いつまでも夏のつもりでいた、
あかるいひるねがとつぜん風船のように射抜かれて、
緩慢な夢からついに目醒める、
夏だった風がとても涼しくなっていて、
その涼しさがそのまま寒さの鋭い刃となっている ....
ぎっくり腰は正式には
急性腰痛症という
背中に杭を打ち込まれたか
どうやって立つのか分からなくなった
東司へ行く恐怖
行かねばならぬのに
近くて果てしなく遠い ....
焚いて雫を崩していた。
たいてしずくをくずしていた
捨て子、残らない名に心。此処に無いならこの子です。
すてごのこらないなにこころここにないならこのこです
「さいなら」「この虹 ....
{引用=
夏、相変わらず
碌でもない 夏
ことしの夏は
ニューオーリンズで
スノーボードしてる
ゆめをみていた
ことしの夏は
アラスカで
熊狩りをしていた
夏 ことしの夏は ....
猛暑なんだから
根性なんて出さなくていい
調子に乗ったな
激しい頭痛と
目の前チカチカ
冷やさないと
水を飲まないと
調子に乗ったな
猛暑なんだから
根性なんて出さなくていい ....
心の跳ねとぶような白に
目を見張る
おおよそ神秘な所で
香り咲いた月下美人
一夜、月の輝きのなかへ
身をなげだし
実もつけない花の
湧きあがる純白は何故
そんな ....
朝方、目が覚めて
右手に話しかける
右手が最初に
目に入ったから
次に左手に話しかける
左手は黙って聞いている
右手も隣でじっと聞いている
手には耳が無いから
僕の耳で聞い ....
新横浜駅を降りてから
どうやって そこに辿り着いたやら
彼が教えてくれた家の間取りは
手紙に描かれた図の通り
他愛も無い話は ビールを飲みながら
お互い 何を考えているか ....
七億をすぎる人の
文字への想い
親の願いを込めた
自分の名前すら書けずに
字を読むことすらできない、少女は
母からの手紙を読んでもらいました
詩はいつも文字や言葉を媒介す ....
築年数四十年を過ぎた中古マンションで
今夏暫くの間、我が家でも玄関ドアの脇に
宅配弁当業社の貸出しボックスが
配置されるようになった
すると挨拶を交わすご近所さんから
「 ....
毎夏見る帰省のニュース
しっかりと時間を費やす 家族たち
それを眺めることが毎年の行事
思い出すのは病室の洗面台や
トラバーチン模様の天井
となりの家から夕ご飯の匂い
てん ....
盆前の最終勤務日の今朝、ぎっくり腰になった。
時折、酷い腰痛に悩まされるが、ここまで酷く、まともに起き上がれないのは久しぶり。結局、仕事は休ませてもらった。
腰がここまで悪くなったのは、あの仕 ....
記憶の中に家があって
記憶の中に家族が居た
毎朝同じ時刻に
家族のような人たちの出て行く玄関は
毎朝違う場所にあった
ある日
家族のような人たちは
夏を連れてきた夕刻に
消えてしまった ....
善く生きたい
と思うということは、
私は悪なのであった。
だから私を
悪く言ってもそれは当然なのである
だから私は
謝ってばかりだ
何かと至らない私で
ごめんなさい
と
蜩の、 ....
月が光ったり包むように照らす記憶のない、まだはじまったばかりの夜だった。
顔の何処かで泣かないように空に瞳を任せていた。どこを見上げてみても
わたしが知らないだけで、星はやさしく奏でていたんだった ....
第二次世界大戦において、日本は負けた。
ただ最近、思うことがあって、もし第二次世界大戦において日本が戦勝国になっていたとしたら、日本の戦争責任はどうなっていただろう?
戦勝国側として、第二次世界大 ....
或る季節風の朝
街中でコートをひるがえし行く
女の紅よ
結ばれないと解っていて
湧き出る胸の音楽に
自分をすら見失う時
陽光に己が肌をさらすことも出来ず
根なし草の様 ....
今夜は妹とオフ会
二人が愛する小説の
大人になって
妹がいちばんの親友になろうとは
両親に溺愛され
嫉妬するより前に
その可憐で愛らしい姿に
私も彼女を愛 ....
(遠雷まだかな
(どうして?
(だってうるさいんだもん!
ネリーさんは水でできてるみたいだね
(夏、だからね
ってほら
言ってるそばから排水口に吸い込まれちゃって
夏は濡れやすいから気を ....
薄緑の歩道橋の真ん中で
さざめく街の空中で
立ち停まっている女を見た
遠目で黒い日傘の女をみつめていると
眠くなり汗がじわっと体を包む
街の建物の間を
車が川のように流れ ....
午後になった
扇風機をとめて
水を届けに出かけた
ひび割れた路面と短い影
歩く時も俯く癖があった
草刈の辺りで風鈴売りとすれ違う
音、聞いたのだからお代を、と
干からびた掌を差し ....
叢雨を
なぎたおす
台風の来ない
窓へ
風が吹くとき
それでも
窓を叩く音が
隙間から染み込んで
砂が石になってゆく
秒針を
あわせようとする
ちくたくと
この指で ....
三粒ほど熟れてあじはふ青葡萄
初めての完熟いちじく急ぎ買ふ
フル装備して青柿を消毒す
どの友も傷み抱ふや盆の月
黙祷は
鐘の音
1945
8・6
8:15
刻印は時の数字
僕の死は、
人類の知恵の粋
現代科学の結晶
14万人の命の対価
目的は
先の見えない戦争の早期終結と
阿 ....
本当の青空 見たことあるかい
良く晴れた日でもそんなに青くはないよ
水色とかそれこそ空色とかって感じで
カリフォルニアとかモンゴルなら
本当の青空が見えるだろうか
本日は ....
勝手のうえに
勝手をこぼしてたら
「それをじぶんに言われてたら
どう思う」という矢印が向いて
ハッと
黙ってしまった
おむつなどを買いに走り
熱り疲れた頭で
排尿日誌がいるか、とか ....
空が青い
一車線道路の縁石で
鎮座ますコーヒーの空き缶は
吹きつける生ぬるい風に
耐えている
一枚の白紙のような
灼熱の路面に立っていると
なにも見えなくなって
....
強いて言うなら
地震のせいだ
なんでもかんでも
放り込んできた
整理もできないまま
ため込んできた
何年も何十年も
もう何がどう詰まっているか
自分だってわかってはいない
容 ....
ガス燈の灯る、
光の街は
地図にない
ヴィヨンの橋影が
夜の流れに
揺らめいている
街行く人も
名を伏せた仮面のまま、
濡れた石畳の道を
忙しく
通り過ぎた
裏通りの女も ....
信号機の青 と、
群青色の空が重なって
眩暈に吊られてしまいそうになる
一日の仕事が終われば
世界の一日が始まる あさぎりの夏
また朝刊二軒分ほど残ってしまった
むろんわたしの ....
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