幸福の纏わりついた夜の衣を脱ぐ
ジャージにウィンドブレーカーを羽織り、
フリースの手袋をし、小さなライトを握る
外へ出ると冷気が両頬をビンタした

星空の朝は、町中の窓がまだ眠っている
信 ....
忘れてしまった砂浜の
波打ち際に{ルビ踞=うずくま}り
要らなくなった古地図を
寄せ来る波に流します

月の鏡に照らされて
寒さの夜に肩を抱き
独り寂しく朝を待ち
失くした夢を探します ....
マガモがシベリアからやってきてはにぎやかに鳴いている
人造湖に多くの渡り鳥達が群れていた
赤い大きな橋のたもとにあった古い山小屋旅館は解体されて
長い年月に蓋がされた

昨日今日、ほぼ今年最 ....
 古い白い花の蔭に
 恋の嘆きをみていたむかし
 チョコレートの銀紙を
 折り畳みながら過ごした夜

 なつかしい想い出は
 楽しく稚い愛の物語
 その震えも忘れてはいないけれど
 ....
ちいさい 秋も
おおきな 冬も
はくぎんいろの 抜けてあつめた
けだまに
ころころと まるくなるよ


あなたの ちいさくておおきな
迷いやふあんの中に
ほんの少しでも わたしが ....
 
 さっき山の端に消えてしまった冬茜
 建ち並ぶ商業施設の脇を流れる
 堂の川
 吹きつける風でこまかい波紋が
 わずかな灯りを掬って沈み

 並木の枯枝にとりのこされた
 烏のひと ....
実としずくは出会い
抱擁し
いま互いを手放した

実は朱く燃え
しずくは銀光を放ち
確かに交じり合い
なにかを残し
なにもかも忘れ

雨はみぞれに変わり
鼻孔に冬が立つ

も ....
夜の街燈はいつも
何かを考えている
光を灯すだけでなく
決して暗いことばかり
考えているわけではない
夜の街燈の思考が閃いて
宇宙が一輪の花になる
あまりの果てしなさに
自分の孤独を感 ....
 あれは欲求の充足が阻止されたことの
 一時的な怒りだったのか
 なんにも知ってはいなかった幼女の
 ヒステリックが沸点に至り

 あの時、
 一軒家の玄関ドアに嵌め込まれた
 デザ ....
「最近のカローラ、乗り心地良いね」
「あ、これ、メガーヌっていう車です」
出席するだけの会議のあと、家まで送ってもらい、
黄色いルノーを国産車と勘違いしてしまった

そういやあ、ヤリスとプジ ....
時々体から心が離れてしまう
あり得もしない妄想で上の空
きっと車が突っ込んできても
気づかないまま吹っ飛ばされ
良くて重体悪ければ死が待つ
上の空にはならない方がいい
しかし現実は途轍もな ....
好きだった人の
きっと
知らない町にいる


異国の霧のなかを
列車がしずかに過ぎていく

この町に来てから
父の同僚の
娘さんと友達になった
ひとつ年上で
彼女も
不登校 ....
赤トンボ、
ほとんど木枯らしにひとしい、
寒さでアスファルトに不時着した、
晩秋の、
ちいさなヒコーキ、
それでも在りつづける、
そのままの、かたち、
やがて、その透明な羽が、
きわめ ....
 風が散っていった
 ウイスキーの琥珀に酔った天地に

 男と女が愛し合い
 いつの日か又
 他人の様にそっけなく
 だが にこやかにすれ違う
 それが何なのだろう

 ふと逢った人 ....
コーヒーをやめて{ルビ白湯=さゆ}にす冬の朝

小春日の電車園児に満たされて

ふくよかな大根足の{ルビ娘=こ}もいいね

その音のパリッと淋し踏み落葉

シュッとして冬のゴキブリ安楽 ....
横になればすぐにわかる
どうして今まで立っていたのだ
眠るために必要なものは、
とりあえず枕と寝床があればよい

悔しかったことや腹が立つこと
悲しいことや傷ついたこと
虫歯の痛みや腹ぺ ....
チャコールグレーの小さな蛾
狂ったように暴れてた
冷たいアスファルト背に
おしみなくしぶとく力なく
さかしまの日差しに浮かれ
うなされて
生死の境を針と糸
縫うように縫うように
浮いて ....
もみじ、
肩まで浸かった露天風呂からのぞむ、
さりゆく、秋の赤い夕ひが、
ひとすじの、きまぐれな寒風とともに落としていった、
いちまいの、
星のカケラ、
休憩室の掲示板に、ずらりと並んで立 ....
公園の池の際に母子がいる
母は子供にパンを渡し
子供にパンクズを池に投げさせた
池の鯉は競って大きな口をパクパクした
傍には鯉に餌を与えないで下さいの看板がある
通り過ぎる人々の視線が母子を ....
 閉じたビニール傘から飛び散る
 雨滴
 会社の広大な敷地内を車と自転車が往来する
 東の正門で守衛室に社員証を提示しても
 配属先の建屋へは延々と
 アーケードの歩道を歩き続ける
 
 ....
木枯らしの渦巻く中庭で本を読んでいた
まだ蒼い銀杏の葉がページに挟まり{ルビ栞=しおり}となって
ぼくはそのまま本を閉じた
階段を昇りきると
磨かれた長い廊下は光り輝き
影を失くした透明な人 ....
 急な傾斜の小径をのぼり切れば
 大きな旧居の横手に広がる
 段々畑が見えてくる

 金網のフェンス越し、
 至近距離で咲いているアザミへ
 iPadのカメラを向けてみる
 うつし世の碧 ....
廊下。背中にも
季節があると知った
椅子の無い陽射しが
窓から海へと降り注ぎ
穏やかな陰影の様を作ると
雑学を語り終えたかのように
わたしは鉛筆を一本
また一本と折っていった
 ....
りんご
まず愛されないといけないんだ
ごりら
だれかとつながりたいと願うなら
らっぱ
らくだの背中に入れておく粗品
ぱんだ
何か 膨らみを持たせるための何かだ
黙ってうつむくそのひとの ....
上手く書こうとするから
嘘ばかりを書いてしまうのだ
詩が書けないのじゃなくて、
それが本当の理由なのさ

嘘なら嘘を吐き通せば良いだろうし、
ことばを飾るのが嫌なら下手でもかまわない
ど ....
磨かれた廊下に深海魚たちがゆらり
ゆらゆらとゆっくり泳ぐ
深い眠りに就いているのか
夢をみているのかわからない
天気予報では明日は雷雨
深海魚には予報も関係なくて
廊下をゆらゆらと泳いでる ....
この秋の思ひ出かぞへ指を折る

「さようなら」秋の蝶への一行詩

ランドセル並び小さな秋の恋

冬近しあの野良猫も見なくなり

秋寒しゆで卵の火弱くして

秋蝶のふと見失ふ行方かな ....
{引用=漂泊の 時のなかに ゆめのように 揺蕩う ゆめの、なかで 夢から さめて あてどない 意識に かすかな ゆめの 名残に 仕舞いこまれた 時間と めにうつる ゆれる 視界のなかに 沈む 夕日と  .... 書きとめられることのなかった言葉は
綿毛のように目の前をただよい
掴もうとする指の間をすり抜け
風に流され消えていった

明け方に見た夢を思い出そうと
目を瞑っても白く掠れていくイメージ
 ....
ワニのひっくりかえった庭 ~きょうも仕事づくえに牙たてて~

   ――ではみなさん、
     喜び過ぎず悲しみ過ぎず、
     テンポ正しく、握手をしましょう。
            ....
そらの珊瑚さんのおすすめリスト(8382)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
冬の目覚め- atsuchan69自由詩14*24-11-26
朝の歌- レタス自由詩6*24-11-26
初冬の夕刻- 山人自由詩15*24-11-24
北窓- リリー自由詩9*24-11-23
とろり/12月- 唐草フウ自由詩15*24-11-23
廃ガラス- リリー自由詩5*24-11-21
ナナカマド- ただのみ ...自由詩4*24-11-20
Cosmos- 鳥星自由詩16*24-11-19
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value- atsuchan69自由詩12*24-11-18
上の空で歩く- 自由詩7*24-11-17
ルミエ- 九十九空 ...自由詩424-11-17
立冬トンボ- 本田憲嵩自由詩724-11-16
女よ- リリー自由詩5*24-11-13
誰かの冬の物語- 森田拓也俳句13*24-11-13
微睡の草原- atsuchan69自由詩14*24-11-11
泥と灰の聖遺物- ただのみ ...自由詩3*24-11-10
冬どなり- 本田憲嵩自由詩1424-11-10
- 自由詩10*24-11-9
赦されて__- リリー自由詩10*24-11-9
病棟- レタス自由詩11*24-11-7
秋あざみ- リリー自由詩8*24-11-4
雑学- たもつ自由詩624-11-4
まず愛されないといけないんだ- 松岡宮自由詩7*24-11-3
魔術師- atsuchan69自由詩13+*24-11-3
- レタス自由詩14*24-11-1
ぼくに似た誰かに- 森田拓也俳句10*24-10-31
01.1..- ryinx自由詩8*24-10-29
フラグメント- ヒロセマ ...自由詩14*24-10-27
ワニのひっくりかえった庭_~きょうも仕事づくえに牙たてて~- 菊西 夕 ...自由詩2*24-10-27

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