いろいろとさみしくてキリンでいる
王女の名を持って生まれ
運命のいたずら
雑草の間に
根を下ろすことを余儀なくされても
小公女のように気高く
品位を忘れぬ立ち居振る舞い
汚れない肌
たとえ
嵐になぎ倒され
獣に踏みに ....
リコーダーを葉巻のように咥えてもアウトはアウト
雨にとけてしまいそうなウチ
それでも傘に入れてくれるん?
いっしょに流されてくれるん?
遠い日
私をすこやかに育てなおしてくれた人よ
今
あなたの真似事をしています
背負ってしまった陰を呑み込んで
人知れず水鳥の如く足掻きながら
あなたは
微笑むことを忘れません ....
合わされない眼がある
言葉って、抱きしめられない
口づけたり、切りつけたりできない
だけど、君に会いたい
針先ほどの穴に
空が吸い込まれていく
風も太陽も巻き込んで
言葉って、食べられない
....
会社の帰りがけに車を左折させる
道から少し離れてある実家の林檎畑が見えてくる
減反した田んぼに育てた林檎の木
今はこの世にいないはずだが 父の幻がいる
畑が物陰になり見えなくなると
右側の田 ....
特等席で見た空は
ただただ青く だだ広く
特等席で見た空は
ただただ暗く だだ深く
特等席で見た空は
お星が一つ ただ一つ
特等席で見た空は
屋根より低く 音 ....
あなたが泣くのなら
そのとなりで
わたしも
黙って泣こう
そう思わずに
い ....
いろんな恋の末に
じゃがいもが
えらんだ相手は
いつも隣りにいた
にんじんで
....
去年のあなたの誕生日に贈ったのは
らくだ色の毛布でした
なににしようかさんざん迷ったすえに
一日の大半を布団のなかで過ごすあなたに
....
上諏訪のひんやりとした
澄んだ朝の空気に
俺って少し
思い上がっていたんじゃないかと
自分を見つめ直した
代官山のカリスマ美容師(無免許)
これが下諏訪だったら
こうはならなかったと思う ....
まったくかまわないよ
世界が
思ったのと違ってても
新聞をめくると
新聞のにおいがする
あなたをめくると
あなたのあじがわかる
あなたがもし
いなかったら
かまうけど
肖像画の視線にパリの焦燥と倦怠を感じる。
日々の疲れが重くのしかかるように絵画の中の瞼がその眼光を弱めてゆく。
彼女の視線の先に映っているであろう私の顔はいつしか歪み、
誰に語る訳でもなしに ....
にぎりしめていたこぶし
ノックすることも許さず
かたくなに
閉じられていた小部屋から
誰にもうちあけたことのないまま
幾重にも折りたたまれていた
願いが
決意のように
ひらく
....
僕が君にかけた言葉に
足りなかったひとつまみの愛
投げやりになって疲れ果て
忙しくってもこれにまさるスパイスはないんだ
わすれちゃあいけないひとつまみの愛
ありあまるものでは替え ....
わたしの母は詩をかいていた。
いつもテーブルの上に無造作に置いて
あったのでたまによんでは見たけれど
それはよくわからないものであったよ
うに記憶している。そもそも小学生の
わたしにはよ ....
雪だるまは旅に出たことにしました
紙の鎖の端をにぎって
妹も姉もいないところで
父と母が編んだ赤い塔をゆく
らせん階段はきらいだ
古い日々を思いださせ
とにかく青い
ノ・ヴァ、きみが秋晴れだったころ
ぼくが立派な牡鹿 ....
本日は
絶好の洗濯日和
見上げる雲は
穏やかな光に浸されて
へたくそな君のハミングが
靴下とシャツの森で揺れる
色とりどりの洗濯バサミが
タオルと枕カバーの ....
***********************
*
* おばけあります
*
***********************
居酒屋の柱に 【おばけあります】ってあるから
....
彼女が突然
夜食にゆで卵を食べたいと云って
卵をふたつゆでた。
寝そべって
二人でひとつずつ食べながら、
話をする。
彼女には卵の黄身になってくれたら
僕は白身になって君を包みたいと ....
誰かが犠牲にならないといけない
そう考えるようになったのは仕事を失ったからかもしれない
あの日も同じようなことを考えていた
巡る空想のなかでぬいぐるみは道化師と暮らし
少年は日々道化 ....
最前列に磔刑宛ら固定され
急な坂をゆっくりと上って行く
頂上に何が待ち受けているかは分っている
(何故こんな日に雨が降るのか) から
(何故雨の日にこんなことをするのか)
思いを行き来する疑 ....
【記憶の塩漬け】
すべての壁は白い それぞれの壁が白さの中にも蔭を落し
直線で構成された 迷路
一陣の風がふいて 一粒一粒の白砂が
皺やよじれとなり集まり
....
「御用邸の月」という
那須のお土産を食べている
おととい貰った
「萩の月」そっくりな
数多あるパクリもんだ
案の定カスタードが全然劣る
何で真似さえできないのだろう
ウコッケイでも使って ....
空は
白紙に似ている
私たちの
頭上に開かれた
広大な空間
人は そこに
想い想いの
絵を描く
でも 私は
そこに描き得る
どんな夢も
持ち合 ....
午後と午前が一瞬だけ相槌を打ち
手渡される密書
時間を知る者だけに閲覧を許される
一日を均等に二分割したのは人間だけだが
月と太陽は有史以前から
地球に影を描いて輪切りにしていた
....
サーカスも消えた広場に
日付が変わった南瓜の馬車
燃え落ちた隕石
既に 青くない地球
十二色のクレヨンを握り
極彩色のテレビに見とれている児
やり過ごされていく毒の風に晒さ ....
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