おおきな
 朝日を 笑いながら
 数えきれない鳩が輪になって
 時の繋がりが聴こえてくるような
 羽根を打つほどうつくしい游び

 壁にぶつかるんじゃないか
 そしてそのまま吸いこまれ ....
秋は遠い
肩にこうべをあずけて眠る
ひとりの女のように

一匹のトンボがくぐりぬける
それ以外なにもない
綿の花をあしらった
青くくすんだヴェールの下

静かな死者の息づかい
遠く ....
 会社の敷地内に植わる樹々の緑
 仰ぎ見る 折り重なったイチョウの葉っぱから
 顔のぞかせている黄色味がかった実

 「今年、実が大きいですよ!」
 詰所の更衣室で先輩へ報告する朝
 「そ ....
雪景色の原野から遠吠えがひびく
とおく聞こえる海鳴りにまじって声がする

原野は燃えた灰でなく
荒野に降り積む朽ちた身体

かつて狩ったシシのまわり
散らばるたくさんのあばら
お前たち ....
遠い話とほいはなし
ああそんなところだね
いまとなつては
大気は海の継子じみて
地中海色のタイルの
すました青磁のなかに透けてゐる
カラカラした浴場のなかで昼寝してたら
いつのまにやらお ....
あの国道沿いの中華料理屋は昨年潰れて取り壊されたわけだけど
更地になった場所に雑草が生えていて「ああ、そうかぁ」とため息混じりに感心したわけだ
全くもって日常という言葉は恐ろしくて
感心ばかりし ....
開いた本に落っこちた
女が煙を紡いでいる
乾いていく魚の目の中の
月が自傷を繰り返す夜に

雷鳴に臓腑はふるえ
雨はつぎつぎ駆け抜けた
沈黙は縫い付けられたままずぶ濡れで
自分の頬を噛 ....
一斉に発信される音を
受信したラジカセで変換し流す音楽が

ドアも窓もない部屋で飽和していき
ベッドの上で潰れそうになるから

カセットテープに録音してはつめを折って
レターパックへ入れても宛先が ....
 ふんわりあかるい 丘をもちあげ
 かげにかくりと 谷をおる
 ひらひら帰りみち

 みどりのうらで こえをきく
 蜘蛛のこわさや あしたの雨の
 ひろがりについて

 夕陽がおちる
 ....
街角のパスタ専門店で
茸と、
ベーコンと、
キャベツの入った
スープスパゲッティを注文した

運ばれたのは、
日本人向けの謎のパスタ
喫茶店の定番メニュー、
ナポリタンと同じく
ス ....
親友のk君が急に亡くなった
と同級生にメールしたら
あたしー今は考えないことにしています
と返信があった

受け止められない悲しみは
受け止められる時が来るまで
考えないでそーっとし ....
 
 にぎわう大通りのバス停
 心無しか暮方の鼓動
 増したような

 とり巻く人影に
 女の脚がふとためらう
 (昨夜、踵にオリーブ油をぬらなかったけど……。)

 コンサートホー ....
僕はここにいて、
ここにしかいない。

暗い部屋の中。
スピーカーから流れ出す、
ニック・ドレイクの歌の中。

僕はここにいて、
ここにしかいない。



街外れの港には、油 ....
 平成二十七年三月エディオンアリーナ大阪
 椅子席S八千八百円のシートに
 午前十時前から座っていた

 切落とし牛肉と玉子焼き、コールスローサラダで作った
 焼き肉弁当を黙々と食べなが ....
 ゆたかな木
 夏の雲みたいにわきおこる

 しずかに立っているようで
 たくさんの声をもつ

 ゆたかな木
 鳥たちの翼を夜からまもり

 どんな風も受けとめ
 星のひかりに運ば ....
砂、で
こどもは城をつくる
世界に果てはなく
時間は無限にあり
はやくとしをとりたい、とすら願う
十年後に彼等はすべてが有限だとしるが
いまは有限という言葉の意味すらしらない
こども ....
 お風呂あがり 
 冷蔵庫から取り出すモノは
 麦茶と 化粧水
 冷たさが掌に残って心地よい

 いつもなら
 美容液とアイクリームをすっ飛ばして
 乳液だけなのに 今夜は
 スキンケ ....
眠るように死にたい
そう願うのは人間だけじゃない
夜行性の雀蛾や鼬鼠
         僕と私
昼寝する象海豹だって同じこと

真夜中に他人目(よそめ)を避けて歩く人々に万歩計は要らな ....
仮定された
塩化ナトリウムの潮解性と
マッチをする黄リン

炭素をはんだごてした
フラーレン
機能性と海底ケーブルと飛行機

仮定された二つの箱の中で
鏡合わせに崩壊する2匹の猫 ....
 一雨ごと秋が
 次第に充ちて来る
 野道行く行く
 さらけ出す
 心一つは鋭きものと今更に知る

 (西山は しぐれするらし一陣の風渡りたり
  道端、草葉にやすむ糸蜻蛉)
 ....
つかまえて
響き奪い合う あの 声のもつれ 
贄になり損ねたひとつのくびれを
ハマナスの実を煮て
死んだかもしれないかもめに金貨を乗せた
白い靴下
うらがえる羞恥を指先で広げ
青ざめた自 ....
 讃えられるべきものが青春であるならば

 それは軌道をめぐって来る
 氷と塵の微小天体の様なものかもしれない

 海が のどかに凪いでしまわない内に
 美しい夢も
 ほっぺたゆ ....
満ちても欠けても美しい
月は
満ちることも欠けることもない
くもった鏡
見つめきれない太陽の
希釈された容姿をまとい
見上げる者のこころを映し
憂いに潤み
満ち引く愛を
蒼白の殺意へ ....
 
 光陰を慕い
 陰光を慕う

 緑の吐息 その悲しみ
 深い山ひだを隠し
 川の流れをむすぶ

 だが その中に
 何を結び得よう?

 あなたの声は
 電話線のむこうに確 ....
見つけてはいけない
声の
足首だけを残して
息を散らした
書き記すその先の
うつろの体温に
暮らしを溶かしながら
包む目の灼熱
やわらかい星たちの分裂を
おのが背に貼られた地図に行き ....
 わたしの右斜め前に居る
 若い女が
 肩越しに振り返り見る 駅前の小路
 その眼、
 その口もと に、
 ミラーリングして見返れば
 長蛇の列

 十分間ほど空しくうごめいて ....
植物の中で夜が育つ
水の名前を呼べば
脈打つ石造りの平原
素の風が間もなく
インク瓶の縁に沿って
眠りにつく
木造の旧家屋その皮膚に
愛していた人
鉢植えだけが増えて
遺伝だ ....
雨が用意されている
雨は、いつも用意されていた
夏の終わりに
情けなく溶けだした
アスファルトの上に
生き延びた午後の渇きに
焼き場の長い煙突に
ひとすじの
細く白い煙に
(鉄の塊
 ....
土砂降りを浴びて
雷さまが落ちた夕暮れに
雲と蒲焼きの匂いが過ぎてゆく
汗とガリガリ君も遠ざかる

そして何処からともなく
幽かな松茸の馨りがやってくる
定番は土瓶蒸しに焼き松茸、
そ ....
 アオギリの葉を鳴らして
 秋がゆく
 時雨ている空にさえ
 時折 輝いている空しい灰色の雲

 風、強かったショーウインドウの前に
 私を待っていた人
 月並みな愛の言葉
 優しげに ....
そらの珊瑚さんのおすすめリスト(8149)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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無題2- wc自由詩623-9-17
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詩情の薫りご飯- atsuchan69自由詩7*23-9-4
青桐- リリー自由詩6*23-9-3

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