帰る人帰らぬ人と秋の夕  幼い日
 ふたりで日向ぼっこをしながら
 影をみていた
 ぼくの黒い指先が
 少女の頬に触れようとする
 と 触れるその直前で
 影だけがふやっと膨らんで
 ぼくより先 少女に ....
寂しいから寂しくないふりを
しているなんてお見通しなの
寂しくないならどうして
そんな限界集落の無人駅に
会いに来ないかなんて言うのよ
あなたの孤独を映し出す
鏡のように澄んだ湖はもう ....
「子どものための幻想詩」

子どもらしい子どもにしたがる
大人のためかもしれない

大人になりきれない子どもがえがく
むなしい まぼろしかも

けれど中にはよいものが

目を磨くん ....
 青い看板に白い文字で
 
   ビジネス
   カジュアル
   フォーマル

 朝のだだっ広い駐車場

 少しくすんだ 慎みの季節が
 春に巣立った雛たちの 瞳にも
 映って
 ....
夕方のラッシュに逆ろうて
工業地区行く電車に乗る

降りた駅ですれ違う人たちに
ご安全に 言うて
構内に入っていく
いつもの事や
ほら若い連中がまたはみ出して歩いてきよる
ご ....
    

水の{ルビ簾=すだれ}がそこかしこに垂れ下がっている夏の部屋に居て、ぼくはもうあの郵便配達夫が来ないことを知っている。ぼくの胸のなかには白い綿毛のようなほわほわした生命体がいつも棲みつ ....
優雅なるおのが自虐の洗礼に母性あなたは鏡のごとく

聖典を真夜にひらけば一本のわが少年の髪ユダにありき

さようなら僕のジュラ紀よ骨格の恐竜だけが透明だった

一本の濃きまみどりの樹と生れ ....
赤い目をしていま
なにを読み
どこを跳ねるのか


あなたは謀った
{ルビ和邇=ワニ}たちの背を戯れ跳ねながら
目指すところへ近づいた時(それは幻想だった)
傲りと嘲りが
鈴のように ....
雨のおとが体に刺さって下に抜けて行く
その先のまちで

男が酒を飲んで煙草を吸い
女が風呂に入り石鹸の香りを嗅ぐ
花は季節に散る

どうということもない
あたたかな食卓が
どれだけに ....
椅子が並んで
たくさんの人が腰掛けています

まるで出発ロビーのようです
周囲の人と
穏やかに語り合っている人たちは
旅支度の割には身軽で
しみじみと
和やかな笑顔も浮かべ

主に ....
流民をへて流民にあう
きみは遠い昔の記憶の中の文学少女

すべての物語を読み切れないように
たとえばたった一人の歴史も解析できずに

やはり僕はでくのぼうにもなれない半端者
きみの洗礼を ....
針の翼
夜の屋根
緑の雨が
楽譜を照らす


街の起伏
夢のつづきの夢ばかりつづき
目覚めも指も
夜になれない夜をこぼす


葉の陰の硝子
雨の奥の太陽
扉 ....
じっと空間を見つめていると、
何かが聴こえてくる。
実際には何も聴こえないが、
目にうつるものが音を帯びてくる。
色にも音があるのか、
音に色があるのか、
空間は息吹を宿して、
この身体 ....
風は奏で 
光は描く
ハリエンジュのさざめきに
まなざしは戸惑い
優雅に失速する
水面に解ける止まり木
鳥は魚を続けた
裏腹に
なめらかに
時間には抜け道がある
探しても見つからな ....
久しぶりに電話してみる
着信音が十回で、切る
内心ホッとする
まもなく向こうからかかってくる
少し慌てる
「なに?どうかした?」
声を聴いて安堵する
「いやどうもしないけど。今話せるの? ....
   随分昔のことだが山里の学校で疎開児童をやっていたとき
   先生は教えてくれた
   「いいか、熊に出合ったら息を止めて死んだ振りするんだぞ」

レントゲン撮影技師はオシャベリ好きで
 ....
私はこころの中で寝ています
いびきが何度も聴こえてくるのです
私はこころに布団を掛けています
寝返りするたびもう乱れて自分でも恥ずかしい
それでもやはり寝ていたいのです
夢枕がもう手 ....
次郎さんの家は、火の山峠へとつづく
坂道の途中にあって、そのちいさな車
は、登るときも下るときも、まるで不
機嫌な家畜のように、激しく四肢を踏
み鳴らすのだった。
直径八キロ余りの島の真ん中 ....
眠れない夜は
頭の中に白いひもを思い浮かべる
そのひもの先を
喉の奥からちょいと引っ張ってあげると
頭蓋骨がくいっと締まって
ちょうど良い具合になる
あまり引っ張りすぎると
すとんと落っ ....
朝 丘珠空港へ迎えに行く
プロペラ機は八月の空をけたたましく滑り降り
ゲートをくぐる人々は無事届けられた
天からのギフトのように
トランクとリュックを下げた若者を見つけ
片言みたいに 荷物を ....
カーテンの向こう暑くなると告げて
にわかに泣きだすそら

すぐに澄み
そこなしの青の静けさへ
置き忘れられた幾筋かの羽毛は
朝へと生まれ落ちた夢たちの骸
季節の手妻は継目も見せず
ゆ ....
五線譜にのらない音楽
数学的解決を持たない生命

リズムもない詠唱
楽器を持たない自由

空から降りてくる精霊にキッスをして
それでも抒情は余ってしまって腐る

どこにも幸運な人間な ....
わたしはふーせんだ。
ちっちゃなこどもに捕まえられている。
わたしがその子に「自由になりたい!」と言うと、「わかった」とその子は手を離した。
わたしはどこまでも飛んでいった。
その子が泣い ....
いつのまにか夜だけがふけてゆくが
僕の朝はいつまでたっても来ない

時間の止まったままの時計をぼんやりと眺め
時系列のなかの無限の選択肢に思いを馳せる

ものごとを整理するには基準が必要だ ....
夕焼けという名の空がある
青空からの移ろいとしてではなく
終われば夜空ということもなく
そういう名前の唯一だ
いつかやがて
みあげている存在の全てが
一斉に瞬きしている隙に失せ
瞬時に忘 ....
引き寄せて歌の精よ耳元に
オンとイのほつれ目
楼蘭の砂から掘り起こされた女の髪のよう
忘れられたイトが絡まった
黴臭い沈黙から ふと
夜は陽炎のようにゆらめき立って
歪み捻じれたこの道を筆 ....
聴こえる
プレス機が上下する度
ボルトとナットで繋ぐために
穴を空けられる度に
聴こえる
ごおん
ごおん
ぐぉり
ぐぉり
きゅるるるるるるる
換気の行き届いていない
暗く狭い工場 ....
羽音で目が覚めた
驚いて明かりをつける
汗だくで寝ていた
汗の匂いに寄って来たんだな
いったいどこから入ってきたんだ
窓は閉めていたのに
ベープマットをセットして寝る
でもまたも高い羽音 ....
生まれたばかりの九月はとても静かで穏やかで
風は凪ぎ 梢に寛ぎ
秋の願いがその隣で翼を休め
あるいは風はまた立ち
願いなら 早熟の実を選び定めては安堵して
どこかへと帰り、持ち帰る
木の実 ....
そらの珊瑚さんのおすすめリスト(8455)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
秋の夕- minomi俳句416-10-3
- 白島真自由詩15*16-10-2
白のブルース- Lucy自由詩19*16-9-29
子どものための幻想詩- 田中修子自由詩9*16-9-29
スーツ- ただのみ ...自由詩11*16-9-28
よるのひるね- AB(な ...自由詩216-9-28
水の簾- 白島真自由詩616-9-28
空は見ている- 白島真短歌5*16-9-28
うさぎのダンス- ただのみ ...自由詩10*16-9-24
台風の夜の音重ね合わせて- 田中修子自由詩12*16-9-23
順番- Lucy自由詩7*16-9-23
流民- 梅昆布茶自由詩15*16-9-15
あゆみ_むらさき_Ⅱ- 木立 悟自由詩716-9-15
喰らう音- あおい満 ...自由詩516-9-14
恋のようなもの- ただのみ ...自由詩8*16-9-14
会話- Lucy自由詩17+*16-9-14
死語と愚痴- イナエ自由詩8*16-9-13
私は- 乱太郎自由詩9*16-9-12
火の山峠_2016- たま自由詩9*16-9-11
眠れない夜に- ららばい自由詩216-9-11
アウトリーチ- ただのみ ...自由詩6*16-9-10
くすねた財宝- ただのみ ...自由詩7*16-9-7
タルカスの夕べ- 梅昆布茶自由詩916-9-7
ふーせんと青空- 水宮うみ自由詩1*16-9-7
朝が来ない理由- 梅昆布茶自由詩1016-9-5
夕焼け- もっぷ自由詩5*16-9-5
呪術師の末裔- ただのみ ...自由詩7*16-9-4
歌う鉄- まいこプ ...自由詩3*16-9-4
提供- Lucy自由詩5*16-9-4
宇宙- もっぷ自由詩3*16-9-2

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