ちょっと寂しいけれど熱っぽい宇宙
ワンダークールな時間の始原をゆめみる

いつも隙間だけで君を愛せたのだろうか
それともそれはただの幻想だったの

いつも反論がむなしいように
そのひとが ....
 草心 1

{引用=
その薄さだけで
大気にさらされ
風に嬲られる

大気という
混沌の暴力のなかに
その薄さだけで


 草心 2

{引用=
折れるほどの細さに
 ....
{引用=週末}
雨はガラス越しの樹木を油絵に似せ
開きかけた梅を涙でいっぱいにする

雨は河住まいのかもめを寡黙にし
水面の泡沫は作り笑いに変わる

だが雨は歌っている 
運命のように ....
痛みのある坂道を、
転校を繰り返しながら
遥か下を見下ろして
どうにか登ってきたつもりなのだが
もしかすると、
本当は転がり続けているのかも知れない
高校も一度、退学になったし
大学も三 ....
{引用=人魚}
樹はなめらかに地に裾を広げ
自己と向き合う静寂に包まれている
幹は根元の少し上から二股に分かれ
片方は太く もう片方はやや細い
幹が重なって見える角度を探すと
上に向かって ....
昔、17の頃
漢検2級を取ったことがある
余命わずかの父は
送られてきた賞状を
額に入れ壁に飾った

ぼくはすこし嫌な気がしたけど
今そのことがふと思い出され
父の心がスっと入ってきた ....
哀しみあるいは悲しみを
膝の上に乗せて
よく眠ってくれるから
ひと時煙をくゆらせるように

ギザギザした鍵を
胸に刺したり抜いたりして
酒と音楽でにじんだ幻を孵したい
ああこの夕暮れが ....
二〇一五年六月一日 「こころに明かりが灯る」


 以前、付き合ってた子が遊びにきてくれて、二人でDVD見たり、音楽聴いたりしてた。世界いち、かわいい顔だと、きょうも言った。「きっと、一週間 ....
{引用=まどろみ}
種子は雷鳴を聞いた
意識の発芽前その核が
ひたすら芯へと引き寄せる
死に疑似した時間の中

最初に震動があった
そうして微かな熱
やがて忍び寄る水の気配
たった今 ....
もののあはれとはそれは
風の包帯
先だつ批判をやわらにつつみ
まるで
{ルビ苫屋=とまや}に吸われるもんしろ蝶
ひなたの蜥蜴
春の
ことぶれとも
網にかかるのは風に騙され
流れ着いたポリ袋
それとも詩の振りをしたがる風が
書き散らしたメモ書き

アパートの一室で
誰にも知られず
死んだ男の履歴

携帯電話を所持していても
誰 ....
張り巡らされた枝の投網を
小鳥はすり抜ける

月の形に貼られた和紙が
空の水色を透かし

細い絵筆を並べたような
ポプラの ....
どこまでもながされてゆく果てしない旅だ
おみごとに円満する人生でもないし

きみのいる風景にぼくは入って行けない
俯瞰するわけでもなくぽさっと眺めてる

ぼくはコイン電池のCR2032で動 ....
「石か水たまりか」

放物線を描いて水たまりに落ちる小石が起こす波紋が言葉だとしたら、その言葉は石の言葉か、それとも水たまりの言葉か。


「謎」

数年前知らない街で車を運転していて道 ....
机の上に延びる
湯呑みの影が
お地蔵さんの姿に視える、夜

――もしや

目に映る風景の
あちらこちらに宿る
心というものか
{引用=鳶}
暮れかけの空
トンビたちは思い思いの弧を描く
風に乗り
風を切り
風を起こし
また受けて
狩りの照準を
時折水平に起こし
淡くたなびく雲の帯を
くぐるつもりか遠く巡っ ....
きるからころから
 きるからころころ

キラキラした音が耳の夜に
温かい雨のように
降りしきってくるのを幾らでも 溢れるまで
宝石箱にしまおう

こぎん糸を 祖母とほどいて巻きなおした ....
 
                

冬の地下室へ下りていく軟らかい階段を
見つけられない影たちが
窓枠に囲まれた薄闇の奥にたむろするので

もうないはずの衝動に駆られ
割れて逆さま ....
{引用=愛憎喜劇}
遮二無二愛そうと
血の一滴まで搾り出し
甲斐もなく 疲れ果て
熱愛と憎悪
振子は大きく揺れ始める

愛も親切も笊で受け
悪びれることのない者
理解できずに困惑する ....
いつか死んでほしい人のための家路ほど
悲しいものもない雪夜でした
窓のあかりとうなるボイラ
湯をあびるひとの気配
耳なりのむこうのやわこい声
わたしは悪党だったから
全身が指先みたいにかじ ....
透明な姿になってしまう前に、
好きだった景色をこの目に焼き付けておきたいと思った

一喜一憂の中に浮かぶ心
きみの記憶に降り積もっていく色彩
過ぎ去って風よりも透明になったもの

寒い夜 ....
真っ逆さまの光の頂
 集めた八重歯を笊で濯いで
女は大きなアサガオの
   白い蛾に似た花を吸う
小さな蜘蛛が内腿の
      汗の雫に酔っている


生木の煙 風の筆
飛び交う無 ....
澄んだ空気が笑っている
雪だるまがへしゃげて転がって
もう命もわずかだからと笑っている
小さな女の子とお母さんが凧を持ち
みんな一緒に小走り助走して
わらわらとふわり凧が浮く
念入りにフォ ....
{引用=予想図}
わたしの人生の尺に
息子の人生の尺はまだ収まっている
わたしの息子への関心は非常に大きく
息子のわたしへの関心はそれほどでもない
{ルビ直=じき}に息子の人生はわたしの尺か ....
凍てつく明けの宵
痛い位強い風の中
揺らぎ燃える炎を見ていた
暗い空気の間で
所在なくぼんやり手をかざしていると
子供の頃に商店街で毎日見かけた
もうこの世にはいない煙草屋のじいちゃんが
 ....
海の見える窓辺に
ちいさな灯火で本を読む

誰もいない部屋は暖かくすこしだけ湿っている
昼間にはここから木枯らしを耐えるしなやかな小枝がみえて

優しくて透明なものだけを感じようとしてみる ....
「12月28日のsketch」

トンネルを抜けるとズレた周波数があった。ラジオ深夜便、ラピスラズリの火球は未明の空を横切った。

「ザザ…ザザザ、とある三歳の女の子がお母さんに結婚してとせが ....
かつて僕らが古代人だったころ
山々は鳴動し天は雷をなげおとし

血は逆流して生命というものを
からだで感覚していたものだ

かつて僕らは父母を畏れ慕い
よるべない人生の光と思った

 ....
{引用=冬の朝顔}
白い背表紙の本を開くと朝顔の種が落ちて来た
種は発芽して瞬く間にわたしの妄想に絡みつき
ひとりの女の形を編み上げると濃淡を宿す紫や白
水色やピンクの花を幾つも付けたのだ
 ....
ね、みんなは、恐竜だったころをおぼえている?

むかし博物館に家族全員を、父がつれて行ってくれた。幸せな会話で窒息しそうな電車、はやく終わらないかな。
父はティラノサウルスが好き。わたしはトリケ ....
そらの珊瑚さんのおすすめリスト(7991)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
うた- 梅昆布茶自由詩1521-4-20
小詩集・草心(そうしん)- 岡部淳太 ...自由詩821-4-18
頭痛の小悪魔- ただのみ ...自由詩5*21-4-18
丘の上のじぶん- atsuchan69自由詩2*21-4-16
モノクロの天国と極彩色の地獄- ただのみ ...自由詩3*21-4-11
漢検2級を取ったことがある- 道草次郎自由詩11*21-4-11
この夕暮れが- ただのみ ...自由詩5*21-4-7
詩の日めくり_二〇一五年六月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩17+*21-2-13
至って不真面目- ただのみ ...自由詩5*21-2-13
ことぶれ- 道草次郎自由詩11*21-2-9
変死- Lucy自由詩7*21-1-25
光の春が- Lucy自由詩8*21-1-25
CR2032- 梅昆布茶自由詩921-1-25
あぶくみたいに湧いてきた謎のものたち- 道草次郎自由詩6*21-1-25
ひと影- 服部 剛自由詩821-1-24
視破線- ただのみ ...自由詩4*21-1-23
星を縫うひと- 田中修子自由詩1121-1-22
地下室へ下りる階段を- Lucy自由詩7*21-1-19
サイレントチンドン- ただのみ ...自由詩8*21-1-16
雪と阿片- 平井容子自由詩821-1-16
浮遊憂いの目- 水宮うみ自由詩3*21-1-9
中る- ただのみ ...自由詩5*21-1-9
公園散歩お正月- 灰泥軽茶自由詩221-1-3
哀愁の強行軍- ただのみ ...自由詩7*21-1-3
明けの宵に- Giovanni自由詩821-1-3
窓辺- 梅昆布茶自由詩1020-12-30
ラピスラズリのスケッチ、他- 道草次郎自由詩3*20-12-29
- 梅昆布茶自由詩920-12-28
冬の花びら時の河面- ただのみ ...自由詩4*20-12-27
卵化石- 田中修子散文(批評 ...14+*20-12-25

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