あの虹は君に向かって架かっているのだろう
消えないうちにクルマを飛ばせば逢えるのかもしれないな
幸せの音がたぶん鳴っているんだろう
庭には綺麗な花が咲いてコドモが唄ってるんだろう
とき ....
ここに、
確かにあなたはいた。
そのとなりに、
確かに私はいた。
ふたりはずっとこの町にいた。
けれども今では、
誰もあなたを知らないという。
私たちはこの町の片隅の
ちいさなマンシ ....
むすう 雨のひとみ むすう
ひとみ むすう 雨のひとみ
カラダジュウ盗ミダシ
セカイジュウ目隠シ 死 テイル
そらしろに朱鷺は繋がれ
止めどなく開き未知は流出 {ルビ視=シ} て
縫い付 ....
とびっきりの笑顔ひとつください
おいくらでしょうか?
こころの痛みを鎮めるお薬ひとつください
どこかにありますか?
曇りのない青空のもと
もうお気に入りの傘も要らないと
言ってくれ ....
魔法使いが
ドライバーを手にやってきて
雪原を走る夜汽車を止めました
壊れた換気扇の交換
最後に頑張って回る姿が
とても可哀相で
「よく頑張ったね」って二人で言いました
私た ....
一.ほとり
泣きやむことを忘れ
とてもわたしらしくなったと
この夜いつまで居ようか
ここに
二.花占い
そこの{ルビ他人=ひと}は暗がりで
命を摘んでいる
気になって仕方な ....
あなたの息づかい
あなたの体温
ほんとはね、わたし、それだけで生きていけるの
パソコンがなかったら仕事ができない。
年金詩人のわたしは今日もパソコンと睨めっこしている。正確にはマイクロソフトワードがなかったらということになる。その理由は文字を書く労力が半減することで、文章 ....
揺るぎない態度が歩むアスファルトの硬さで
両腕を失ったのは誰か
絶えず歩み続けることで
身体の抱擁を犯されたのは誰か
足跡は連なり
その道は物語を一つ語りだす
独りの表現を誇張し
劇 ....
目が口ほどにモノを言う人たちに囲まれて
君の視線のフィラメントが闇のように漂う
人見知りがひとり 見知らぬ人たちと
待合室でチェスの駒みたいに包囲され
遠くから黙々と頭を打つ冷たい秒針は亡霊だ ....
何も持たなかったはずなのに 多分荷物は重くて
何を詰め込んだかわからないのに 大切で
手放せないまま 逃げるように出てきた都会
何をしたかったのか 私の頭の標識は
真っ白に作り上げ ....
深い森の中で
寂しいかい?
と聞くと
彼は寂しくないと答え
広い原野にたたずむ彼に
楽しいかい?
と聞くと
彼は震えた声で
孤独だとつぶやく
彼に問いただしても
明るい答え ....
夏 熱苦しかった 公園の立木は
秋 身軽くなって
梢をより軽やかに おどらせている
そして 庭木の葉先も
背伸びし終えて ほほえんでいる
野の鳥たちにむかって
招待状を提示するかのように ....
たいせつをさがしている
大袈裟でもなく控えすぎず弾力をもつもの
空は低いが僕の中にそれをおしあげる力があるだろうか
誰も風化しない星々も変化しないのではちょっと困るのだ
粘土のように塑 ....
前に体重がかかっていますね
と 足型調べる靴屋さん
胸は反らせているはずなんだが
と わたし
町中を歩いて
ウインドウに映るわがすがた横目で眺めれば
なんと言うことだ
前屈みでせ ....
夜が明けたら
真っ白の世界
魔法使いが杖をひとふり
呪文を唱えた
犬は喜び 庭駆けまわり
猫のあたしも
心躍る
歩道橋ですれ違う子どもはみんな
いつもよりはしゃいで見える
い ....
晩秋の黄昏に
チェロの響きが肩に渦巻いて
痩せた胸を抱き包む
明日の朝は
この曲を聴きながら
ベーコンエッグとトーストにイチゴジャム
そして濃いめの珈琲を啜る
そのバロックは
....
誕生日気づかれなくて秋刀魚焼く
他人の若さなんてものに
打ちのめされる気などしないよ
若さは時として拙さ
若さは時として無知
だから打ちのめされたりなんかしない
そう信じていたんだ
そう信じていなければ
自分の老いに打 ....
アパートメント二〇二の壁の裂傷
フラグメントの終焉と彼女の吐瀉物
ポリスの出動はいつでも間に合わない
彼は絶望の寝床にうずくまったまま
ダイヤルの記録は悲鳴のような声ばかり
テー ....
魂の境を越えた交わりだった
わたしたちは一羽の大きな鳥になって
暁に輝く大河の遥か上空を
風を切り 大きく弧を描きながら
深く埋もれたまま錆びて膨れた散弾
思考に敷かれた玩具の電車の閉鎖回路 ....
もう二度と歌は歌わない
そう決めたのは
合唱コンクールの練習の時
隣の子がクスッと笑ったから
以来本当に僕は歌を歌わなかった
音楽の時間は口パクで通したし
歌のテストの日はズル休みをした
....
少年は決意した
高校生になったら
皆の前で
自分の言葉でしゃべると
そのために
今の学校からは誰も受けない高校を
選ぶのだと
例え面接があろうとも
はっきりものを言うと
緘黙していた ....
“相手とコミュニケーションが取れない
この作戦は決行するしかない
我々には戻る場所が無くなった
補給する術も材料もない
我々は戦うという選択肢を取らなければならなくなった
この暮らしを守るた ....
府中の霊園の芝生に、僕は坐る
目の前の ✝遠藤家 の墓前に
炎と燃えるポインセチアの植木鉢と
グラスに日の射すワインを、置いて
初めて訪れた十五年前の夕暮れ
左右に生けた紅白の薔薇は
....
ダバダ
ダバダ
ダバダダバダ
ダバダ
ダバダ
ダバダダバダ
体かくして
顔隠せず
白い世界に
赤い頬
ダストがかすめる
鼻の先
一瞬
シュ ....
邪悪な自分が
恐ろしい
闇に埋もれた暮らしがイヤで
太陽の下に
憧れたのに
普通がいいって
普通を選び
普通だなって がっかりしてる
行きたい場所がある
フェンスの多分向こう
標識は黄色か赤
越えてはいけない場所だった
死んだトモダチが
みんなそこにいて
おまえもか
って笑ってる
警告はみんな受けた
でもみんな境界 ....
一等星か
人工衛星か
わからないから
嫌なんだ
この時代は
虚像が眩しすぎて
たどり着きたい未来を間違える
俺達は
まるで
月に向かって飛ぶ
命知らずの虫みたい
10分後、私たちは {ルビ思=おも}い{ルビ出=で} される
10分前に見た映画はもうまるで嘘のようだ、と
いまどき流行らない、よくある2Dの映画だったが
持ち合わせた感想は特になく
....
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