった。
直径八キロ余りの島の真ん中 ....
眠れない夜は
頭の中に白いひもを思い浮かべる
そのひもの先を
喉の奥からちょいと引っ張ってあげると
頭蓋骨がくいっと締まって
ちょうど良い具合になる
あまり引っ張りすぎると
すとんと落っ ....
朝 丘珠空港へ迎えに行く
プロペラ機は八月の空をけたたましく滑り降り
ゲートをくぐる人々は無事届けられた
天からのギフトのように
トランクとリュックを下げた若者を見つけ
片言みたいに 荷物を ....
カーテンの向こう暑くなると告げて
にわかに泣きだすそら

すぐに澄み
そこなしの青の静けさへ
置き忘れられた幾筋かの羽毛は
朝へと生まれ落ちた夢たちの骸
季節の手妻は継目も見せず
ゆ ....
五線譜にのらない音楽
数学的解決を持たない生命

リズムもない詠唱
楽器を持たない自由

空から降りてくる精霊にキッスをして
それでも抒情は余ってしまって腐る

どこにも幸運な人間な ....
わたしはふーせんだ。
ちっちゃなこどもに捕まえられている。
わたしがその子に「自由になりたい!」と言うと、「わかった」とその子は手を離した。
わたしはどこまでも飛んでいった。
その子が泣い ....
いつのまにか夜だけがふけてゆくが
僕の朝はいつまでたっても来ない

時間の止まったままの時計をぼんやりと眺め
時系列のなかの無限の選択肢に思いを馳せる

ものごとを整理するには基準が必要だ ....
夕焼けという名の空がある
青空からの移ろいとしてではなく
終われば夜空ということもなく
そういう名前の唯一だ
いつかやがて
みあげている存在の全てが
一斉に瞬きしている隙に失せ
瞬時に忘 ....
引き寄せて歌の精よ耳元に
オンとイのほつれ目
楼蘭の砂から掘り起こされた女の髪のよう
忘れられたイトが絡まった
黴臭い沈黙から ふと
夜は陽炎のようにゆらめき立って
歪み捻じれたこの道を筆 ....
聴こえる
プレス機が上下する度
ボルトとナットで繋ぐために
穴を空けられる度に
聴こえる
ごおん
ごおん
ぐぉり
ぐぉり
きゅるるるるるるる
換気の行き届いていない
暗く狭い工場 ....
羽音で目が覚めた
驚いて明かりをつける
汗だくで寝ていた
汗の匂いに寄って来たんだな
いったいどこから入ってきたんだ
窓は閉めていたのに
ベープマットをセットして寝る
でもまたも高い羽音 ....
生まれたばかりの九月はとても静かで穏やかで
風は凪ぎ 梢に寛ぎ
秋の願いがその隣で翼を休め
あるいは風はまた立ち
願いなら 早熟の実を選び定めては安堵して
どこかへと帰り、持ち帰る
木の実 ....
自販機で水を買う
百円の小ぶりのペットボトル
冷房の効いた車輌を待ちながら
冷たい水を飲む
汗が額から頬へ伝い
顎で雫となって
滴る
あたたかい風が吹き抜ける
ホームの日陰で
私は息 ....
夏の終わり
などと書き出して
景色を眺めまわし
残りの年月を数え切れたかのように
何もせず
何も求めず
人に倦み
風の仕草を見つめては
瞑り 
欹て
ぼんやりとまた開き
終わる夏 ....
(声がきこえますか)

白い壁に凭れて、
暫く目を閉じていたら、
誰かの声を聴いた。

(声がきこえますか)

空耳だと思い、
壁をはなれて歩きだしても、
声はついてくる。

 ....
つかれていたのかもしれません。
夏のさなかに
雪をかぶった連峰をみました
海辺を高速バスで走っているときでした
火事の中で氷を幻視するかのように
見たのです 

うたたねの山々は ....
せみの声と鈴虫みたいな音がそろそろ合唱になる夕方

せみの死骸は
なんであんなに重量がないんだろう

木にしがみつくあの力を
重さと勘違いしているだけなのかなと
思ったことがある 遠い昔 ....
私が水の娘だった時
その人が私に望んだのは
夕暮れの淡い光に満たされた
一枚の
黄色い風景画となること
郷愁のような安らぎをもたらす
穏やかなさみしい静止画像

額縁に収まり切れない私 ....
嘆息の理由なら他にある
豊満な月に耐えきれず包み紙を脱がせただろう
子供みたいにあちこち汚して
今日がその日ならと狼みたいに祈ったね
誰かのせいだと言うのなら
それはわたしのせい(玄関前の犬 ....
貴方の声が
虫のように耳もとにささやき
私の皮膚を穿孔して
血管の中に染み込むと
私の血流はさざめき
体の奥に蝋燭を灯すのです
貴方のだらしのない頬杖も
まとわりつく体臭も
すべてが私 ....
時の過ぎるのを忘れ
畦道にしゃがみ
ひらく瞬間を待っていた
山の向こうに月が姿を現すころ
何かが限界をむかえるように
耐えていたがくが
プツリと裂けて
薄黄色い花びらが
ふるふる ....
どこから、どこまでが
いのちなのか
そんなの、訊ねられても
わかんないよね

ましてや、人生なんて
いつから、どこまでだなんて
微妙だからさ
わかんないよね
考えるのもアホらしくって ....
朝目が覚めて
いつもないてる
パンをかじって
いつもないてる
なきながら
運転している
なきながら
朝礼している
音楽聴いて
いつもないてる
シャガールを見て
いつもないてる
 ....
そらの珊瑚さんのおすすめリスト(7991)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
流民- 梅昆布茶自由詩15*16-9-15
あゆみ_むらさき_Ⅱ- 木立 悟自由詩816-9-15
喰らう音- あおい満 ...自由詩516-9-14
恋のようなもの- ただのみ ...自由詩10*16-9-14
会話- Lucy自由詩17+*16-9-14
死語と愚痴- イナエ自由詩8*16-9-13
私は- 乱太郎自由詩10*16-9-12
火の山峠_2016- たま自由詩10*16-9-11
眠れない夜に- ららばい自由詩216-9-11
アウトリーチ- ただのみ ...自由詩6*16-9-10
くすねた財宝- ただのみ ...自由詩9*16-9-7
タルカスの夕べ- 梅昆布茶自由詩916-9-7
ふーせんと青空- 水宮うみ自由詩1*16-9-7
朝が来ない理由- 梅昆布茶自由詩1116-9-5
夕焼け- もっぷ自由詩6*16-9-5
呪術師の末裔- ただのみ ...自由詩9*16-9-4
歌う鉄- まいこプ ...自由詩3*16-9-4
提供- Lucy自由詩5*16-9-4
宇宙- もっぷ自由詩3*16-9-2
天然- Lucy自由詩15*16-9-1
残余の火- ただのみ ...自由詩6*16-8-31
キコエマスカ- あおい満 ...自由詩816-8-30
あいづち- るるりら自由詩15*16-8-29
ソノヒグラシ- Rabbies Diar ...自由詩4*16-8-28
水溶性- Lucy自由詩8*16-8-24
氷の散弾にブルーハワイ- ただのみ ...自由詩11*16-8-13
あな_二篇- 山人自由詩16*16-8-13
待宵草_- Lucy自由詩17*16-8-8
八月のさようなら- たま自由詩14*16-8-6
ないてる- やまうち ...自由詩2*16-7-24

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