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夕風に舞ってくる
モンシロチョウの薄黄色
一雨ぬれた秋草に
もう 雲間から
淡いの光が差している
こおろぎたちの戯れる
エクスタシーにポツンと一人
置き去られ
三 ....
桃谷から梅田へ
夕方5時過ぎの壮絶な夕焼けに
何故か泣けてきたんだっけ
声を出さずに泣くのは得意だったから
誰も気づくひとはいなかった
世界を美しいと思ったわけではない
茜色に感動した ....
なんでもない時間の
どこかで 広州空港の
窓ガラスは 赤く
遠くで 点滅する
寝ていた 僕は
椅子の上で
点滅する鉄塔の趣は違う
日本で見るものと 同じ色なのだが
同 ....
厳しい、
木枯らしに容赦なく吹きつけられて、
まるでうす汚れたページのように捲れあがる、
そのひとつひとつの、
とても白かった羽毛、
無残にもちぎれてしまった、
白い夢のつばさが、
その ....
人生は自転車に乗るみたいだと
ふと想った
始めのうちは
後ろを誰かに持ってもらい
訳もわからずただこぎつづけ
バランスを取れるようになると
その手を離され
ヨタヨタしな ....
道路工事で
職場前の道は渋滞
ブラインド越し見える作業員の人たち
若い人が一人もいない
砂塵と高湿度の靄の中
上下するヘルメット
ドア一枚隔てたこちら側は
....
誰もが知る肌に
夏の落ち着きを失った季節は、
陽のわずかな傾きに
秋を告げる
沈黙をやぶる囁きに
自問自答をとめる
潮の香りは、さやけき潮の音
反射する 陽炎のひかり
....
妹の娘は
私に似ている
彼女が産んだ赤ん坊
男前ではないけれど
愛嬌のある顔
知り合いのおっちゃんに
似ている
彼は私を一生懸命見つめてくる
私が何者か分析している
他に ....
土から顔を出した芽のように
意識の端にまだ眠りの殻が残っていた
風を孕んで色あせたカーテンが膨らむと
どちらも淡い光と影
すべるようにすばやく表情を変えた
あなたの顔にはいつもこころが映る
....
雑木の密生する土手の外れに
一本の柳の木が俯いて
午後の暑熱を滲ませる貯水地の水面を
のぞき込む
鳥も来ない
辺りに虫の音の靄る静かさ
濃い藍藻に覆われた沼底でまだ
....
なんだろうなぁ
この感情は
分析すると
遠慮
気後れ
申し訳ない
いたたまれない
もっと役に立ちたい
もっと会いたい
帰り道はいつも
なぜか
幸せな気持ち ....
雨水で浸食された登山道には少しだけ草があり
刃を石に当てぬよう、気を遣いながら刈り進むと
ヌマガヤ草原には未だニッコウキスゲの群落が残っていた
一日咲けば花は萎んで枯れゆく花
遅くとも八月に ....
日の暮れ早い
夕ご飯のテーブルに今夜は
旅先で買った青い陶器の深皿を
出してみる
そこへ絹ごし豆腐を半丁のせたら
白い孤島のようにみえて
潮風と打ち寄せる波が茫漠とひ ....
{引用= グラフ化される こころのなか
それは まるで心電図のよう
きのうであったものが 季節の符号に置き換えられてゆく
ひと、おしながされてゆく
ぼくはしあわせでした
遠い ....
実家に帰ったとき
姪っ子が歌いながら近づいてきて
「おじさん『あーぱつあぱつ』って知ってる?」
と上から目線で尋ねてきた
私はおじさんではない
「もちろん知ってるよ」
とくいげに答 ....
よく冷えた梨が好き
隣席のあなたがそう言ったから
出勤前に、この梨を剥く
指先を滴るまろやかな甘い汁
一切れつまみ食いしてる間に
時計の針が進んでしまう
あわてて梨 ....
樹々のささめき
秋のまなざし
土の殻を脱いで
風鈴と戯れる
あの風のよう
出奔し
残り香をたぐる
民族という幻想の
ゲル状の遺跡を渡る
無造作に繊細に
ごぜの指先の
せつなの逡巡 ....
まるで涙の川ね
ルイ、リバー
わたしの胸に、
水音がせせらぐ
白い河原と、
仄かなことばが残した
透明な軌跡
ひとり、
揺らめく水に姿を映し、
零した、
哀しみの、 ....
妹とふたり
霧雨のシンフォニーホール
舞台の上はふたり
セピア色の照明に浮かび上がる
息を吸うたび
音が全身に満たされる
長く透き通る高音の波が
眉間を通過し
思わず目 ....
知らない風景の
絵を買おう
違う世界への入り口
絵の中で
生きるを楽しむ
たらら
たらたらた
難しく感じる
生きてゆくことを
絵の力を借りて
やわらかくしていくんだ
....
わたしが森でじとじとになっていたとき
ショコラウサギのおかあさんが
やさしくガーゼで顔をふいてくれた
ホームのベンチにひとり座って
走り去る夜汽車を見送っているだけでは
ありえない出来事だっ ....
ほんの一瞬のため息みたいなきっかけで降り始める夏の雨、傘を持たない僕たちは高速の高架下に急いだ、雲の上の貯水槽が割れてしまったみたいな降り方だった、それでなければ、広範囲に拡散された滝のようだった ....
新米を炊いた
土鍋で炊いた
二人暮らしなので
小さな二合炊き
二十分蒸らして
蓋を開ければ
しあわせの香り溢るる
神棚に供えて
日々の糧に感謝
「こんな美味しい米 ....
足元の
石畳から
ひろがりつづける
あおうきの
さかい
とぽんと
深く
トビが
青浮いて
空のベンチから
晩の献立を
湖の
はるか稜線まで
/即興ゴル ....
っていうのは
重力って
星の重さで時空が歪んでるので
投げたボールは時空の歪みに沿ってまっすぐ進んでて
結果落ちてるカーブになるわけ
ってことは
この辺もあの辺も全部ぜーんぶ
歪んでる
....
目覚める
と、
ここは深夜の密林
灯火に浮かぶダイニングバー
戦闘服のジェシカが店で
バナ・ナンカを刻む
よく切れる
薄刃包丁を手に、
ジェシカが正義を振り下ろす
....
時は、風化の砂塵
砂丘より 蒼い星を子どもたちが
みつめる
大気のない無音のそこからみる
星は かぎりなくウツクシイ
集約される
かわらぬ 社会の列車は喧騒のすえ
プラット ....
ドラッグストアでペプシゼロとヨーグルトを買った。
夜の店内は空調が効いていて、白っぽくて、乾いている。
手をつないだ恋人たち、メガネを掛けた会社員、綺麗な身なりの女の人。
みんな等間 ....
力ない羽ばたきだった
抗うにはあまりにも
変身するためにひたすら食い
変身したらひたすら交尾する
仔の頃に食われたら負け組
交尾産卵の後なら勝ち組だ
去る夏の背
しっぽり濡れた夜
そ ....
挿し木をひとつ
もらいました
軍手をはめて
小さな鉢に
土をもり
水をかけてくれました
コンビニの
ビニール袋で
包み
揺れないように
持ち帰り
カーテン越しに置き ....
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