愛染夜曲をききながら
たいして飲めやしないお酒をちびりちびり
いつの間にやら夜が更ける
*愛染夜曲 http://www.youtube.com/watch?v=gwc ....
小さなスミ子さんは
短く刈り込んだ髪で
不安気に
わたしの隣に立っていた。
「今日から働いてもらうスミ子さん。いろいろ教えてあげてね」
ナースから少し離れて
私たちは長い廊下を歩い ....
どこから好きが始まっていたのだろうか
好きが終わることなんてあるのだろうか
始まりもなければ終わりもない
ぼくらがどんな容姿であろうと
ぼくらが生まれようと死んでしまおうと
....
冬がくると悲しくなる
きっと悲しくさせる要素が多いから。
雪原にぽつりと立ち竦んだ自分を想像するだけで、不安になる。
この町はわりと豪雪地帯で、
ドカドカ雪がふる。
朝になるとつもっ ....
永遠の生命ってよくSF
なんかに出てくるが退屈だろうなっって思ってしまう
もちろん駄作でも良いから
詩みたいなものを書こうとも思わないだろうし
有限な物の限界を嗤っても
生命の実感は ....
あなたとわたしは一膳の箸でした
年を経た槐の木から
それはそれは丁寧につくられて
生まれたのでしたね
ある朝 ....
私はこの歳まで生きてきて
分からないことがたくさんある
まず「正しい」という言葉の
意味がよく分からない
「正しい」ってどういう意味ですか?
知ってる人は教えてください
「間違い」の反 ....
facebookerの憂鬱
そうかぼくは ひとりぼっちだったんだな
ようやくきづいて ことばになってあふれた
いちどいってしまえば あんがいらくだな
そうかぼくは ひとりぼっちだったんだな ....
木のうえから
あなたが見つめるぼくが帰る
あなたのもとにぼくが帰る
あなたは若葉に頬そめて
頬に若葉の影ゆれる
あなたが見つめてくれていた
その道たどり
....
ときはきた
木々は熟し芽吹きを待つ
凍る大地のなかで
目覚めたる巳
いのちを包みしものなれば
巳は脱皮する
....
ただそこに在る 思考より感情を含む空気
色だけ覗けば 桜を待つ橙色 生命の明るい炎
窓を邪魔とも云わず 柔らかく射して来る ここへ来る
四季がまた美しく溶け出す マーブルにキラメキを添え ....
ひとりのひとを ほんとうに愛することができたら
多くの人に愛される 気がします
入院初日十羽鶴でも嬉しい
上を見て、下を見て、前を見る。
右を見て、左を見て、後ろを見る。
天を仰ぎ、その空のcolorが沁みる。
鮮烈なる青、又は紫、あるいは朱。
ぼんやりとした灰色、または薄 ....
奇跡のひと、
とはヘレンのことではない
奇跡のひと、
とはサリバン先生のことだ
私は奇跡のひとではなかった
奇跡を起こすまえに涙ぐむ
私はふるえる者だった
ヘレンは先生に7歳になるまえ ....
雪を水に入れると 水になるように
水は氷に 雪水はつららになるように
死ぬことも生まれることも生きることも
体を通るものの 変質なのだろうけれど
心は 消えても響く
共にと思う幻想に支えられ ....
雪の日に
しんしん積もる
雪の日に
私の命が降りてくる
私の分身
私の死体
しんしんとしんしんと
降りてくる
懺悔と
嘲笑と
甘えと ....
えっ……、
「どうして? どうして会えないの。」
「外山先生はね、また、猫にもどっちゃったんだよ……。」
猫に……?
えっ? なによ、それ……。
「鈴木さん! わたしね、すごく真剣な ....
人がいないことのかなしさ
戻ってこない哀しみがおおう
巻貝の自由だってもうちょっとましかもしれない
ただ居ても伝わらないかなしさが一番だったかもしれない
いつも人を否定しながらそれ ....
ホームを切り裂いて列車がページを捲っていく。同色の
制服に制服を重ね着してずきずきと圧密する、頭痛がちな
通勤電車のようにきつく綴じられた紙の隙間を押し開き、ぼくと
膝頭から胸元まで触れるほど巧 ....
あなたが浸る湯船にうかぶ
ひとつのゆずになりたいと
からだの芯まで温めて
すこやかなれと
やすらかなれと
....
太陽が見えなくなると黒くなった川面からたつ川の匂いが確かになった。
風が吹いてもそれはどこへも去らずただ辺りを湿らせ懐かしがらせ暗くさせ刹那の思いに姿を変えたりもした。
普段聞かない音が川の匂 ....
珈琲飲んでも眠れる腕がある
曇が降るほうへ
鳥は振り返る
けだものの背が
鏡にたなびく
借物の手が
借物の命を受け取る
こがね色の子が手の甲を聴く
曇のなかの月へ手をかざす
谷底へ ....
あなたの育てていたザリガニが
アメリカザリガニが
また大きくなりました。
時計台の近くで
風は風の音をたてて。
私たちの脱皮とは
いったい何だったのでしょう。
生きることと死ぬ ....
死ぬ気でやっても
報われないことは数多くある
だからといって
死ぬ気でやるのを辞めたら
それは敗北を認めるばかりか
敵前逃亡との軽蔑すら受ける
だから自分が大事だと想ったことは ....
年季の入ったステレオが
不意に歌いだした
インディゴに沈む
コンクリートの部屋で
遠い国の流行歌
綴りも知らないけど
こぼれ落ちた無声音は
冷たい床を浸していった
誰かが作った ....
【 Window 】
ブラインドを上げて
窓を大きく開けた
そこから新鮮な空気が流れ込んでくる
青い空 鳥の囀り 風の音
明るい陽の光 そこに希望があった
掌を伸ばせば届きそうな楽 ....
草の香りのする夏の夜に
汗ばむ背中に頬をつけ
両腕をからめ眠りにおちる
そんな不埒なことばかり
冷たい布団のなかで
....
あなたのかたい頬
思いのほかやわらかくて
その冷やかな瞳にも
熱い涙は宿るのだが
心の奥深くに一つの扉があって
それは故郷へと繋がっている
絶対零度の沈黙
この地上の何よりも冷たい場 ....
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